(後編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

(前編からのつづき)

 さらに「外食の範囲」に『配達先での飲食料品の取り分け』を、「一体資産の適用税率の判定」に『一万円以下の判定』を、「区分記載請求書等の記載方法等」に『軽減税率の適用対象となる商品がない場合』と『相手方の確認を受けた仕入明細書等』の合計7問が追加されました。
 例えば、慶弔のお返しのカタログギフト販売についてQ&Aでは、同事業が贈与者による商品の贈答を代行することを内容としており役務の提供に該当するので、たとえ食品のみを掲載するカタログギフトの販売でも「飲食料品の譲渡」にはあたらず、軽減税率の適用対象外としております。

 また、『コーヒーの生豆の販売』では、「食品」とは人の飲用又は食用に供されるものをいうので、人の飲用又は食用に供されるコーヒーの生豆は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となるとしております。
 一方、『食品の加工』では、取引先から支給を受けて行うコーヒーの生豆の焙煎等の加工は役務の提供に該当するので、軽減税率の適用対象とはならないと説明しております。
 今後の軽減税率制度の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

国税庁は、国税庁ホームページ上に掲載している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編、個別事例編)」の掲載内容の改訂及び追加をしております。
 消費税の軽減税率制度に関するQ&Aは、消費税率10%への引上げと同時に実施される消費税の軽減税率制度を広く国民に理解してもらう必要があることから、国税庁において2016年4月に作成したものです。

 今回の更新では、制度概要編で2問の改訂を、個別事例編で新たに7問を追加しております。
 制度概要編の改訂項目は、「飲食料品を譲渡する際の包装材料等の取扱い」と「『飲食に用いられる設備』(飲食設備)の意義」です。
 前者では、例えば、飲食料品の販売に際して使用される包装材料等が、その販売に付帯して通常必要として使用されるものは、その包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当するとしております。
 一方、個別事項編では、「飲食料品の譲渡の範囲等」に『コーヒーの生豆の販売』、『カタログギフトの販売』、『食品の加工』を追加しております。

(後編へつづく)

平成30年5月の税務

5/10
●4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

5/15
●特別農業所得者の承認申請

5/31
●個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知
●3月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●9月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付

○自動車税の納付
○鉱区税の納付

成人年齢引き下げで変わる税制

成人年齢を20歳から18歳に引き下げることを柱とする民法改正案が閣議決定されました。2018年度の与党税制改正大綱の「検討事項」には税制についても「民法に合わせて要件を18歳に引き下げることを基本」とすると記載されており、20歳を境界線にしている税制が見直される可能性は高いとみられます。

 20歳を境界線にしている税制には相続税の「未成年者の税額控除」があります。財産の取得時に20歳未満の人は相続税額から一定額を控除できるというもので、控除額は満20歳になるまでの年数1年につき10万円。17歳5カ月の人なら20歳になるまでの期間を「3年」(1年未満の期間は切り上げ)で計算し、控除額は30万円となります。仮に民法改正に合わせて税制が「満18歳になるまでの年数1年につき10万円」と変更されたとすると、控除額は10万円にまで下がることになります。

 ただし、未成年者控除制度を「20歳未満の者の税額控除」などと変更し、控除額をこれまでと同様とする可能性もあります。実際、例えば飲酒年齢を規定する「未成年者飲酒禁止法」は、法律名を「ニ十歳未満の者の飲酒禁止に関する法律」に改め、民法改正後も20歳未満の飲酒を禁止とする予定とのことです。

 贈与時の税負担を減らす「相続時精算課税制度」も見直しの対象です。親や祖父母から贈与を受けても2500万円まで贈与税は無税となる同税制は、現行では20歳以上の子どもが利用できるものですが、今後は2年早く利用することが可能となるかもしれません。

 証券投資にかかる税金を非課税にする「NISA」にも影響が出ます。これまでは20歳以上の人が利用できるのはNISA、20歳未満はジュニアNISAとされてきましたが、今後は18歳が境界線になると見られています。
 なお、成人年齢の引き下げを盛り込んだ改正民法は2022年4月1日に施行されます。
<情報提供:エヌピー通信社>

「酒、茶、塩」、地租改正時の物品税の候補は?

