スルガ銀行における書類の改竄による不正融資事件が大きな社会問題になっています。銀行員の書類改竄といえば、少し前には商工中金による決算書の改竄事件が話題になりました。私は決算書の正確性を何よりも重んじるべき銀行員が決算書の改竄に手を染めたことに驚くと同時に、これはこれからの銀行融資に思ったより打撃を与えるのではないかという思いを持ちました。そこで、本稿では商工中金事件を題材に銀行員と決算書の関係を考えます。

 銀行員が企業融資の可否を判断する最も重要な資料は決算書となります。ですから、銀行員にとって決算書は重要であり、決算書の不正は許せないものであるはずです。上場企業の決算書は会計監査人の監査を得て、一応の正確性の外的担保はなされていますが、非上場企業の決算書にはそうした外的担保がないため、銀行員は経営者に適正な決算書の提出を強く求めます。にもかかわらず、その銀行員が決算書の不正に手を染めていたのでは、経営者に適正な決算書を作成してくれとはいえなくなります。

 これまでの銀行における粉飾とは、そのままではとても融資ができないような内容の悪い会社の決算書の数値を良い方向に改竄し、不正に融資を引き出すというものでした。今回は逆に売上高や利益を悪い方向に操作して、公的な資金を引き出しています。通常の粉飾とは逆方向だから、許されるという性質のものではありません。どちらも決算書の数値を自分の都合のいいように恣意的に操作して不正に資金を獲得していることには変わらないのですから。(つづく)


(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)