【時事解説】針なし注射器が治療を変える その2

近年、医療の現場では、患者の痛みを減らす医療が重視されるようになり、針のない注射器に注目が集まっています。日本では実用化に至っていませんが、米国などの海外ではすでに認可が下りています。
 針がないのに、どのようにして体内に薬を入れるでしょうか。針のない注射器には、いくつか種類があります。具体的な方法を紹介すると、注射器から高圧が生じ、高速で気泡を発射。気泡がはじける力で皮膚に微細な穴を空けます。その後、薬液が高速噴射されて、穴から薬が体内に注入されます。薬が皮膚内に浸透するので針が不要になります。このときに開ける穴が極めて小さいので、針を使う注射器のような痛みは感じられません。

 一般的に、医療機器に関するビジネスは専門知識が必要になり、参入障壁が高いといわれています。ただ、日本の中には、プラスチック部品のメーカーが、針無し注射器の部品製造を手掛けているケースもあります。
 このメーカーは、もともと漆器の製造からはじまり、自動車部品や通信機器などのプラスチック部品の製造を営んでいました。注射器とは全く関係のないようにみえますが、同社が有する、プラスチック樹脂の先端に精密な穴を開けるという高い製造技術が針無し注射器の部品として応用されることになったのです。

 今後、高齢化がますます進む中、医療に関する市場はビジネスチャンスの宝庫です。参入障壁が高いといわれていますが、実は、自社の技術を活かす場は探せばあるものです。なかでも、針なし注射器のような、痛みを軽減させる分野は大きな成長が期待できるため、狙い目でもあります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です