【時事解説】睡眠ビジネスの活性化と健康経営への関心 その2

最近、企業の「健康経営」に関する意識が高まっています。健康経営とは、従業員の健康に配慮し、生産性を高めようというものです。従来はメタボ対策が主流でしたが、現在、睡眠の質を上げることが健康経営の第一の課題になりつつあります。背景には、昨年、「睡眠負債」という言葉が流行語大賞受賞語に選ばれたことで、睡眠不足が健康や労働生産性に悪影響を及ぼすことが広く知られるようになったことがあります。

 特に、日本人は先進国の中でも睡眠時間が短く、これが国内総生産(GDP)の減少につながるといった試算も報じられています。今後、体脂肪率を測るのと同じように、従業員の睡眠の質を分析し、健康管理のメニューに睡眠に関する管理を取り入れる企業が増えると予想されます。シンクタンクの調査によると、2016年、健康経営の市場は約1兆3,600億円でした。これが2020年には1兆6,700億円に達するという予測もあります。

 実際、従業員の睡眠不足を解消することで生産性を高めようとする動きが生じています。企業の中には、アプリを導入し、従業員の睡眠の質を分析しているところもあります。

 また、シエスタ(昼寝)制度を導入している企業も増えています。就業中に15~20分ほど仮眠できる制度の導入や、昼寝専用スペースの用意、シエスタタイム(昼寝休憩)の設定など、すでに取り組みが始まっています。ともすると、就業時間の居眠りは勤怠ともとられかねません。ただ、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」ともいわれています。睡眠負債という言葉がきっかけとなり、企業の睡眠に関する考え方に変化が生まれたといえます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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