金の密輸、4年で100倍

全国の税関による2017年の金密輸の取り締まり実績を財務省が発表しました。摘発件数は前年比66%増の1347件と過去最悪を4年連続で更新しています。また押収量は6236キロで前年比2.2倍となりました。

 金の密輸は消費増税前の13年は12件で、4年で100倍以上に増えました。急増している背景には消費税の増税が深く関係しています。金は世界共通の価格で売買されていますが、日本での売買には消費税を納めなくてはなりません。これを密輸によって免れ、国内で売買すると税額分が利ザヤとして手に入ることになります。例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れます。そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けています。しかし入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜く〝ビジネス〟が横行しているのです。

 密輸方法は航空旅客・乗組員によるものが1270件と全体の9割以上でした。密輸元は韓国、香港、台湾の順に摘発件数が多く、この上位3カ国・地域で全体の9割を占めました。税関を抜ける手口は様々で、過去の例では粘着テープで足の裏に金を張り付ける者や、ブレスレットやベルトのバックルに加工して持ち込む者、キャリーバッグのハンドル部分に隠す者が摘発されています。なかには皮膚に模したシリコンを腹部に装着し、その内側に金を隠すケースもありました。
<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁:2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表!

国税庁は、2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表しました。
 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、海外取引法人等に対する調査は1万3,585件(前事務年度比4.1%増)行われ、そのうち24.5%に当たる3,335件(同0.8%減)から海外取引等に係る非違を見つけ、2,366億円(同2.5%増)の申告漏れ所得金額を把握しました。

 そのうち500件(同14.2%増)は、租税回避行為など故意に不正計算を行っており、その不正所得金額は206億円(同23.4%増)にのぼりました。
 調査事例として、架空経費を計上して不正資金を海外に送金していた工場用機械装置を設・製造・販売するA社があり、国外送金等調書を端緒に調査した結果、A社は知人のY国のBと共謀し、架空の業務委託費を計上して捻出した簿外資金をX国にあるB名義の個人口座に送金していたことが判明しました。

A社に対しては、6年分の法人税申告漏れ所得4億5,300万円について1億5,700万円を追徴課税しました。
 一方、経済取引の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化するなか、国税庁では非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しております。

 外国法人に対する工業所有権等の使用料や人的役務提供事業の対価などの支払について、源泉徴収を行っていなかった事例も多く見受けられました。
 2016事務年度では、給与等や使用料、人的役務提供事業などについて国際源泉所得税の課税漏れを1,556件(前年度比1.9%増)見つけ、42億5,300万円(同75.0%減)を追徴課税しました。
 国際源泉所得税の非違の内訳(追徴本税額2,000万円以上)は、「使用料」に係るものが30%を占めて最多、以下、「人的役務提供事業」が26%、「給与等」が18%、「不動産賃貸等」が10%、「利子・配当」が8%、「不動産譲渡」が4%となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

国税庁:2016事務年度の所得税調査事績を公表!

国税庁は、2016事務年度の所得税調査事績を公表しました。
 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、所得税調査は、前年度(65万件)に比べて0.5%減の64万7千件行われました。
 そのうち、約62%にあたる40万件(前事務年度39万6千件)から同1.1%増の8,884億円(同8,785億円)の申告漏れ所得が見つかりました。
 その追徴税額は同3.5%増の1,112億円(同1,074億円)で、1件平均137万円(同135万円)の申告漏れに対して17万円(同17万円)を追徴しました。

 実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前年度に比べて2.1%増の4万9千件を実施し、そのうち約88%にあたる4万3千件から同0.5%減の総額4,499億円の申告漏れ所得を見つけました。
 その追徴税額は、同0.9%増の753億円となりました。

件数は全体の7.6%ですが、申告漏れ所得金額は全体の50.6%を占め、調査1件あたりの申告漏れは918万円となりました。
 また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前年度比16.7%増の2万1千件行われ、うち1万6千件から同19.1%増の860億円の申告漏れを見つけ、66億円を追徴し、1件あたり平均申告漏れは405万円となりました。

