ゴルフ会員権等の譲渡損失の損益通算 平成26年度税制改正

改正の内容

改正前は、ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができましたが、この取扱いが平成26年3月31日までに行われる譲渡をもって廃止となりました。

平成26年4月1日以後に行ったゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできません。

 

平成26年6月現在

 

給与所得控除の縮小 平成26年度税制改正

給与所得控除の改正の概要

給与収入に対する課税については、収入額に対してそのまま課税されるのではありません。収入を得るための経費があるものとみなし、収入に応じた一定の控除額(給与所得控除額)を差し引いた後の金額に課税されています。

現在、給与所得控除額は年収1500万円時における245万円を上限とされています。この上限額が次のように引き下げられ、下記年収額を超える人にとっては所得税負担が増えることになります。

現  行  平成28年分の所得税  平成29年分の所得税
  上限が適用される給与収入  1,500万円  1,200万円  1,000万円
 給与所得控除の上限額  245万円  230万円  220万円

 

平成26年6月現在

復興特別法人税の改正 平成26年度税制改正

復興特別法人税の改正の概要

平成26年改正法により、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」といいます。)は、「平成24年4月1日から平成26年3月31日(改正前:平成27年3月31日)までの期間(指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年(改正前:3年)を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされました(復興財源確保法40十、45、復興特別法人税令3)。これにより、復興特別法人税の課税期間が1年短縮されました。 したがって、平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度については、原則として、課税事業年度にはなりません。

(注)1 平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度であっても、事業年度変更などにより、その事業年度に、指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日が含まれることとなる場合には、課税事業年度となります。

(注)2 事業年度変更などにより法人の各課税事業年度の月数の合計が 24 月を超えることとなる場合には、その超えることとなる課税事業年度の課税標準法人税額について、一定の調整計算を行うこととなります。

印紙税の非課税範囲の拡大

改正の概要

「所得税法等の一部を改正する法律」により、印紙税法の一部が改正され、平成 26 年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大されました。

現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていますが、平成 26 年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。

「金銭又は有価証券の受取書」とは

「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券を受領した者が、その受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。 したがって、「領収証」、「領収書」、「受取書」や「レシート」はもちろんのこと、金銭又は有価証券の受領事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの、さらには、「お買上票」などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受領事実を証明するために作成するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。

印紙税の還付について

印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙を貼ったような場合には、所轄税務署長に過誤納となった文書の原本を提示し、過誤納の事実の確認を受けることにより印紙税の還付を受けることができます。
「領収証」等を取引の相手方に交付している場合でも、過誤納の事実の確認を受けるには、過誤納となった文書の原本を提示する必要があります。

 

消費税 簡易課税 平成26年度税制改正

簡易課税の概要

簡易課税制度とは、事業者の基準期間(その課税期間の前々年又は前々事業年度)における課税売上高が 5,000 万円以下で、その課税期間開始の日の前日までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出している場合に、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高に対する税額の一定割合を仕入控除税額とする制度です。

平成26年度税制改正の概要

消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、現行の第四種事業のうち、金融業及び保険業を第五種事業とし、そ のみなし仕入率を現行の60%から50%とするとともに、現行の第五種事業のうち、不動産業を新たに新設した第六種 事業とし、そのみなし仕入率を現行の50%から40%とすることとされました。

原則として、平成27 年4 月1 日以後に開始する課税期間から適用されます。

適用開始時期の経過措置

平成 27 年 4 月1 日以後に開始する課税期間であっても、事業者が平成26 年 9 月30 日までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出した場合は、その届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から 2 年を経過する日までの間に開始する課税期間については、改正前のみなし仕入率が適用される経過措置が設けられています。
なお、事業者が新たに平成26 年10 月1 日以後に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合は、平成27年4 月1 日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されます(経過措置の適用なし)。

 

平成26年6月現在

雇用促進税制

雇用促進税制の概要

この制度は、法人が平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等は2人以上)及び10%以上増加していることについて証明がされるなど一定の場合に、税額控除が認められます。

