(後編)国税庁:税務行政の将来像に関する最近の取組状況を公表!

(前編からのつづき)

 さらに、対面による本人確認に基づき事前に税務署長が通知したID・パスワードによるe-Taxの利用を可能(2019年1月導入予定)にするとも紹介しております。
 法人向けでは、法人の電子申告で、代表者の電子署名のみで提出可能(経理責任者の電子署名は不要)にすることやイメージデータで送信された添付書類の紙原本の保存不要化、法人税申告書別表のデータ形式の柔軟化、法人税の電子申告により財務諸表が提出された場合には、法人事業税の申告での財務諸表の提出を不要にする国・地方を通じた財務諸表の提出先の一元化などが紹介されております。

 一方、「課税・徴収の効率化・高度化」では、調査・徴収事務でのICT・AIなどの活用に向け、各種資料情報の管理システムの再構築が進められております(2020年以降導入予定)。
 具体的には、金地金等の調書・国外送金等調書などの取引情報や、資本(株主)情報などの属性・グループ情報、海外金融口座情報などの諸外国情報をマイナンバーや法人番号をキーに一元的に管理し、データによる資料情報を機動的・多角的に分析するとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

黒字企業割合が7年連続で増加

2017年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は34.2%で、前年度(33.2%)より1.0ポイント増となり、7年連続で上昇しました。国税庁が10月中旬に発表した法人税の申告事績で分かったものです。また申告法人289万6千社の所得金額は前年度比11.5%増えて70兆7677億円となり、過去最高を記録しました。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新し、黒字申告は「4社に1社」でしたが、その後盛り返し、増加の一途をたどっています。現在では「3社に1社」が黒字の状況です。

 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込んだのですが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持しています。

 源泉所得税について見てみると、29年度の源泉所得税の税額は18兆1517億円で、前年度から6.0%減り、7年ぶりに減少した昨年から再びプラスに転じました。給与所得は3.4%伸びたほか、昨年15.3%落ち込んだ配当所得が8%伸びたことなどが響きました。
<情報提供:エヌピー通信社>

 

(後編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 上記②では、事業者の事務負担を軽減する観点から、95%ルールを復活させるべきとしております。
 提言では、IoTやAIなどの技術を取り入れた新たな経済社会「Society5.0)」の実現に向けて、研究開発税制の拡充や税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進等が重要と指摘しております。

 研究開発税制については、法人税額の控除上限を25%から30%へ引き上げるほか、期限切れを迎える控除率10%から14%の部分について延長・拡充することが必要であるとしました。
 国際課税については、米国における税制改正により外国子会社合算税制において合算課税や事務負担が増大するおそれがあるとして、その見直しやBEPS(税源浸食と利益移転)勧告の国内法制化、租税条約ネットワークの充実について慎重に検討すべきとしました。 

 経団連では、「経済界としても民主導のイノベーションを通じて経済の好循環に引き続き貢献していく」とし、提言は与党税制調査会などに要望していくとしております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

申告漏れで移転価格税制を適用

 重機大手の企業が、2016年3月期までの4年間で約100億円の申告漏れを東京国税局に指摘されていたことが分かりました。海外のグループ会社との取引を巡り、「移転価格税制」を適用されたことが理由。グループ間での利益移転を防止する同税制は、国際的にネットワークを持つ大企業を主な対象としたものですが、中小企業の海外進出の落とし穴ともなりかねません。

 指摘を受けた会社は、国内で生産した自動車部品をタイの子会社に販売した取引について、販売価格が不当に安すぎるとの指摘を国税から受けました。取引によって国外に移転した利益は約100億円とされ、追徴税額は過少申告加算税などを含めて約43億円とみられます。

 ある会社が、海外の関連会社に自社商品を通常の取引価格よりも低い価格で販売すると、課税所得はその分減少して法人税負担も少なくなります。一方、海外の関連会社からすれば日本の会社から商品を安く仕入れたことで利益が増え、自国での税負担が増えます。結果、本来なら日本の会社の利益となる部分が海外に移転し、税収も海外に持って行かれてしまうことになります。

 こうした課税所得の海外移転を防ぐため、取引価格が一般企業同士における価格に比べて不当に安い、または高いと判断された時には、そこに課税逃れの意図があったかどうかにかかわらず、一般的な価格に計算し直して、移転された利益部分に追徴課税するというルールが1986年に作られました。これが移転価格税制です。

