《コラム》修繕費か資本的支出か システムキッチンの取替工事

◆悩ましい?「システムキッチンの取替工事」
 賃貸不動産の管理者は、入居者の退去の際、内部の建具などの傷みが激しければ業者に修繕を依頼します。設備の交換に及ぶこともあり、税務上、修繕費とするか、資本的支出とするか悩ましいものもあります。

◆システムキッチンは建物と一体の台所?
 国税不服審判所でも、システムキッチンの交換が修繕費に当たるか、資本的支出に当たるか争われた例があります。
 あるマンション(築17年)を賃貸していた方が、その賃貸していた部屋の台所ほか各設備を取り壊し、新たなシステムキッチンに取替えた工事を修繕費としたところ税務署から否認されました。そこで次の理由から、修繕費であると主張しました。
・居住用機能を回復させる工事であること
・建物の基礎や柱などの躯体に影響を与えるものでなく、建物の現状維持が目的であること
 これに対し、審判所は、事案のシステムキッチンは、建物と物理的に不可分なものであり、建物の修繕費(既存設備の解体工事)と資本的支出(新設備の取得)が同時に行われたもので、建物の価値増加に貢献することから、資本的支出と判断しました。
 この裁決では「システムキッチン」について、広辞苑の次の説明を引用しています。
(システムキッチン)台所の形態の一種で、ある規格に基づいて作られた流し台、調理台、ガス台、収納部などを自由に組み合わせ一体化して作り付けた台所
 このシステムキッチンは、流し台等が建物新築時より床や壁に固定され、給湯、給排水、電気及びガス設備と連結させて、初めて住宅内での調理等ができるもので、建物との物理的な接着度が高く、容易に取り外せないものであったようです。
 この裁決では「建物と一体不可分な台所」と判断したものでしたが、この裁決以前は、「建物と可分・独立」なものとして「器具備品」と整理する例が多かったようです。

◆個別の状況に応じて総合的な判断を
 ただ、この裁決の判断は一例であり、取替工事については、個別に「修繕費」か「資本的支出」か、「既存資産を除却し、新規取得資産の取得」とするか判断する必要がありそうです。①支出金額の内容、②支出効果の実質を見ながら、既存の資産が「建物」で計上されているか、「器具備品」で計上されているのか等も確認する必要があります。

【時事解説】二重ローンを避けるノンリコースローン その1

地震などの大災害で住宅が毀損すると二重ローンの問題が浮上します。二重ローンとは住宅ローンで建てた家が地震で壊れてしまい、そのローンが残っているにもかかわらず新住宅建設のために新たにローンを借りなければならない状態を言います。地震にかかる二重ローンを回避するためには、借入者は地震保険を掛ければいいのですが、地震保険は保険料が高く、それほど普及していないのが現状だと思います。二重ローンはもっぱら借入者の自己責任か公的補助の問題で片付けられることが多いのですが、(資金を)融資する金融機関の側にも改善すべき点があるように思います。

 当然のことですが、住宅ローンは住宅に住む人に融資します。ローンで建てた住宅は担保には入れますが、返済はあくまで資金を借りた人が行います。したがって、担保に入れた住宅を売却してローンを返済したとき、その住宅が値下がりして、ローンが残ってしまえば、住宅がなくなってしまっても、借入人はローンを返済し続けなければなりません。こうした融資の対象となった物件がなくなっても、借入人がローン返済の義務を負い続けるローンをリコースローン(リコースとは「遡及する」という意味です)と言います。日本ではこうした形のローンが一般的であり、ローンとはこういうものだと思われているかもしれませんが、借入者に遡及しないノンリコースローンという融資形態もあります。

 ノンリコースローンは事業融資なら、あるプロジェクト融資を行ったとき、プロジェクトが失敗すれば、融資したことによる損失は借入人ではなく貸出人が引き受けるローンです。住宅ローンであれば、住宅がなくなれば、借入人はそれ以上のローンの返済義務を負わないというものです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

【経済産業省】
●平成29年度補正予算 「サービス等生産性向上IT導入支援事業 (IT導入補助金)」 3次公募
 中小企業等の生産性向上を実現するため、バックオフィス業務等の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上(売上向上)に資するIT導入を促進するための支援として補助金を支給します。

