(後編)交際費等の損金不算入・少額減価資産特例は延長!

(前編からのつづき)

 少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得し事業の用に供した場合、一定の要件の下でその減価償却資産の年間取得額の合計額300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額で、月数は暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします)を限度に全額を損金算入できる制度です。

 この特例は、取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用がありますので、器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となります。
 また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。
 なお、2016年度税制改正において、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人(いわゆる大法人)が除外されておりますので、該当されます方は、あわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)交際費等の損金不算入・少額減価資産特例は延長!

2018年度税制改正において、適用期限に伴いそのまま廃止される措置と今回も期限を延長して引き続き実施される措置があります。
 そのうち、中小企業者等が活用しやすい措置である「交際費等の損金不算入制度」及び「少額減価償却資産の特例」(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)については、2020年3月31日まで延長することが盛り込まれておりますので、該当されます方はご確認ください。

 交際費等の損金不算入制度では、接待飲食費の50%まで損金算入が認められる特例及び交際費等のうち定額控除限度額(800万円)まで損金算入が認められる中小法人に係る損金算入の特例について、交際費が中小法人の事業に不可欠な経費であり、販売促進手段が限られる中小法人を引き続き支援する必要があるとして延長され、中小法人は接待飲食費の50%相当額の損金算入と定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用できます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:悪質な滞納事例を公表!

(前編からのつづき)

 悪質な滞納事例をみてみますと、ブロック工事業を営む滞納者Aは、税務調査で売上除外を指摘され、申告所得税等の修正申告を行いましたが、Aは修正申告時点では自宅不動産以外には財産がなく、他方で多数の債権者に財産の価額を上回る債務を負っていました。
 そのため、滞納国税約500万円を一括納付できず、自宅不動産の担保提供を申し出ていたましが、不動産の登記簿を確認したところ、登記簿名義を長女に移していました。
 さらに、Aは長女から返済期限のない借入をしており、国税を納付できなくなることを知りながら、借入の返済として自宅不動産を長女に譲り渡したことを把握しました。

 多数の債権者のうち、あえて長女にした返済は、他の債権者を害する行為と判断し、長女を被告として詐害行為取消訴訟を提起した結果、勝訴判決を受けた税務署長は、自宅不動産をA名義に戻した上で、差押え(約300万円)を行い、国税の徴収を確保しました。
 なお、上記の詐害行為取消訴訟とは、国が滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うものです。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2016年度分会社標本調査結果を公表!

国税庁は、2016年度分会社標本調査結果を公表しました。
 それによりますと、2016年度分の法人数は267万2,033社で、前年度より1.1%増加しました。
 このうち、連結親法人は1,645社で同3.9%増、連結子法人は1万1,908社で同4.3%増加しました。
 連結子法人を除いた266万125社のうち、赤字法人は168万9,427社で、赤字法人割合は前年度比0.8ポイント減の63.5%となって、7年連続で減少しました。

 業種別(連結法人を除く)の赤字法人割合をみてみますと、「出版印刷業」が75.8%で最も高く、以下、「繊維工業」が74.5%、「料理飲食旅館業」が73.8%、「小売業」が71.1%、「食料品製造業」が70.9%と続きました。
 反対に、低い順にみてみますと、「運輸通信公益事業」が57.5%、「建設業」が57.6%、「不動産業」が60.1%となりました。
 また、2016年度分の営業収入金額は、前年度に比べ0.1%増の1,450兆8,100億円となり、増加に転じました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)新しい不服申立制度に注意!

(前編からのつづき)

 改正後は、納税者の選択により、「異議申立て」を経ずに直接、「審査請求」を行うことができるようになり、「異議申立て」については、その名称が「再調査の請求」に変更されております。

 その他の改正では、閲覧請求書類の範囲の拡大と写しの交付があります。
 審査請求人が担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる「閲覧請求」は、改正前は、審査請求人は原処分庁から任意に提出された「処分の理由となった事実を証する書類等」に限り閲覧できましたが、改正後は閲覧できる対象者に原処分庁なども含まれ、閲覧できる証拠書類等の範囲が拡大されております。
 具体的には、担当審判官が職権により提出を求めた帳簿書類その他の物件も閲覧の対象となっております。

 また、改正前は認められていなかった審査請求人による閲覧書類の写しの交付請求が、改正後は請求できるようになっております。
 改正後の写しの交付は、用紙1枚につき10円の手数料で、カメラを持参して撮影することも認められるようになりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【時事解説】次世代がん治療の可能性 その2

近年、革新的ながんの治療法である「免疫治療」が実用化され、がん免疫治療薬は次世代のがん治療薬として期待が寄せられています。中でも、米国で承認されたCAR-T療法は白血病(血液のがん)の治療で劇的な効果が報告されています。CAR―T療法は、異物を排除する「T細胞」と呼ばれる免疫細胞を患者の体から取り出し、がんを認識する遺伝子に改変して患者に戻す治療法です。改変の過程ではがんへの攻撃力を高める操作が行われ、これが白血病患者への優れた効果につながっています。日本ではまだ承認されていませんが、承認に向け製薬会社が相次ぎ参入しています。

