今月の税務トピックス① 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

はじめに
 年末近くになると配偶者が就業時間を調整することによって、居住者本人に配偶者控除が適用される103万円以内にパート収入を抑える傾向があり、人手不足のため営業時間の短縮を行う企業も出るなど社会問題となっていました。
 そこで、平成29年度税制改正では、配偶者控除・配偶者特別控除が見直されました。改正された控除額は、最低賃金の全国平均時給1,000円、1日6時間、週5日勤務した場合の年収(144万円)を上回る金額となるように、所得控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が85万円(給与所得のみの場合、給与収入150万円)を基準とされています。
 本稿では、改正された配偶者控除・配偶者特別控除の概要及びその実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 配偶者控除(所法83①)
 居住者が控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円(配偶者が老人控除対象配偶者の場合には48万円)を限度として、居住者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。
Ⅱ 配偶者特別控除(所法83の2①②)
 居住者が生計を一にする配偶者(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除くものとし、合計所得金額が123万円以下であるものに限ります。)で控除対象配偶者に該当しないもの(合計所得金額が1,000万円以下であるその居住者の配偶者に限ります。)を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円を限度として、居住者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。
 ただし、配偶者特別控除は、居住者の合計所得金額が1,000万円以下である場合及び生計を一にする配偶者がこの控除の適用を受けていない場合に限り適用できます。
Ⅲ 用語の意義
1 控除対象配偶者(所法2①三十三の二)
 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者とされます。
2 同一生計配偶者(所法2①三十三)
 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除きます。)のうち、合計所得金額が38万円以下である者とされます。

(今月の税務トピックス②につづく)

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