特定一般社団法人等に対する相続税の課税の創設

はじめに
 一般社団法人等は、登記だけで簡単に設立でき、持ち分が存在しないことから、一族が支配する一般社団法人等に財産を移転した後、理事の交代によって子及び孫に支配権を移転し、その財産の承継を行ったとしても相続税が課税されませんでした。
 平成30年度税制改正では、適正・公平な課税を実現し、税制に対する国民の信頼を確保する観点から、一般社団法人等に財産を移転することによる課税逃れを防止するために同族関係者が理事の過半を占める、いわゆる特定一般社団法人に対して相続税が課税(以下「本特例」といいます。)されることとなりました。
 そこで、本稿では、本特例の概要と実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 制度の概要(新相法66の2①,新相令34④)
 一般社団法人等(公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人又は特定目的会社その他一定のものを除きま。)の理事である者(一般社団法人等の理事でなくなった日から5年を経過していない者を含みます。)が死亡した場合において、その一般社団法人等が特定一般社団法人等に該当するときは、その特定一般社団法人等が、その死亡した者(以下「被相続人」といいます。)の相続開始の時におけるその特定一般社団法人等の純資産額をその時における同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額をその被相続人から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税が課税されます。

Ⅱ 用語の定義
1 特定一般社団法人等の定義(新相法66の2②三)
次に掲げる要件のいずれかを満たす一般社団法人等とされます。
① 相続開始の直前における同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること。
② 相続開始前5年以内において、同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。

2 同族理事の定義(新相法66の2②二,新相令34③)
 一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他その被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)とされます。

(今月の税務トピックス②につづく)