 CAR-T療法への期待が高まる理由の一つは高い効果にあります。免疫治療といっても様々な種類があり、日本で承認されているオプジーボ、キイトルーダといった「免疫チェックポイント阻害剤」はがん患者の中でも効くのは2~3割と高くありません。薬の効果を高めるといった課題解決の点でCAR-T療法は優れているといえます。ただ、CAR―T療法は白血病では高い効果を示しますが、肺がんや膵臓(すいぞう)がんなどでは効果は低いという問題点があります。加えて、CAR―T療法は薬価が5,000万円と高価で、米国で社会問題にもなりました。

 がんの免疫治療は革新的であることに違いありませんが、現状は課題が多くあります。とはいえ、製薬会社や大学の研究室ではコストの低下や効果の向上を目標に掲げ、地道な研究が進められています。CAR―T療法では、新技術を用いることでコストを20分の1まで抑える研究があります。今後もがん免疫治療ではさらなる進歩は続くことが期待できます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】後継者人材バンクを活用した事業承継支援 その1

わが国の企業数は減少傾向にあり、とくに小規模企業の減少が顕著となっています。
 小規模企業の廃業の主な要因の一つに、事業を継続させたい意向があるにもかかわらず、後継者不在を理由に廃業せざるをえない企業の存在があげられます。
 中小企業庁「事業承継ガイドライン」では、小規模企業に対して創業希望者と後継者不在の小規模企業とをマッチングさせるといった「創業との連携」の重要性が指摘されています。

 こうした中、国は2011年度から後継者不在に悩む中小企業に対して、第三者への承継(引継ぎ)を支援するため、各都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置し支援を行っています。そして一部の事業引継ぎ支援センターにおいて、2014年度から後継者人材バンク事業を開始しています。後継者人材バンクとは後継者不在の小規模事業者(主として個人事業主)と創業を志す個人起業家をマッチングする事業であり、個人事業主の後継者問題の解決と創業の促進を同時に図ることを狙いとしています。

 後継者人材バンクのメリットとして、起業家にとっては顧客や販売先、仕入先、店舗等の経営資源や、地域における知名度、経営ノウハウ等の無形資産を引き継ぐため起業に伴うリスクを低く抑えることができます。また、後継者不在の事業者にとっては、後継者問題を解消し事業の継続を図ることで、従業員の雇用や取引先との取引を継続することができます。

 一方で、起業家にとってはゼロからの起業と比較すると相対的に経営の自由度が低くなるとともに、現経営者と経営方針のすり合わせを行う必要がある点に留意する必要があります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)東京税理士会:2017年度税務調査アンケートを公表!

(前編からのつづき)

 調査内容は、「帳簿・証憑」が2,058件(84.2%)で、他の調査内容については、「現金・預金」(28.5%)、「机・書庫・金庫」(10.5%)、「パソコン等」(8.2%)などの順に多くなりました。
 調査日数については、2,445件中、「1日」で終了したものが486件で20.5%(前年比0.2ポイント減)を占め、「2日」が1,038件で43.9%(同5.8ポイント減)、「3~4日」は392件で16.6%(同1.6ポイント減)のほか、「5日以上」が449件で19.0%(同7.7ポイント増)となりました。

 調査結果については、回答のあった2,021件のうち、「申告是認」が458件(22.7%)、「修正申告」が1,515件(75.0%)、「更正」が48件(2.4%)となり、修正申告・更正1,563件のうち、「重加算税処分」となったものは、279件(21.2%)となりました。
 なお、調査官の態度としては、「良い」が36.9%(昨年度43.9%)、「悪い」が9.8%(同7.7%)、「普通」が53.3%(同48.4%)となりました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)生命保険の契約者変更に注意!

(前編からのつづき)

 しかし、保険金が支払われないことから申告漏れが多く、保険会社から支払調書も提出されないこともあって、国税当局による把握も難しいとされておりました。
 その影響もあってか、2015年度税制改正において生命保険に関する調書制度の見直しが行われましたので、2018年1月1日以降の生命保険の契約者変更は税務署に把握されております。

 また、生命保険の契約者と被保険者が異なるケースで契約者が死亡した場合には、保険契約は相続人等に引き継がれて継続することになります。
 その後、保険事故が発生して保険金が支払われた場合、保険金受取人は保険金から自分が支払った保険料を差し引いて所得計算することになりますが、その際、契約変更前の契約者が支払った保険料も経費に含めてしまう誤りがよくあるといいます。
 その契約者たる地位に基づいて保険契約を解約し、解約返戻金を取得した場合には、保険契約者はその解約返戻金相当額を保険料負担者から贈与により取得したものとみなされて贈与税が課税されますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)生命保険の契約者変更に注意!

 2015年度税制改正において保険に関する調書制度の見直しが行われ、「保険会社は、保険契約者の死亡により契約者の変更が行われた場合や生命保険契約等の一時金の支払いが行われた場合には、契約変更等の情報を記載した調書を作成し税務署に提出すること」とされたため、2018年1月1日以後の生命保険の契約者変更は税務署に把握されます。

 保険金が支払われれば保険会社から税務署に支払調書が提出されますが、これまでは契約者変更だけでは支払調書は発生せず、納税者自ら申告しない限り税務署が契約者変更の事実の把握はできませんでした。
 しかし、同制度の見直しにより、契約者変更を前提に保険加入したケースなどは課税関係にご注意ください。

 例えば、親が契約者で子が被保険者というケース、子が契約者及び被保険者で親が保険料負担者というケースでは、親が死亡しても保険金は支払われませんが、解約返戻金等相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続財産やみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。