第2期になり、損益は次のように好転しました。
(3)第2期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫300、当期仕入900、期末在庫300) 損益:100

 第2期の実態は(3)の通りなのですが、帳簿上はこうはなっていません。それは、(2)で期末在庫の粉飾を行っていて、(3)の期首在庫は500で計算するからです。第2期で粉飾を行わないと、第2期の売上原価は1,100(500+900-300)ですから、第2期の損益は100の赤字になってしまいます。第2期の正しい損益100を維持するためには、(4)のように、やはり期末在庫を500として、在庫の過大計上を続けざるを得ません。
(4)第2期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 上記の設例では、第2期は損益が好転しているので、在庫の粉飾額は前期と同額で済みましたが、粉飾をするような会社はそう簡単に収益は好転せず、赤字額が拡大していくのが普通です。粉飾決算は損失の先送りに過ぎませんから、黒字を仮装するためには粉飾の金額は雪だるま式に膨らんでいきます。粉飾決算を途中で是正することは容易ではないのです。

 粉飾決算はブレーキを持たない車のようなものです。車なら買わなければいいのですが、残念なことに粉飾という車は常に背後霊のように会社に存在しています。経営者は粉飾という車が走り出さないように、自らを厳しく律すると同時に監視を怠ってはいけません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)