適用対象法人

 この制度の適用対象法人は、青色申告法人です。
なお、雇用者の増加数の要件が2人以上とされる中小企業者等とは、青色申告法人のうち、中小企業者又は農業協同組合等をいいます。

(注)中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。

  • 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
    ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ。)に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
  • 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

適用対象年度

 この制度は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、適用できます。
 ただし、適用対象年度であっても、設立(合併、分割又は現物出資による設立を除きます。)の日を含む事業年度、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度においては適用できません。

適用要件

 この制度の適用を受けるためには、次の1から5までの要件を全て満たしている必要があります。
なお、適用年度開始の日の前日における雇用者数が零である場合には、3の要件は不要となります。

  • 前期及び当期に事業主都合による離職をした雇用者及び高年齢雇用者がいないこと

    (注) 前期とは、当期開始の日前1年以内に開始した各事業年度をいいます。(以下、この「4 適用要件」において同じです。)

  • 基準雇用者数が5人以上(中小企業者等については2人以上)であること

    (注) 基準雇用者数は、当期末の雇用者の数から適用年度開始の日の前日の雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除きます。)の数を引いた数です。

  • 基準雇用者割合が10%以上であること

    (注) 基準雇用者割合は、基準雇用者数を適用年度開始の日の前日雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除きます。)の数で除した数です。

  • 給与等支給額が比較給与等支給額以上であること
    • (注1) 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して支給するものに限り、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対して支給するものを除きます。)の支給額をいいます。

    • (注2) 比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。
      なお、前期の給与等の支給額には、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれません。
      前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
      また、適用年度開始の日の前日における雇用者数が零である場合には、次の算式により計算した額が比較給与等の支給額となります。
      前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額×30%)

    • (注3) 前期の月数と当期の月数が異なる場合には、所要の調整が必要です。

  • 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること

税額控除限度額

 税額控除限度額は基準雇用者数に40万円(注1)を乗じた金額です。
ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の10%(中小企業者等(注2)については20%)相当額を超える場合には、その相当額が限度となります。

(注1) 平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度においては20万円となります。

(注2) 中小企業者等とは、上記「2 適用対象法人」に掲げる中小企業者等をいいます。

その他注意点

1 この制度における雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、使用人から役員の特殊関係者及び使用人兼務役員は除かれます。
なお、役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。

①役員の親族

②役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

③上記①、②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの

④上記②、③の者と生計を一にするこれらの者の親族

2 この制度における高年齢雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の高年齢継続被保険者であるものをいいます。

3 この制度の適用を受けるためには、次が必要です。

  • 公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で、上記「4 適用要件」の①から③までの要件についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。
  • 確定申告書等に控除を受ける金額の申告の記載及びその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

(措法42の4、42の12、措令27の4、27の12、措規20の7)

平成26年6月現在

接待交際費の損金不算入制度 平成26年度税制改正

接待交際費の損金不算入制度 改正の概要

 改正前における交際費等の損金不算入制度は、次のとおりとされていました(旧措法61の4)。

  • 中小法人以外の法人・・・支出する交際費等の全額が損金不算入
  • 中小法人・・・・・・・・支出する交際費等の額のうち年800万円(以下「定額控除限度額」といいます。)を超える部分の金額が損金不算入

(注)「中小法人」とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいい、普通法人のうち事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除きます。以下同じです。

 平成26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を平成28年3月31日まで2年延長するとともに、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。以下「飲食費」といいます。)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下「接待飲食費」といいます。)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとされました(措法61の4①④、措規21の18の4)。

(注)

  1. 「社内飲食費」とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものをいいます。以下同じです。
  2. 1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、従前どおり、交際費等に該当しないこととされています(措法61の4④二・⑥、措令37の5①、措規21の18の4)。

 なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、従前どおりの定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができ、定額控除限度額までの損金算入を適用する場合には、確定申告書、中間申告書、修正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」といいます。)に定額控除限度額の計算を記載した別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)を添付することとされています(措法61の4②⑤)。

