では、中小企業のBCP策定において具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。以下で、中小企業庁編『中小企業白書2019年版』においてBCP策定を社内の人材育成としても活用し、組織力向上につなげている企業の事例として取り上げられた天草池田電機株式会社(所在地:熊本県上天草市、従業員数212人)の取り組みについてみていきましょう。

 同社は、産業用機械等の部品生産を主な業務として2002年に設立した企業です。同社が立地する熊本県では、2014年11月に、県と損害保険会社、商工会議所連合会などの商工4団体が「熊本県事業継続計画策定支援に関する協定」を締結し、BCP策定支援セミナーの開催や事業者の個別支援などを実施していました。そのような中、熊本県からBCP策定について声が掛かり、東日本大震災以降、事業継続への危機意識を高めていた同社は、BCP策定に取り組むこととしました。

 同社ではBCP策定を人材育成にもつなげるため、若手、中堅、管理職のバランスを考慮して選抜した約30名からなるチームを編成しました。県の協定に基づいて損害保険会社から招聘されたコンサルタントの指導を受けつつ、約8か月を経て2016年にBCPが完成しました。ボトムアップでBCPを策定したことから、BCPへの理解は従業員に素早く浸透しました。その結果BCP策定直後に発生した2016年の熊本地震では、各従業員が確認作業などを的確に行うことができ早期の業務再開につながりました。また、防災に限らず、幅広い業務で従業員から自発的な改善提案が行われるようになるなどの効果が出るとともに、社会や地域からの評価も高まっています。
 このようにBCPの策定によって組織力向上などの効果も期待できるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)