IFRSでは有価証券だけではなく、多くの資産に時価評価(公正価値)を迫ります。しかし、すべての資産について、株式市場のように透明性の高い市場が存在するわけではないので、市場価格に頼っている限り、そうした資産については時価が算定できません。そこで脚光を浴びるのが、資産が生み出す将来キャッシュフローです。

 資産を買おうとする企業は、生産設備や販売設備などで活用することにより収益を上げる目的で資産を購入します。将来収益が高ければ資産価格は高くなりますし、低ければ安くなります。つまり、資産の価格はその資産が獲得できる将来キャッシュフローの現在価値(将来キャッシュフローは将来の不確実な事象に基づくキャッシュフローの予想ですから、割引率を用いて現在価値に割り引きます)により測ることができると考えるのです。将来キャッシュフローの獲得額に基づいて資産価格を測定するということになれば、売買市場がなくてもほとんどの資産について時価の測定が可能となります。実際にすべての資産を将来キャッシュフローから評価するわけではありませんが、IFRSでは基本的に、資産価格は将来の収益獲得能力から評価できると考えます。

 資産価格は過去にいくら支払ったかではなく、将来どれだけ稼げるかという視点から算定されるようになるというわけです。将来キャッシュフローの獲得額は企業によって異なりますから、資産価格は保有する企業の収益力によって変わる時代になったともいえます。無論、将来の収益は見積もりであり、恣意性の介入する余地があります。それでも、資産価格は過去の客観より将来の主観により決まっていいと考えるのです。ただ、それだけに企業側はその主観の根拠について、これまでの実績に基づいた説得力ある説明が必要とされます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)