これらの改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます(改正法附則77)。

飲食費の範囲

 飲食費について法令上は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」と規定されています(措法61の4④)。このため、次のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当します。

  •  自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
  •  飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
  •  飲食等のために支払う会場費
  •  得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
  •  飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

(注)接待飲食費は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)であって、帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているもの」とされており、ここでいう「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」は、改正前の飲食費の定義である「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と同一の用語であることから、その範囲は変わりません。

飲食費に該当しない費用

次に掲げる費用は飲食費に該当しません。

  • ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
    通常、ゴルフや観劇、旅行等の催事を実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施されるものであり、その飲食等は主たる目的である催事と一体不可分なものとしてそれらの催事に吸収される行為と考えられますので、飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程の全てが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用は飲食費に該当しないこととなります。
  • 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
    本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、その送迎費は飲食費に該当しないこととなります。
  • 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
    単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから、その贈答のために要する費用は飲食費に該当しないこととなります。

社内飲食費に該当しない費用

社内飲食費の支出の対象者について法令では、「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」と規定されていますので(措法61の4④)、自社(当該法人)の役員、従業員(これらの者の親族を含みます。)に該当しない者に対する接待等のために支出する飲食費等であれば、社内飲食費には該当しません。したがって、例えば次のような費用は社内飲食費に該当しないこととなります。

  • 親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
  • 同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する自己負担分の飲食費相当額

帳簿書類への記載事項

 接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等が該当します。)に、飲食費であることを明らかにするために次の事項を記載する必要があります(措法61の4④、措規21の18の4、法規59、62、67)。

  • 飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為をいいます。以下同じです。)のあった年月日
  • 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  • 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
  • その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

中方法人の選択適用

 中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを、事業年度ごとに選択できることとされています(措法61の4①②)。
具体的には、申告書等に添付する別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)において、いずれかの方法により損金算入額を計算し、申告等の手続きを行うことになります(措法61の4⑤)。

研究開発税制

研究開発税制の概要

 研究開発税制は、次のとおり、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」、「特別試験研究に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」及び「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」の4つの制度によって構成されています。
 なお、これらの制度には、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」を除いて、「繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度」が設けられています。

試験研究費の総額に係る税額控除制

この制度は、青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

特別試験研究に係る税額控除制度

この制度は、青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

中小企業技術基盤強化税制

この制度は、中小企業者等である青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」又は「特別試験研究に係る税額控除制度」との選択適用で、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度

この制度は、青色申告法人の平成20年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合で、次のいずれかに該当するときに、上記1、2及び3の制度とは別枠でその試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

(1) その試験研究費の額が、比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合

(2) その試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当額を超える場合

平成26年6月現在

所得拡大促進税制

所得拡大促進税制の概要

平成25年4月1日から平成28年3月31 日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年。以下「適用事業年度」といいます。)において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。ただし、控除できる税額は、その適用事業年度における法人税の額(個人事業主の場合は、所得税の額)の10% (中小企業の場合は、20%) が限度となります。(平成26年度税制改正で適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長されています。)

<平成26年4月1日より前に終了する事業年度について、適用する場合>
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること

<平成26年4月1日以降に終了する事業年度について、適用する場合>
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が、
・平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%
・同日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%
・平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上であること
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること(計算方法も変更)

他の税制措置との適用関係

雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度、復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度、避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度、又は立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度とは選択適用(所得拡大促進税制を利用する場合、上記の税制は利用できない)となります。

国内雇用者とは

国内雇用者とは、法人又は個人事業主の使用人のうち法人又は個人事業主の有する国内の事業所に勤務する雇用者(当該法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者)をいい、雇用保険一般被保険者でない者も含みます。

ただし、当該法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員をいいます)の特殊関係者や使用人兼務役員は、使用人から除かれています。なお、役員の特殊関係者とは、次の者をいいます。