 一方、簡易な接触は、同1.2%減の57万7千件行われ、うち34万2千件から同0.5%減の3,525億円の申告漏れを見つけ、293億円を追徴し、1件あたりの平均申告漏れは61万円となりました。
 実地調査トータルでは、前年度比6.1%増の7万件の調査を行い、うち5万8千件から同2.2%増の5,359億円の申告漏れを見つけ、819億円を追徴しました。
 近年の所得税調査の特徴は、高額・悪質と見込まれるものを優先して深度ある調査(特別調査・一般調査)を重点的・集中的に行う一方で、実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による簡易な接触で済ます調査方針にあります。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

ものづくり・商業・サービス 経営力向上支援補助金

 この補助金は、中小企業・小規模事業者が取り組む、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者が対象となっています。
 機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド利用費などが補助の対象になりますが、事務所の家賃や電話代など、一般的な諸経費は補助の対象になりません。ものづくり補助金の特徴ですが、経費については先に支払い、決定後に補助金が下りる仕組みになっています。そのため、前もってキャッシュの準備を検討する必要があります。

●補助上限額・補助率
・企業間データ活用型:補助上限額1,000万円、補助率2/3以内
・一般型:補助上限額1,000万円、補助率1/2以内※
・小規模型:補助上限額500万円、補助率1/2以内
●審査における加点項目
①固定資産税ゼロの特例を措置した自治体で、160万円以上の機械装置等固定資産の先端設備等導入計画が認定された企業
②「経営革新計画」の認定または、「地域経済牽引事業計画」の承認のいずれかを取得した企業
③総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
④小規模型に応募する小規模企業者
⑤九州北部豪雨の局地激甚災害指定を受けた市町村に所在し、被害を受けた企業
※一般型は原則1/2の補助率ですが、①又は②の条件を満たした場合は補助率が2/3になります。加点項目が多いほど補助される可能性が高くなります。

 前年は11月に公募が始まったのですが、今年は2月に始まりました。締め切りは平成30年4月27日(金)締切日当日消印有効。平成30年6月中を目処に採択公表を行う予定です。現状において2次公募は予定ですが、開始時期・実施内容は未定です。

 

ポイントサイトでの小遣い稼ぎにかかる税金の課税と申告

◆ポイントサイトで小遣い稼ぎ
 ネット通販の買物の際に、あるサイトを経由するだけで、販売主(例えば家電量販店)のポイントの他に、ポイントがもらえるしくみがあります。ポイントサイトと呼ばれるものです。獲得したポイントは、交換することで、現金やギフト券、電子マネーや航空マイレージ等に交換することができます。ちょっとしたお小遣い稼ぎです。
 稼ぎ方は、次のように分類されます。
(1)買物してポイントをもらう
(2)クレジットカード申し込み、FX口座の開設などでポイントをもらう
(3)アンケート回答でポイントをもらう
(4)文書作成等の仕事でポイントをもらう

◆ポイントサイトは広告宣伝費の還元
 ポイントサイトの役割は、ポイント付与で、広告主サイトに誘導すること(集客)です。
 集客した顧客データを広告主に提供します。ここでいう情報とは、属性(男女、年齢、職業、都道府県等)、広告主サイトへの訪問数、どれくらいの割合が最終販売までこぎつけたのか等です。
 広告主は広告宣伝費としてポイントサイトに対価を払います。その一部がポイントサイト利用者に還元されているのです。

◆ポイント取得にかかる課税問題
 ポイント取得原因を、稼ぎ方の観点から、①買物の値引き、②広告主企業からのプレゼント、③役務・労働の対価、に分類できます。
 ①(1)の買物でもらったポイントを同じサイトの買物代金に充当できる場合は、値引きとして課税の対象とはなりませんが、ポイントサイトでこうした例は少なく、ポイントサイトからのプレゼント扱いです。
 ②(2)のような場合は、広告主からのプレゼントとなり一時所得とされます。
 ③(3)や(4)は、役務提供による対価として、雑所得として課税されます。

◆ポイントで稼いだ分の申告は必要か?
 サラリーマンで給与を1か所からだけもらっている場合(=大半の方がこれに該当するはずです)は、雑所得が20万円以下であれば、確定申告をしなくとも構いません。
 一時所得は、50万円の特別控除があります。この範囲内に収まれば、確定申告しなくともOKです。上記金額を超えて稼ぎすぎたら確定申告が必要です。