●平成30年度予算 「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」
 将来のものづくり現場では、あらゆるモノがインターネットでつながる IoTや人工知能のさらなる活用により、クラウドを通じた生産設備の連携と、自動化・無人化がさらに進むと考えられます。レーザーは加工等の条件をデジタル制御しやすいため、将来のものづくりにおける最重要ツールの一つとして期待されています。しかしながら、従来のレーザー加工は、加工速度、仕上がり品質、省電力化などに課題があります。これまでにない高輝度かつ高効率なレーザー技術やそのレーザーを用いた次世代レーザー加工技術を開発し、高付加価値製品の製造に適した加工システムを社会に普及させることを目的に補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度 農林水産省 「食品産業海外展開支援事業のうちJAS規格認証支援事業」 追加公募
 日本からの農林水産物・食品の輸出拡大や、我が国食産業の海外展開の取組を促進するため、海外市場への進出を目指す又はすでに進出している農林水産・食品分野の関連事業者(製造業、流通業、小売業等)に対し、日本産品の品質や特色、事業者の技術や取組などの強みの訴求につながるJAS規格認証の取得を支援する目的で補助金を支給します。

●平成30年度 青森県 「中小企業等外国出願支援事業」 追加公募
 青森県内の中小企業者が、海外市場での販路開拓や営業展開、模倣被害への対策に、外国への特許等を出願する際に係る費用の一部を支援する目的で補助金を支給します。

●平成30年度 三重県 「三重県農業次世代人材投資資金(準備型)」 第2次公募
 三重県では、次世代を担う農業者になることを志向し、県が認める研修機関等(三重県農業大学校、先進農家又は先進農業法人など)において、就農に向けた研修を受ける者に対して、農業次世代人材投資資金(準備型)を支援する制度を実施しています。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。

 

《コラム》交際費課税の特例延長

◆年額800万円までか、全体の50%か
 法人が支出した交際費は原則として損金不算入ですが、平成26年度税制改正から、資本金1億円以下等の中小法人については支出する交際費等のうち年800万円以下は損金として計上するか、接待飲食費の50%相当額を損金計上するかの選択適用ができるようになりました。
 また、中小法人以外の法人でも、接待飲食費の50%相当額を損金計上できるようになりました。
 当初は平成28年までの特例措置となっていましたが、28年度税制改正で30年3月まで、そして今年の30年度税制改正で32年3月31日までに開始する事業年度まで、と適用期限が延長されました。

◆5,000円以下の接待飲食費の扱いに注意
 昔から実務上は5,000円以下の飲食費は会議打ち合わせでの飲食との区分が曖昧でしたが、平成18年度改正より飲食に関する接待費が5,000円以下であれば税務上交際費に含めず、全額を損金計上できる事が明記されました。
 ただしその法人の役員・従業員・親族に対する接待等のために支出するものは、5,000円以下であっても交際費に該当しますので注意が必要です。
 また、帳簿書類への記載は、
①飲食のあった年月日
②参加した得意先等の方の氏名や関係
③参加した人数
④飲食費の額と店の名前・所在地
等を明記する必要があります。
 よく経理担当者から「この領収書のお店、誰と行ったんですか?」と聞かれる社長も多いかもしれませんね。お付き合いの多い場合は「分からなくなるからすぐに領収書に相手の名前を書いておく」という方もいらっしゃいます。

◆交際費課税は景気のバロメーター?
 昭和29年度の税制改正から導入された交際費課税制度ですが、過去には頻繁に改正が行われていました。世相や景気によって左右されがちな交際費課税ですが、ここ最近の特例措置の延長に鑑みると、政府は景気の回復を最優先にしていることが見て取れます。

申告漏れで移転価格税制を適用

 重機大手の企業が、2016年3月期までの4年間で約100億円の申告漏れを東京国税局に指摘されていたことが分かりました。海外のグループ会社との取引を巡り、「移転価格税制」を適用されたことが理由。グループ間での利益移転を防止する同税制は、国際的にネットワークを持つ大企業を主な対象としたものですが、中小企業の海外進出の落とし穴ともなりかねません。

 指摘を受けた会社は、国内で生産した自動車部品をタイの子会社に販売した取引について、販売価格が不当に安すぎるとの指摘を国税から受けました。取引によって国外に移転した利益は約100億円とされ、追徴税額は過少申告加算税などを含めて約43億円とみられます。