① 役員の親族
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記①、②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記②、③の者と生計を一にするこれらの者の親族

雇用者給与等支給額とは

雇用者給与等支給額とは、国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。ただし、役員の特殊関係者や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。
また、給与等に充てるため他の者(当該法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を含みます)から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除する必要があります。

◆給与等に含まれるものの例:賃金、勤勉手当、残業手当など給与所得とされるもの

◆給与等に含まれないものの例:退職手当など給与所得とされないもの

※注 決算賞与については、損金算入される事業年度の雇用者給与等支給額に含まれます。

基準雇用者給与等支給額とは

基準雇用者給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。すなわち、平成25年4月1日より前に事業を行っている法人の場合には、平成24年度(個人事業主の場合は、平成25年)の雇用者給与等支給額が基準雇用者給与等支給額となります。

なお、基準事業年度の月数と当該適用事業年度の月数とが異なる場合、基準事業年度の雇用者給与等支給額に当該適用事業年度の月数を乗じてこれを基準事業年度の月数で除して計算した金額を基準雇用者給与等支給額とします。

 例1:3月末締めの会社の場合
→平成24年4月から平成25年3月までが基準事業年度となります。

 例2:12月末締めの会社の場合
→平成25年1月から平成25年12月までが基準事業年度となります。

雇用者給与等支給増加額とは

適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を引いた金額です。

 例:3月締めの会社の場合
→適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準事業年度(平成24年4月から平成25年3月までの事業年度)の
雇用者給与等支給額を引いた金額です。

平成26年6月現在

障害者雇用に係る税制上の優遇措置

障害者雇用に係る税制上の優遇措置の概要

障害者を多数雇用したり、障害者施設への業務の発注を行うなど、障害者の雇用や
就業に積極的な企業は、税制優遇制度を利用することができます。
法人税(個人事業主の場合は所得税)や事業所税、不動産取得税、固定資産税の優遇
措置が受けられます。

利用できる税制優遇制度

1 機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
2 「障害者の働く場」に対する発注促進税制(法人税・所得税)
3 助成金の非課税措置(法人税・所得税)
4 事業所税の軽減措置
5 不動産取得税の軽減措置
6 固定資産税の軽減措置

税制優遇制度の概要

1 機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
障害者を多数雇用する事業所が減価償却を行う際、その事業年度、またはその
前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作、建設した機械や設備などについて、
普通償却限度額に加えて、機械は24%、工場用建物は32%の割増償却をすること
ができます。

2「障害者の働く場」に対する発注促進税制(法人税・所得税)
就労移行支援事業所や特例子会社など、障害者を雇用している事業所(「障害
者の働く場」)への業務発注額を前年度より増加させた場合、過去3年間に取得、
製作、建設した減価償却資産について、発注額の増加額分の割増償却(対象とな
る減価償却資産の普通償却限度額の30%を限度)を行うことができます。

3 助成金の非課税措置(法人税・所得税)
国や地方公共団体の補助金、給付金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金※
の支給を受け、それを固定資産の取得または改良に使った場合、その助成金分に
ついては、圧縮記帳により損金算入(法人税)、または総収入金額に不算入(所
得税)とすることができます。

4 事業所税の軽減措置
・資産割
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて施設の設置を行った場合、
その施設で行う事業にかかる事業所税について、課税標準となるべき事業所床面
積の2分の1に相当する部分について控除できます。
・従業員割
事業所税の課税標準となるべき従業員給与総額の算定について、障害者に支払
う給与総額を控除できます。

5 不動産取得税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得し、
引き続き3年以上、事業用に使用した場合には、その施設の取得に伴う不動産取
得税について、取得価格の10分の1相当額に税率を乗じた額が減額されます。

6 固定資産税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得した場
合には、その施設についての固定資産税の課税標準は、当初5年度分に限り、
課税標準となるべき価格から取得価格の6分の1に障害者雇用割合を乗じた金額
が減額されます。

平成26年6月現在