税務大学校は「税の歴史クイズ」として、明治6年の地租改正の際に物品税の課税候補に挙げられた物品につき、煙草と材木のほかに、①酒、②茶、③塩のいずれが候補だったかを問う三択クイズを出題しています。

 明治政府は地租改正の際、当初の地租の税率を地価の3%としたうえで、今後「物品税」が整備されて歳入が増えれば税率を1%に減税する方針を示しました。物品税の課税候補には、煙草と材木とともに茶が挙げられたそうです。つまり冒頭のクイズの答えは②です。

 税務大学校によると、緑茶はアメリカでコーヒーの代用品として飲用されていたため、「当初は将来有望な課税物品とみなされていた」ということです。ただし、物品税が課税されたのは煙草だけで、茶と材木には課税対象外とされました。

 なお地租の税率は明治10年に2.5%まで引き下げられました。その後、明治政府は明治17年に地租条例を公布し、地価の2.5%に固定されました。

 税の歴史クイズは社会と税の関わりをクイズ形式で紹介するコンテンツ。2カ月に1回のペースで税務大学校のホームページに問いが追加されています。
<情報提供:エヌピー通信社>

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

今月の税務トピックス①よりつづく)

2 労働生産性
 労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量(注)
 (注)労働者数又は労働者数に一人当たり年間就業時間を乗じたものとされます。

3 中小企業者等(措法42の4⑧六)
 「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組合等で青色申告書を提出しているものとされます。このうち、「中小企業者」とは、資本金の額等が1億円以下の法人のうち、次に掲げる法人以外の法人又は資本等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とされます。
①その発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上が同一の大規模法人(注)の所有に属している法人
②上記①のほか、その発行済株式等又は出資の総数又は総額の3分の2以上が大規模法人(注)の所有に属している法人
 (注)大規模法人とは、資本金の額等が1億円を超える法人又は資本等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

Ⅲ 先端設備等の取得価額要件(新地方令11(45)※正しくは丸に45)
 前述したⅠの本特例の適用を受ける場合には、「一定の規模以上の先端設備等」を取得等して、国内にあるその法人の事業の用に供する必要があります。
 この場合における取得価額要件は、次に掲げるとおりとされます。
①機械装置:1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
②工具・器具及び備品:1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
③建物附属設備:一の取得価額が60万円以上のもの

おわりに
 本特例は、国の同意を受けた市区町村から先端技術等導入計画の認定を受ける必要がありますが、その認定に際しては認定経営革新等支援機関による事前確認が義務付けられていますので留意して下さい。
 また、経営力向上設備等に係る償却資産税の特例制度は、平成31年3月31日の適用期限の到来をもって廃止されます(平成30年度地方税附則15)。

今月の税務トピックス① 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置の創設

はじめに
 中小企業の業績は徐々に回復傾向にあるようですが、労働生産性は伸び悩んでおり、大企業との差も拡大しています。また、中小企業が所有している設備は老朽化が進んでおり、生産性向上に向けた足枷となっています。
 そこで、平成30年度税制改正では、地域の中小企業者等による設備投資の促進に向けて「生産性向上特別措置法」の規定により、市町村が主体的に作成した計画に基づき行われた設備投資に対して、償却資産税が軽減される特例措置(いわゆる認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置、以下「本特例」といいます。)が創設されました。
 そこで、本稿では、本特例の概要と実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 制度の概要(平成30年度地方税附則(47)※正しくは丸に47)
 中小企業者等が、生産性向上特別措置法の施行の日から平成33年3月31日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内において、同法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた認定先端設備等導入計画に従って取得された機械装置、工具(測定工具及び検査工具に限ります。)、器具備品及び建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除きます)(以下「機械装置等」といいます。)に対して課される固定資産税の課税標準は、その機械装置等に対して新たに課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、その機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とされます。

Ⅱ 用語の定義
1 先端設備等(平成30年度地方税附則(47)※正しくは丸に47、生特法36①)
 「先端設備等」とは、商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供する施設、設備、装置又はプログラムであって、次に掲げる要件を満たすもの(工業会等が証明書を発行)とされます。
①販売が開始された時期に係る要件
 それぞれの指定設備の属する型式区分ごとに販売が開始された時期に係る要件に該当するものであること。
イ.機械装置:10年以内
ロ.工具:5年以内
ハ.器具備品:6年以内
ニ.建物附属設備:14年以内
②生産性向上要件
 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。

(今月の税務トピックス②につづく)

