【時事解説】先送りではない、早めの決断 その2

経営者としては政府が何とかしてくれるという甘えは捨て去るべきです。政府の対策により景気が上昇するとか、業界が保護されるとか、そうした安易な期待に基づく決断先送りの経営は危険です。自分の身は自分で守るしかありません。
 そのためには、まず自前のキャッシュフローの充実が求められます。在庫や売掛金はできるだけ圧縮して資金化を早めます。

 また、遊休資産があれば処分すべきです。「今、売却すれば損が出る。現在、政府がデフレ対策を進めており、いずれインフレに転換するだろうから、そこまで資産の売却は待ちたい」などという先送りの判断はろくな結果をもたらしません。資産の値上がり期待など「絵に描いた餅」です。逆に、売却損が出るなら税金が圧縮できますから、キャッシュフロー的にはかえってプラスに作用します。安易なインフレ予想に基づき資産・負債を膨らませるのは得策とはいえません。

 M&Aは大企業の専売特許ではありません。中堅・中小企業はオーナー企業がほとんどですから、M&Aというと及び腰になりがちです。しかし、過去の延長線上に未来を描ける時代は終わったと考えるべきでしょう。成長が期待できない成熟経済だからこそM&Aに活路を見出すのです。

 前向きに発展するために他社と経営統合するということもあるでしょうし、後継者がいないから会社を売却してハッピーリタイアメントするというのも立派な選択肢です。「買われるうちが華」です。時が過ぎれば誰も買ってくれなくなります。

 待てばいい時がくるなどという幻想に期待を寄せず、現実をしっかり見据えた早めの決断が会社と従業員を救います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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