離婚に伴う精神的苦痛の慰謝料を元配偶者の不倫相手に請求できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は2月中旬、「特段の事情がない限り、請求できない」とする初判断を示しました。

 判決によると、損害賠償を訴えた男性の元妻は2009年から職場の同僚と不倫。約1年後に発覚し、元妻は不倫関係を解消して結婚生活を続けましたが、不倫行為で受けた精神的苦痛の慰謝料(不貞慰謝料)の請求権の時効(3年)が消滅した後の15年に離婚しました。その後、男性が離婚慰謝料に関する損害賠償請求権が失われていなかったため、元妻の不倫相手に約500万円の賠償を求め提訴しました。

 不貞慰謝料はその不倫相手に請求できますが、離婚慰謝料まで請求できるかどうかに関する最高裁の判断は、これまでありませんでした。裁判では、①請求権の時効(3年)が経過しても損害賠償を請求できるか、②不貞慰謝料ではなく、離婚慰謝料を請求できるか――の二点が主な争点となりました。1、2審判決は「不倫が原因で結婚生活が破綻した」と、不倫と離婚の因果関係を認めた上で、離婚慰謝料として約200万円の支払いを命じていました。

 同小法廷は「離婚は本来、夫婦間で決めるべき事柄」とし、「不倫が原因でも不倫相手がただちに責任を負うことはない」と指摘。不倫相手が責任を負う場合について「不倫相手が夫婦関係に不当に干渉し、特段の事情によって離婚させた場合に限る」などと結論付け、1、2審判決を破棄し、原告の男性の請求を棄却し、男性の逆転敗訴が確定しました。

 離婚までに不貞行為が終わって数年が経過し、不貞慰謝料の消滅時効も成立しているのに離婚慰謝料として賠償を求めるのは、例えば10年を超えた不貞行為についても拡大解釈をされかねない余地を残すことになります。本来、責任があるとすれば、夫婦間の約束を破った元妻に限定されるべきでしょう。

<情報提供:エヌピー通信社>