 

量子コンピューターがもたらす期待とは その2

最近、世界の企業が開発に力を注いでいるものの一つに「量子コンピューター」があります。物流における効率的なルート選定のほか、複雑な計算を要する新薬の開発、DNA分析など、様々な分野での応用が期待されています。医療の分野では、がんの放射線治療で、患者に適した安全な放射線の照射量の算出も瞬時にできるようになります。

 量子コンピューターは、開発を手掛けるメーカーはもとより、部品を供給する企業、コンピューターの性能を活かして新たなサービスを提供する企業など、幅広い分野にビジネスチャンスをもたらします。こうした商機を得ようと、世界で多くの企業が開発に着手しています。具体的には、カナダの企業が2011年に商品化したのをはじめ、米国ではグーグルやIBM、マイクロソフトなどが開発を進めています。ほか、EU、英国、中国なども参入し、開発競争にしのぎを削っています。

 日本はやや出遅れていますが、政府が量子コンピューターの開発を政策の一つに掲げ、2018年度から10年間、約300億円の投資を決めました。現在の開発状況は、2017年、NTTが試作機の開発に成功しています。ほか、民間企業ではNECや日立製作所などが参入し、数年後の実用化を目指して、人員増加などで体制の強化をはかっています。

 ただ、まったく弊害がないわけではありません。懸念の一つには暗号読解があります。従来のコンピューターの処理能力では、解読が不可能とされていた暗号でも、量子コンピューターは性能が良いので解読できてしまう、といった負の側面もあります。こうした影の部分を解決しながら、社会が受けるメリットの最大化をどう進めるかにも注目が集まります。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

量子コンピューターがもたらす期待とは その1

最近、世界の企業が開発に力を注いでいるものの一つに「量子コンピューター」があります。これは、物理の量子力学を応用して計算するコンピューターです。従来、計算速度では、スーパーコンピューターがもっとも優れているとされていましたが、量子コンピューターはより高速で答えをはじき出すのが特徴です。今後、実用化が進めば、高速計算が必要な分野は量子コンピューターが取って代わるといわれています。

 様々な計算の中でも、量子コンピューターが得意とするのは、膨大な選択肢から最適な答えを導き出すことです。一例を挙げると、製品の運送ルートの選定があります。工場から製品を複数の納品先に配送する場合、いくつものルートが考えられます。納品先が多数になるほど組み合わせも多くなる上、渋滞や天候、事故、工事など、交通の妨げとなる事象により、最短、最速で回るルートは変わります。中でも、渋滞の状況は刻々と変化するため、計算が極めて複雑です。従来のコンピューターでは、最適なルートを導き出すには時間がかかりすぎて、答えが出るころには状況も変わってしまうこともありました。ところが量子コンピューターならば、即時に答えが出せるので、従来よりも目的地に、短い時間と距離で到着できる可能性が高まります。結果、運送コストの削減、さらには効率よく配送できるので、人手不足の解消といった社会が抱える課題の解決にも貢献します。

 応用分野は、物流のほかにも営業の巡回ルート、さらには複雑な計算が必要な新薬の開発など、多くの分野で期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

新着助成金ニュース

【経済産業省】
●平成29年度補正予算 経済産業省 「小規模事業者持続化補助金(小規模事業者支援パッケージ事業)」
 小規模事業者が、商工会・商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓に取り組む費用の支援を目的に補助金を支給します。本公募では、事業承継に向けた取り組み、生産性向上に向けた取り組みを実施する事業者を重点的に支援します。

