(前編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

中小企業庁は、2018年度税制改正において改正された中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充をPRしております。
 事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制は、今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として抜本的に拡充されました。
 主な内容として、対象株式数・猶予割合の拡大、対象者の拡大、雇用要件の弾力化、新たな減免制度の創設などがあります。

 改正前は、先代経営者から贈与・相続により取得した非上場株式等のうち、議決権株式総数の2/3に達する部分までの株式等が対象(贈与・相続前から後継者が既に保有していた部分は対象外)でしたが、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大したことで、事業承継時の贈与税・相続税の負担が軽減されます。
 また、改正前は事業承継後5年間平均で雇用の8割維持が求められ、雇用8割を維持できなかった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要がありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)中小企業等向けの2018年度税制改正パンフレットを公表!

中小企業庁は、2018年度税制改正の概要や措置の内容、適用要件等について、中小企業・小規模事業者向けに分かりやすく解説したパンフレットを公表しました。
 同改正では、事業承継税制が抜本的に拡充されたほか、新規設備投資の固定資産税が3年間最大ゼロとなる特例が創設されるなど、中小企業の企業活動を幅広く支援する税制が措置されております。

 事業承継の際の贈与税・相続税の負担を軽減する事業承継税制は、今後10年間(2018年1月1日から2027年12月31日)に限り、拡充されました。
主な変更点として、
①対象株式数の上限を撤廃(2/3→3/3)し、猶予割合を100%に拡大することで、承継時の贈与税・相続税の現金負担をゼロにする
②親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象にする
③制度利用を躊躇する要因となっている雇用要件(事業承継後5年間平均で、雇用の8割を維持)を抜本的に見直すことにより、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予を継続可能にする

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月14日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2018年分の路線価を7月2日に公表へ!

国税庁は、2018年分の路線価を7月2日(月)10時から全国の国税局・税務署で公表するとしております。
 路線価とは、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされ、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるものです。

 2017年7月に公表された2017年分の路線価では、標準宅地の前年比の変動率の平均が前年を0.2%増となり、8年ぶりに上昇した前年分に引き続き上昇しております。
 2018年1月1日時点の公示地価は、国土交通省が同年3月に公表しましたが、全国平均(全用途)で前年比0.7%プラスと3年連続で上昇し、住宅地は+0.3%と2年連続で上昇、商業地も+1.9%と3年連続で上昇しました。

 また、地方圏の商業地平均が+0.5%と26年ぶりに上昇に転じ、全用途平均でも+0.041%とほぼ横ばいながら26年ぶりに上昇している公示地価の状況をみますと、路線価も3年連続で上昇すると予想されております。
 その昔、路線価の公表日は8月1日でしたが、2008年分から7月1日となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

国税庁:2016事務年度の贈与税調査事績を公表!

国税庁は、2016事務年度の贈与税調査事績を公表しました。
 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、3,722件(前事務年度比3.0%増)の実地調査が行われ、3,434件(同2.5%増)から1,918億円(同883.9%増)の申告漏れ課税価格を把握しました。
 そして、追徴税額は加算税を含め453億円(前事務年度比823.8%増)にのぼりました。

 申告漏れ課税価格及び加算税の大幅増加は、大口事案があったための特異なもので、この影響から1件あたりでも申告漏れ課税価格は5,153万円、追徴税額は1,218万円と高額になっております。
 また、国税当局では相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めた結果、申告漏れのうち80.3%が無申告事案でした。
 上記は、贈与金額が少ないことなどの理由から申告しない納税者が多いことがうかがえます。

申告漏れ財産をみてみますと、「現金・預貯金等」が全体の73.1%(2,725件)、「有価証券」が9.9%(369件)、「土地」が3.5%(129件)、「家屋」が41件(1.1%)となりました。

 そもそも贈与税の申告漏れ事案の端緒は、相続税調査時の被相続人の預貯金等状況の確認等の場合が多く、事例では相続税調査の際、相続人Aから「被相続人から現金を贈与されたことがあるが、申告をしていなかったので期限後申告をしたい」との申し出があったケースで、調査官から他に贈与がないかの確認を受けた相続人はないと回答したが、被相続人名義の預金口座から不明出金があったことからAへの贈与税の調査が行われました。

 調査の結果、被相続人名義の預金口座からの不明出金について、A名義の預金口座へ入金されている事実が把握され、相続人Aは、この預金も贈与税の申告対象となることを知りながら、税負担を少なくするため贈与の一部のみを調査官に話したことが明らかとなり、Aに対して申告漏れ課税価格約3,000万円について重加算税を含め約1,200万円が追徴課税されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」 の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A

Q1 扶養義務者(父母や祖父母)から生活費又は教育費の贈与を受けましたが、贈与税の課税対象となりますか。

「扶養義務者」相互間において「生活費」又は「教育費」に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象となりません。

「扶養義務者」とは、次の者をいいます。

  1. 配偶者
  2. 直系血族及び兄弟姉妹
  3. 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
  4. 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断します。

2 「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいいます。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。)を含みます。

3 「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません。

 

Q2 贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、どのような財産をいいますか。

贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいいます。

Q3 数年間分の「生活費」又は「教育費」を一括して贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産であり、したがって、数年間分の生活費又は教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費又は教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費又は教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります。

 

Q4 婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、又はそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象となりません。

なお、贈与を受けた金銭が預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費(家具什器等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります。 (注)

1 子が親から金品を受け取った場合は、原則として贈与税の課税対象となります。ただし、扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるものであり、必要な都度直接生活費に充てるために贈与を受けた財産については、贈与税の課税対象となりません。

2 個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

 

Q5 子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合、贈与税の課税対象となりますか。

結婚式・披露宴の費用を誰(子(新郎・新婦)、その親(両家))が負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々であると考えられますが、それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないことから、贈与税の課税対象となりません。

 

Q6 出産に当たって子が親から検査・検診、分娩・入院に要する費用について贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。)も含まれます。

したがって、出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合には、これらについては治療費に準ずるものであることから、(保険等により補てんされる部分を除き、)贈与税の課税対象となりません。

また、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに必要なものの購入費に充てられている部分については、贈与税の課税対象となりません。

(注) 個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

 

Q7 贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、どのようなものをいいますか。

贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、子や孫(被扶養者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限りません。

(注) 個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

Q8 子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合、贈与税の課税対象となりますか。

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなります。

したがって、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象となりません。