 導入された80年代にイメージしていたのは、世界中に子会社を持つ大企業だったかもしれませんが、経済のグローバル化が進むなかで多くの中小企業が海外に関連会社を設立する時代となっています。同税制には企業規模に応じて適用を免除する除外規定などは設けられていないため、海外に支社を持つ中小企業は注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>

平成30年9月の税務

9/10
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10/1
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

《コラム》欠損金の繰戻しによる還付と事業税および法人住民税での調整

◆欠損金の繰戻しによる還付
 前期が黒字で納税し、当期が赤字となった場合に、前期の税金の一部を還付してもらえる制度があります。青色申告法人の欠損金の繰戻し還付制度です。これは、平成4年4月1日から適用が停止されていますが、一定の場合(①解散等や②中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額)には除外となっており、青色申告の中小企業には、所定の要件を満たせば、適用されています。

◆法人税と地方税での取扱いの違い
 この規定は国税である法人税(地方法人税含む)の繰戻し還付であり、地方税である事業税や住民税には適用されません。
1)事業税-事業税では還付制度がないため、欠損金額は、常に繰越控除の対象となります。そのため、法人税の欠損金の明細の「別表七(一)」と事業税の欠損金明細の「第六号様式別表九」とでは差が生じます。
2)住民税-欠損金の繰戻しで法人税額の還付を受けた場合は、その還付法人税額を限度として計算した額を、その後の各事業年度(7年)における法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとなります。
 具体的には、法人事業税・法人県民税確定申告書(第六号様式)の「還付法人税額等の控除額」として記載され、法人税割額を計算する際に調整されることになります。また、法人市民税も同様に調整されます。これは、法人住民税の法人税割の課税標準が法人税額に拠っているためです。

◆繰戻し還付から数年経つ場合は見直しを
 事業税は繰越控除額をそのまま引き継ぐので適用漏れの心配はいりません。一方、住民税は所定の欄に記載をしないと適用されません。繰戻し還付をした翌年や翌々年であれば適用忘れは少ないでしょう。しかしながら、繰戻し還付後に再度欠損が継続し、法人税割額が発生していなかったような場合は、適用漏れとなる恐れもあります。特に、途中で顧問税理士が変わっていたり担当者が退職していたりした場合、直近5年分の申告書控えは引き継いでいたが、7年前の繰戻し還付の引継ぎが漏れていたということも起こりかねません。
 過去に繰戻し還付をしたことがある場合には、住民税の法人税割額が再発生した年度に遡って「還付法人税額等の控除額」の適用漏れがなかったか確認してみましょう。

 

(後編)国税不服審判所:裁決事例などを公表!

(前編からのつづき)

 そして、法人税法関係では、代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例があります。
 同事例では、当該取締役は分掌変更により、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえないとしたもので、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を棄却しております。

 また、消費税法関係では、請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例があります。
 同事例では、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつも、顧客へ販売していることから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたもので、消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分を一部取消しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

平成30年8月の税務

8/10
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8/31
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

平成30年7月の税務

7/10
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

7/17
●所得税の予定納税額の減額申請

7/31
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付

(後編)財務省:基本計画を公表!

(前編からのつづき)

 そして、法人税の申告書に添付する勘定科目内訳明細書の記載内容を簡素化し、書面申告の場合も含めて2019年4月から実施する予定です。
 さらに2018年4月から書面申告も同様、法人税申告書への代表者及び経理責任者の自署押印制度を廃止し、代表者のみの記名押印制度の対象とし、法人納税者の認証手続きが簡便化されます。

 一方、2019年1月から、個人納税者がマイナンバーカードに搭載された電子証明書を使ってe-Taxを利用する場合には、e-TaxのID・パスワード(以下:PW)の入力が省略されます。
 また、マイナンバーカード及びICカードリーダライタの未取得者を念頭に、厳格な本人確認に基づき税務署長が通知したID・PWのみによるe-Taxの利用を可能とすることで、個人納税者の認証手続きの簡便化を図る予定です。

 電子申告とともに電子納税も一層推進し、2019年1月からダイレクト納付を利用した予納制度(納期限前にあらかじめ納付を行うこと)を拡充し、定期に均等額で行うことや任意のタイミングで行うことを可能とします。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月14日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。