●平成29年度補正予算 経済産業省 「地域文化資源活用空間創出事業(商店街支援事業)」 第2次
 歴史的建造物群を中心としたまちなみ整備や、文化イベントを契機とした地域の活性化、名所・観光地・食文化等、地域文化資源と連携した空間創出によって、にぎわいを創出し、外国人観光客等を増加させるとともに、これらと連携した商店街の活性化を支援することを目的に補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度 三菱UFJ技術育成財団 「研究開発助成金」 第1回
 三菱UFJ技術育成財団は、技術指向型の中小企業の育成を通じて、我が国産業の発展並びに中小企業の経営高度化に貢献することを目的として、新技術・新製品等の研究開発に対して助成金を交付します。また、当財団で過去に助成金交付及び債務保証した実績のある企業で成長が見込める企業に対し、より長期的な視野で支援する目的で、当財団が株式を保有する業務も引き続き行っています。創業以降の成長に対応する形で助成金交付に加えて株主となることにより、従来以上に長期的に支援をします。

●平成30年度 北海道 「地域加工食品施設活用モデル事業」
 北海道内食品の高付加価値化を図るため、地域の食品加工施設(北海道総合研究機構 食品加工研究センター 試作実証施設を含む)を有効活用した食品開発のモデル事業に対し支援をする目的で補助金を支給します。

●平成30年度 岩手県 「いわて希望応援ファンド地域活性化支援事業」 
 岩手県では、「いわて希望応援ファンド」を活用し、創業・起業、または岩手県内中小企業者等による地域経済の活性化に資する様々な取り組みを支援する目的に助成金を支給します。

中小企業における女性活躍 その2

では、中小企業において女性活躍を推進するにはどのような取組みが求められるのでしょうか。
 三州製菓株式会社(本社:埼玉県春日部市)は、高級米菓及び洋菓子の製造・販売を行う企業で、女性比率は正社員で4 割弱、準社員と呼ばれるパートタイム従業員で9 割以上となっています。

 同社の育児休業を始めとする制度は、正社員だけでなく準社員も利用しています。その背景として同社では一人が 3種類以上の業務を担当できる「一人三役」を推進し、お互いにフォローしあえる体制が整備されている点があげられます。

 また、人事制度の運用に際しては、以下のような工夫がなされています。
 1点目は「業務の割り振り」です。具体的には、定期的に各自が自身の業務の棚卸しを行い、所属長がチェックすることで業務の見直しが行われています。
 2点目は「業務習熟度ランクの公開」です。同社では各従業員のスキルが業務ごとに整理され、その一覧表が社内に掲示されています。このため部署を超えて誰にどの業務を任せることができるかなどが一目瞭然となっています。
 3点目は「人事評価への反映」です。同社では「一人三役」の考えに沿った人事評価制度を導入し、メインの職務の遂行能力に加えサブの職務の遂行能力も盛り込んだ評価基準を公表することで、従業員が助け合いの重要性を十分に理解することが可能となっています。

 このように女性活躍の推進にあたっては、従業員全員がお互いの業務を理解し分担しあうために社内プロセスの見える化を図ることが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

中小企業における女性活躍 その1

人口減少に伴い中小企業における人材確保が喫緊の課題となる中、中小企業における女性活躍が求められています。総務省「就業構造基本調査」に基づいて従業者規模別に雇用者の男女別の構成比をみると、規模の小さい事業者ほど女性の占める割合が高くなっており、女性が中小企業において重要な労働の担い手であることがわかります。また、総務省「労働力調査」に基づいてここ20年の女性の就業率をみると上昇傾向にあります。

 「中小企業白書2017年版」では、中小企業における中核人材としての女性の活用状況について取りまとめています。これによると、職業の選択において女性では「勤務地」、「職場環境・人間関係」、「仕事と生活の両立」、「所定勤務時間・日数」、「残業時間」について妥協できないとする割合が高くなっています。その背景としては、女性においては家庭等の事情から時間や場所について相対的に制約があることがあげられます。

 こうした女性側のニーズに対し、女性を中核人材として活用している中小企業においては、「職場環境・人間関係への配慮」、「時間外労働の削減・休暇制度の利用促進」、「勤務時間の弾力化」といった女性が重視する働きやすさにつながる職場環境の整備がなされています。

 女性も含めた多様な人材の活用に向けては、柔軟な働き方ができる職場環境を整備すること、従業員の理解を進め適切なマネジメントを行うこと、従業員全員がお互いの業務を理解し、分担しあうために社内プロセスの見える化に取り組み標準化を進めることが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)