【時事解説】波平さん理論は日本を救えるか? その1

「波平さん理論」が話題を呼んでいます。先日、要人の発言を機に、新聞やネットなどで議論されるようになりました。波平さんとはご存じ人気長寿アニメ「サザエさん」の登場人物で、主人公サザエさんの父、磯野波平さんです。

 波平さん理論とは、今の日本人は波平さんと比べるとずっと若い。加えて、日本の社会保障制度は「サザエさん」が誕生したころに作られているため現代社会にそぐわなくなっているというものです。波平さんの年齢は54歳。現代社会で、50歳代といえば、サッカー選手の三浦知良氏が52歳、ロックグループB’zの稲葉浩志氏は54歳、ほか福山雅治氏(50)など、波平さんと比べると著しく若いです。

 サザエさんの連載が始まったのは1946年。当時、男性の平均寿命は60歳程度、会社の定年は50歳代半ばでした。「サザエさん」の設定において、波平さんは定年が近く、定年後は10年もたたないうちに平均寿命に達するのです。

 当時の人生60年時代から、今では人生100年時代になり、男性の平均寿命は81歳と波平さんの頃とは20年も差があります。何らかの対応が必要なのは明らかです。では、どのような解決法があるでしょうか。キーとなるのは「生物学年齢」です。

 年齢には実年齢と生物学年齢の二つの概念があります。生物学年齢とは、身体の成熟度をもとに割り出された年齢です。識者によると、生物学年齢でいうと、1946年における54歳は2016年では74歳に相当するといいます。波平さん理論をもとにした制度改革の一つは、会社員の定年退職年齢を実年齢ではなく、生物学年齢に応じて設定すればよいというものがあります。平均寿命が延びた分、人生における働く期間を増やすという選択肢を設けることが解決につながります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】島根県における女性活躍 その2

では、島根県では具体的にどのような女性活躍支援の取組みが行われているのでしょうか。

 島根県では、「しまね女性の活躍応援企業」登録制度に基づく企業の登録を行っています。
 これは、女性活躍推進法(2016年4月施行)において女性活躍に係る事業主行動計画の策定義務が規定されたことを受け、女性活躍推進法に基づく行動計画策定企業等を「応援企業」として登録するものです。登録企業のメリットとして、①登録企業を県ホームページや企業説明会等でPR、②登録企業対象の補助金制度(中小企業・団体等のみ)、③登録企業対象の表彰制度、④県庁舎の清掃業務・各種警備業務委託の入札参加資格審査での加点、⑤県の調達における受注機会の増大のための取組の実施などがあり、2019年5月末現在で208企業・団体が登録されています。2017年度には、島根県内の大学、高等専門学校、高校と連携し、学生が「しまね女性の活躍応援企業」の登録企業を取材し政策したPR動画をインターネットで公開するなど、学生と企業が交流する機会を創出しつつ女性活躍に取組む企業の魅力向上に貢献する取組みを行いました。

 また、女性活躍を推進するための体制として2016年10月に、しまね働く女性きらめき応援会議という協議会を設立しています。
 この協議会は経済団体、農林水産団体、女性団体、高等教育機関、学識経験者、行政からなる計35団体で構成され、女性活躍推進に向けた連携体制の構築と情報共有、課題の分析と目標設定、事業の実施などが行われています。

 このように島根県では、行政、支援機関、高等教育機関などが一体となって企業の女性活躍推進を支援する取組みが行われているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】島根県における女性活躍 その1

中小企業が人手不足の問題を抱える中、人口減少がとくに深刻な地方圏において女性の積極的な労働参加による活躍が求められています。
 総務省統計局「平成29年度就業構造基本調査」によると、島根県における15歳~64歳(生産年齢人口)の女性の有業率は74.5%と全国2位、育児をしている女性の有業率は81.2%と全国1位となっています。

 島根県が2017年3月に実施した調査によると、島根県における女性労働参加率の高さの要因として、第一に仕事と家庭の両立を支援する環境が整っている点があげられます。島根県では三世代世帯率が高く、親の協力を得られている家庭が相対的に多くなっています。また、育児中男性の労働時間の短さ、長時間労働者の少なさ、夫の家事・育児分担率の高さなどといった夫の協力も得られやすいという特徴があります。さらに待機児童の少なさなどといった育児施設の充実も要因としてあげられます。第二に、女性の就業に対する意識の高さがあげられます。島根県では「男は仕事、女は家庭」といった固定的性別役割分担意識を否定する意識が強い点があげられます。また、女性の起業者が多い、女性の正規雇用者比率が高い、女性の就労継続意識が高いなどといった女性の働く意欲の高さも要因として挙げられます。第三に、男女ともに相対的に賃金が低い、男性の低所得層の割合が相対的に高く、夫に扶養されている女性が相対的に少ないなどといった経済的な理由により、働いている女性も存在する点があげられます。

 このように、島根県における女性の労働参加率の高さには、仕事と家庭の両立支援、女性の就業意識の高さ、経済的な理由などが背景としてあるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》最近の税務調査事情

◆税務調査はいつ来るの?
 7月1日が国税局の人事異動の日となるのと、12月には一度調査状況を集約しますから、税務調査のメインは8月~11月です。その後1月・2月にも調査はありますが、3月が確定申告の時期になりますので、長引くような調査はありません。確定申告が終わると4月に事業内容の確認程度の調査が行われます。その理由は5月が3月決算の法人の申告月のため、立ち会う税理士の業務が多忙を極め日程調整が難しいからです。そして6月は税務署員が7月1日の人事異動に向けて、残務整理のため調査はありません。

