近年、医療の現場では、患者の視点に立ち、痛みや負担を和らげる検査や治療が重視されるようになりました。従来、医療の現場で用いられる機器は、性能が最も優先順位が高く、たとえば、乳がんや大腸がんなどの検査ならば、がんを見つけることが優先され、患者の苦痛は犠牲になっています。結果、病院では痛みや苦痛を伴うことが多くあります。
 やがて、検査や治療器具の性能が高まるに従い、患者の心情に寄り添い、痛みを減らすことが徐々に重視されるようになりました。

 取り組みの一例を挙げると、医療機器のメーカーであるキヤノンや京都大学は乳がん検査時の痛みを抑える技術の開発を進めています。現在、乳がんの検査は、乳房を2枚の板で挟み、押しつぶした上でⅩ線画像を撮影する方法が主流です。患者からは不評の声が上がっていますが、新技術により、こうした評判も変わりそうです。

 最近、大きな注目を集めているものに、針のない注射器があります。注射といえば予防注射をはじめ、針の痛みからくる恐怖心が脳裏にこびりついている人は多いでしょう。
 現在、針がなく、肌にあてるだけで体内に薬を注入できる注射器の開発が進んでいます。針で注射するより痛みは格段に少なく、薬剤も均等に広がるので医療事故防止につながるといえます。また、使い捨てなので感染症対策にもなります。

 実用化はまだ端緒についたばかりで、米国やドイツ、ドバイ、シンガポールなど、一部の国で認可が下り始めところです。日本もいずれ認可が下りる日が来るのではないでしょうか。痛みの少ない注射が実現したら、患者としては喜ばしい限り。広まる可能性は大いに期待できます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)