 ある会社が、海外の関連会社に自社商品を通常の取引価格よりも低い価格で販売すると、課税所得はその分減少して法人税負担も少なくなります。一方、海外の関連会社からすれば日本の会社から商品を安く仕入れたことで利益が増え、自国での税負担が増えます。結果、本来なら日本の会社の利益となる部分が海外に移転し、税収も海外に持って行かれてしまうことになります。

 こうした課税所得の海外移転を防ぐため、取引価格が一般企業同士における価格に比べて不当に安い、または高いと判断された時には、そこに課税逃れの意図があったかどうかにかかわらず、一般的な価格に計算し直して、移転された利益部分に追徴課税するというルールが1986年に作られました。これが移転価格税制です。

 導入された80年代にイメージしていたのは、世界中に子会社を持つ大企業だったかもしれませんが、経済のグローバル化が進むなかで多くの中小企業が海外に関連会社を設立する時代となっています。同税制には企業規模に応じて適用を免除する除外規定などは設けられていないため、海外に支社を持つ中小企業は注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>

【時事解説】マイナス金利をファイナンス理論に適用すると その2

運用金利がプラスであれば、そこに個別リスクを乗せますから、割引率は必ずプラスになります。マイナス金利政策で国債金利がマイナスになるとしても、マイナス幅には限界がありますし、そこに個別リスクを上乗せしますから、割引率はプラスになると考えてもいいと思います。ただ、本稿では、やや頭の体操的にはなりますが、仮にマイナス金利が極端に振れ、割引率がマイナスになるとどうなるか考えてみましょう。

 たとえば、割引率が-10%だったとしてみます。現在の100円は-10%で運用すると、1年後には90円になってしまいます。つまり、1年後の90円が現在の100円(90÷0.9)と同等になり、90円を超えて回収できるとすれば、今100円投資することが合理的だという結論になってしまいます。

 しかし、100円投資すれば1年後に90円回収できるから投資するというのは明らかに不合理です。なぜなら、そんなことなら投資せず現金で100円持ち続けた方が有利だからです。このように現金保有にマイナス金利を付けられないという前提ではマイナス金利に基づくファイナンス理論は崩壊してしまいます。

 ここから分かることは、マイナス金利政策の最大の弱点は現金にマイナス金利を付けられないことにあります。これはファイナンス理論だけではなく、マイナス金利全体に当てはまる議論です。現金にマイナス金利を付けられない以上、そのひずみは銀行が一身に背負わなければなりません。そう考えると、マイナス金利は長く続けられる政策ではありません。逆に、強力に長く続けるようであれば、銀行は持ちこたえることはできないでしょう。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】マイナス金利をファイナンス理論に適用すると その1

 2018年7月の政策決定会合でややトーンは弱まりましたが、日銀は依然としてマイナス金利政策を維持しています。マイナス金利は経済だけでなく、会計方面にも大きな影響を与えます。というのは、会計やファイナンス理論で重要となる将来キャッシュフローの現在価値の計算に際し使用する割引率は、国債等の運用利回りをベースにするからです。

 投資の意思決定の問題を考えてみましょう。投資の際には、投資金額以上の資金回収が得られるかどうかが重要な判断材料になります。そのため、現在投資しようとするキャッシュと、将来回収できると予想されるキャッシュを比較しなければなりません。しかし、手元に存在する100円と将来手にすると予想される100円は、同じ100円でも同等でありません。1年後の100円は現在の100円に比べて、2つの点で見劣りするからです。一つは運用利息です。現在の100円は預金をしたり、国債を買ったりすれば1年後には利息が付きますから、元利含めて100円を上回ります。もう一つは確実性です。現在は確実ですが、将来は不確定です。ですから、現在時点と比較する将来のキャッシュはある一定の利率で割り引いて計算する必要があります。その利率を割引率といいます。割引率は国債等のリスクフリー(元本毀損リスクがない)レートに個別のリスクを加えたレートになります。

 たとえば、割引率が10%とすると、1年後に手にするとされる100円は90.9円(100円÷1.1)と評価されます。つまり、今100円投資して、1年後に100円回収できると予想できても、投資採算には合わないと判断できます。最低限1年後に110円回収できたとき、今の投資の100円(110円÷1.1)と同じ価値になります。これが割引率がプラスのときの通常の投資判断になります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》自然災害と中小企業支援策

◆想定できないような災害が増えた?
 近年、急激な天候の変化が大きな自然災害となるケースが増えている感じがします。気候変動の影響で台風のルートが変わったり想定を超える雨量で甚大な被害が発生したり、今まで大丈夫であった場所にも被害が及ぶ事があります。
 万が一被害を受けた場合、復旧に費用や時間を要する事がありますが支援策はどのようになっているのでしょうか。

