【時事解説】中小企業における自然災害への備え その2

では、中小企業の防災・減災に向けてどのような支援が行われているのでしょうか。以下で、中小企業庁編『中小企業白書2019年版』においてハザードマップの情報を基に利用者・従業員の安全確保に注力する企業の事例として取り上げられた有限会社池ちゃん家・ドリームケア(所在地:静岡県焼津市、従業員数40人)の取り組みについてみていきましょう。

 同社は、2000年に設立された介護事業者です。同社では設立当初より地震災害を念頭に置いた防災体制を構築していましたが、東日本大震災での津波被害を見た結果、自社の防災体制に不安を感じ、事業継続計画(BCP)に関するセミナーに参加するに至りました。その後は、緊急時における他事業所への利用者の受入体制整備や、紙で行っていた施設利用者の健康情報管理の電子化などの事前対策に取り組みました。

 自社の地域のハザードマップを確認したところ、焼津市内の1事業所が津波浸水想定地区にあることがわかりました。そこで同社社長は、津波浸水想定地区でない高台へ一部の事業所を移転することを検討しました。移転費用の負担は大きなものでしたが、災害時における利用者や従業員の安全を確保し事業継続を図る上では必要不可欠と捉え、2012年6月に移転を行いました。

 また、施設利用者の多くが移動困難な方であることに配慮し、災害時には避難所に避難することなく施設で引き続きサービスを受けられるようにするため、災害発生時において必要な備品を調達することを目的とし、日常から地元の複数業者と取り引きを行っています。

 このようにセミナーへの参加やハザードマップの確認などを通じて自然災害への事前対策を講ずることが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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