働き方改革関連法は今年4月1日から2023年にかけて順次施行されることになっていて、今年4月からは労働基準法改正による年次有給休暇の年5日の付与義務などが注目されていますが、ここでは労働安全衛生法の改正による労働時間の把握義務に焦点を絞って解説します。ここ数年、退職した元従業員による未払い賃金の支払請求などが多発していますが、今回の法改正はそうした動きをさらに加速させるおそれがあるためです。

 未払い賃金を求める最近の裁判では、ことごとく労働者側に軍配が上がっています。それはひとえに、会社側の労働時間の把握がぬるいからにほかなりません。裁判所は、たとえタイムカードがあったとしても労働者が手帳に書いた時刻を尊重する風潮にあります。

 こうした状況のなかで労働時間の把握義務が現在の施行規則から法律に格上げされれば、たとえ正しいタイムカード記録であっても会社は負ける可能性を否定できません。現に、偽装したタイムカードを使って裁判を起こした元従業員の主張が認められるようなことも起きています。

 自社の従業員や退職した元社員を疑いたくはありませんが、今後は労働時間の把握について、労使双方でサインをするなど徹底した管理が必要になってきます。法改正は4月1日にすでに行われています。

 安倍政権は「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」と銘打ち、働き方改革関連法を昨年6月に成立させました。首相は「長時間労働を是正する」として、残業時間の上限規制や時間外労働に対する賃金支払い義務に期待を込め、また「非正規という言葉を一掃する」として、派遣社員や有期労働者の縮減に向けて動いていく構えを示しています。