◆災害救助法が適用される災害支援
 この法は、被災された方の状況が著しく困難でかつ多数の世帯の住居が滅失した状態の被災地に都道府県が適用し、自衛隊や日本赤十字に応急的な救助の要請、調整、費用負担を行うとともに被災者の救助や保護の活動を行う事を定めています。
 中小企業向けには、
(1)特別相談窓口の設置
(2)災害復旧貸付の実施
(3)セーフティネット保証4号実施(突発的災害が原因の売上げ減少による融資申請)
(4)既往債務の返済条件緩和
(5)小規模企業共済災害時貸付の適用
 さらに激甚災害法に基づき指定されると上記支援策の他に、
(1)災害関係保証(特例)の実施
(2)政府系金融機関の災害復旧貸付の金利引き下げが行われます。

◆保険と共済の適用
 経済産業省が今年の3月に公表した資料によると、中小企業に対する国の支援策は事業者による自助を前提とはするものの、平成28年度の台風10号、平成29年度の九州北部豪雨の被災事業者へのヒアリング結果から、各種災害と保険対象の補償を組み合わせた総合保険や休業補償にかかる商品を活用して損害をカバーしたケースをあげています。保険商品の多様化で細かいニーズに応える事が可能になっているとはいえ、活用のためには事業者も保険商品の内容の理解が必要としています。
 地震や気候の変化にも事業活動を継続していけるよう対策を進めておくことが必要であるとしていますが、上記資料によれば平成28年3月時点では中小企業のBCP(事業継続計画)策定済み企業は15%に留まっているという事です。

《コラム》国税庁レポートから読み解く2018年度の重点事項

◆国税庁レポートとは
 国税庁は昭和43年から「日本における税務行政」を毎年刊行していましたが、平成16年以降、それに代わって登場したのが「国税庁レポート」です。国税庁ホームページで閲覧することができます。
 国税庁で実施している様々な取組みを納税者に分かりやすく説明することを目的に作成しているので、国税庁の1年間の活動やトピックスが約70ページに凝縮され、読み物としても面白い構成となっています。

◆国税庁の思惑が分かる
 国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適切かつ円滑に実現する」ことです。適正に申告を行っている納税者に不公平感を与えないよう、適正・公平に課税・徴収に努めるとしています。
 使命を実現するために、当局は様々な施策を試みてきました。中にはあまり成果が上がらなかったものもあり、そうしたものは自然消滅的に施策から消えていきます。国税庁レポートを過去と照らし合わせて読み解くと、今年の強力に推し進めたい施策がどのようなものか見えてきます。

◆2018年の重点事項はこれだ!
1.税務行政のスマート化
 ほとんど注目されていませんが、今年7月から事務処理センターの試行運用が全国で展開されています。調査担当者が担っていた事務の一部を一元処理するというものですが、裏を返せば、調査担当者は更に調査に集中できることになります。
2.消費税の軽減税率制度への対応
 軽減税率制度の説明会や電話相談センターの専用窓口の設置など、制度の普及に向けた取組みが積極的に行われており、増税の再延長は考えにくい状況です。軽減税率制度は2019年10月から、インボイス制度は2023年10月から導入されます。
3.国際的な取引への対応
 昨年7月以降、「国際戦略トータルプラン」に基づき、調査マンパワーを充実させてきました。2018年度においても国際税務専門官等の増員を要求しています。パナマ文書、パラダイス文書の公開などから国際的にも関心が高い分野であり、調査の増強が見込まれます。

(後編)国税庁:e-Taxの利用簡便化をPR!

(前編からのつづき)

 「ID・パスワード方式」とは、マイナンバーカード及びICカードリーダライタを持っていないケースについて、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。

 これは、マイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応として行うもので、管轄税務署で職員と対面で本人確認を行うため、本人確認ができる書類を持って税務署に行く必要があります。
 なお、2018年1月以降に確定申告会場などで「ID・パスワード方式の届出完了通知」を受け取った人は、既にID・パスワード方式に対応したIDがありますので、手元の申告書等の控えをご確認ください。
 そして、マイナンバーカードやICカードリーダライタを持っていなくても、スマホなどから申告書を作成し、ID・パスワード方式を利用して送信すれば申告が完了しますので、ご利用されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。