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その2

第2期になり、損益は次のように好転しました。
(3)第2期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫300、当期仕入900、期末在庫300) 損益:100

 第2期の実態は(3)の通りなのですが、帳簿上はこうはなっていません。それは、(2)で期末在庫の粉飾を行っていて、(3)の期首在庫は500で計算するからです。第2期で粉飾を行わないと、第2期の売上原価は1,100(500+900-300)ですから、第2期の損益は100の赤字になってしまいます。第2期の正しい損益100を維持するためには、(4)のように、やはり期末在庫を500として、在庫の過大計上を続けざるを得ません。
(4)第2期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 上記の設例では、第2期は損益が好転しているので、在庫の粉飾額は前期と同額で済みましたが、粉飾をするような会社はそう簡単に収益は好転せず、赤字額が拡大していくのが普通です。粉飾決算は損失の先送りに過ぎませんから、黒字を仮装するためには粉飾の金額は雪だるま式に膨らんでいきます。粉飾決算を途中で是正することは容易ではないのです。

 粉飾決算はブレーキを持たない車のようなものです。車なら買わなければいいのですが、残念なことに粉飾という車は常に背後霊のように会社に存在しています。経営者は粉飾という車が走り出さないように、自らを厳しく律すると同時に監視を怠ってはいけません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その1

東芝の例に見られるように粉飾決算は後を絶ちません。ただ、誰でも粉飾決算をやりたくて、しているわけではありません。粉飾決算は犯罪ですから、やむを得ず始めたとしても、できるだけ早く切り上げたいと思っているはずです。しかし、粉飾は一度始めると、なかなか止めることはできません。

 粉飾決算には色々なパターンがありますが、最もよくあるのは在庫操作です。その典型である在庫操作を例にとり、粉飾を止めるのがいかに難しいのか考えてみましょう。
 ある会社の第1期が次のような決算状況だったとします。
(1)第1期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:1,100(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫300) 損益:△100
売上は1,000で、売上原価は1,100ですから、損益は100の赤字です。赤字は困るので、(2)のように粉飾することにしました。
(2)第1期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 本当の期末在庫は300ですが、500に水増しして、売上原価を900にすると、利益は100になります。ただ、この操作は一時的に利益を出すための粉飾ですから、利益状況が好転すれば、適正な期末在庫に戻したいと考えています。
 そこで、第2期に損益が思惑通り好転すれば、粉飾から脱却できるでしょうか。(つづく)

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

【経済産業省】
●平成29年度補正予算 経済産業省 「グローバル企業展開・イノベーション促進事業費補助金(JAPANブランド育成支援事業)」
 EU加盟国への市場獲得を目指す複数の中小企業等が連携して、優れた素材や技術等を活かし、その魅力をさらに高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取組みに要する経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外販路の拡大を図るとともに、地域経済の活性化および地域中小企業の振興に寄与することを目的に補助金を支給します。

●平成29年度補正予算 経済産業省 「省エネルギー設備の導入・運用改善による中小企業等の生産性革命促進事業」
 民間団体等が行う省エネルギー性能の高い機器及び設備の導入と合わせて、エネルギー使用量等を系統的に整理、蓄積するために必要となる計測装置等の導入に要する経費の一部を補助する事業及び補助事業を行う者を対象とした省エネルギー設備導入後における省エネに関する専門家の派遣の実施に要する経費を補助支援する目的で補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度予算 農林水産省 「農の雇用事業」 
 農業法人等が新規就農者、又は新たな農業法人の設立による独立を目指す者(研修生)を新たに雇用し、就農に必要な技術・経営ノウハウ等を習得させるための実践的な研修(雇用就農者育成タイプ)に加え、新たな農業法人の設立や経営継承し法人化を目指す者を雇用して実施する研修(新法人設立支援タイプ)の募集も行なうことを目的に助成金を支給します。

●平成30年度 埼玉県 「埼玉県スマート工場化支援事業補助金」
 埼玉県では、IoT技術を活用し、生産性向上や付加価値向上につなげる仕組みを構築する製造業者を支援する目的で補助金を交付します。

●平成30年度 千葉県 「ちば中小企業元気づくり基金事業」
 ちば中小企業元気づくり基金により、中小企業の新商品・新技術等の開発支援、地域資源を活用した地域活性化、産業人材の育成・確保等の支援を行うことを目的に助成金を支給します。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。