【時事解説】米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その1

先日、米国は宇宙空間において軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。すでに、宇宙空間は新たな戦場になりつつあります。

 現在、米国では陸軍、空軍、海軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つの軍があります。宇宙軍ができればこれらに次ぐ、6つ目の軍が誕生することになります。

 宇宙軍というと、SF映画の世界では、地球外生命体の侵略に対して、人類が戦うというストーリーが一般的です。が、米国が脅威としている相手は中国とロシアで、両国を宇宙における戦略的な競争相手と位置付けています。

 なぜ宇宙軍が必要なのでしょうか。そんなに、中ロの脅威は大きなものなのでしょうか。一般的に、宇宙開発は気象衛星などの平和利用が主です。が、技術を転用することで、偵察衛星など、軍事利用ができます。

 中でも、米国が恐れるのは、中国やロシアが人工衛星を破壊する兵器の開発を進めている点にあります。ミサイルの開発が成功すれば、偵察衛星など、敵国の軍事衛星を破壊するといったことも可能になります。また、ロシアの人工衛星が不審な動きをするという警戒もあります。具体的には、フランスとイタリアが共同運用する軍事衛星に異常に近づき、通信を傍受しようとしたことがあります。

 ただ、宇宙軍の実現には、議会が法案を成立させる必要があります。そして、新たな組織を設立するには多額の費用が必要になり、予算の肥大化になります。こうした現状に対して、議会には反対意見が多いのも事実です。宇宙空間の安全保障をめぐり、各国が優位に立とうとしていますが、この先、どこの国が覇権を握るか目が離せない状態にあります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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