◆最近の傾向
 上記のサイクルが従来は一般的でした。しかしここ最近は、税務署も人手不足か、ノルマが厳しくなったのか、このサイクルが若干変わってきております。6月はさすがに調査はありませんが、6月の後半になると調査予約の問い合わせが殺到します。7月の調査依頼です。7月1日に人事異動があるため、本人ではなく後任の調査官が税務調査を行うための先行予約です。「後任の者はまだわかりませんが、決まったら改めて連絡いたします」といった感じで税務調査の日程を予約してきます。従来8月スタートだった調査は7月スタートに変わりつつあります。

◆3月にも税務調査
 3月15日は個人の確定申告の申告期限で税理士会からも税務調査は控えるよう税務署に要望を出しているため、3月の税務調査はまずありませんでしたが、ここ数年は3月15日以降ならいかがですか?といった問い合わせが多くなっております。
 そのためか4月・5月の税務調査もかなり増えてきております。

◆3月~5月はチャンスです
 3月~5月の税務調査は必ず6月には結論を出して7月1日の人事異動までには終わらせなければなりません。そのため立場的には納税者の方が有利です。無理難題は言えませんが、調査担当者は早めの終息を望んでいます。数年に1度は必ず来る税務調査です。3月~5月の調査依頼は断らずに進んで受けましょう。

《コラム》軽減税率対策補助金と税制特例の適用の仕方

◆軽減税率対策補助金
 消費税率が10%になるに伴い導入される軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等を対象に、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等を行う際(リースによる導入も補助対象)に、次のような「軽減税率対策補助金」の制度が用意されています。

・A型:複数税率対応レジの導入等支援
 軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に販売するために複数税率対応レジ又は区分記載請求書等保存方式に対応した請求書等を発行する券売機を導入又は改修する必要のある事業者が使える補助金です。
・B型:受発注システムの改修等支援
 軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に取扱うために、電子的受発注システムの改修・入替を行う必要がある事業者が使える補助金です。
・C型:請求書管理システムの改修等支援
 軽減税率に対応するために必要となる区分記載請求書等保存方式に対応した請求書管理システムの改修・導入を行う必要がある事業者が使える補助金です。

◆趣旨と注意事項
 いずれの類型においても、レジ・券売機、受発注システム、請求書管理システムを使用して日頃から軽減税率対象商品を販売・取引しており、将来にわたり継続的に販売や請求書の発行を行うためにこれらを導入又は改修する事業者を支援するものです。
 2019年9月30日までに導入又は改修等し、支払いが完了したものが支援対象となりますが、申請受付期限もあり、事前申請のもの事後申請のもの等の違いもあるので注意して下さい。

◆国庫補助金・圧縮記帳・少額資産
 上記の補助金は、国庫補助金等に該当し、資産の取得になる場合に対応する時は圧縮記帳が出来ます。また、損金算入による圧縮後の資産の価額が少額減価償却資産に該当するときには、全額を損金経理することも出来ます。
 圧縮記帳制度を適用した場合の減価償却資産の取得価額は、圧縮記帳後の金額とされており、少額減価償却資産の判定の価額もそれを承けているからです。
 なお、この圧縮記帳は法人税法本法の制度なので、いわゆる措置法特例の重複適用排除の対象ではありません。

《コラム》進む!電子申告

◆平成30年分所得税等申告の件数
 国税庁は2019年5月30日に、所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況についてのまとめを発表しています。
 それによると、平成30年分の所得税及び復興特別所得税の申告をした人は2,222万人(対前年比+1.1%)、その中でe-Taxで申告書を提出した人(税理士による代理送信を含む)は542.5万人(+17.0%)となったそうです。特筆すべきは国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を利用しe-Taxにより申告書を提出した人数が前年の61.5万人から124万人と約2倍に増加したことです。
 これは平成30年分の申告から「ID・パスワード方式」が始まり、マイナンバーカードとカードリーダーがなくてもe-Taxの送信が可能になった部分が大きいのでしょう。また、スマートフォン専用画面の提供も始めており、36.6万人がスマホやタブレットで申告書を作成・提出したとのことです。

◆大法人は今後電子申告が必須に
 令和2年4月1日以後に開始する事業年度からは、①内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人、②相互会社、投資法人及び特定目的会社に該当する法人は、法人税及び地方法人税・消費税及び地方消費税の申告については電子申告が義務となります。なお利用開始時には届出書を出す必要がありますので注意しましょう。

◆電子申告のメリット
 個人の申告では、夜間等でも申告データを送信できるので時間を問わない、紙を郵送する必要がないのでコストが安い、不備がなければ紙での申告より還付が少し早くなる、添付資料が省略できる場合がある等、電子申告にするメリットは十分にあります。
 また、法人の電子申告に際しても、各提出情報を効率的に保存できるように、イメージデータ(PDF)で送信された添付書類の紙原本の保存不要化、法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式をCSVでも受け付ける等、デジタル機器が普及した社会への適用が進んでいます。今後ますます、電子申告や周辺資料の送信環境は整備されるはずです。
 併せて会社の紙資料等の電子化も、検討してみてはいかがでしょうか。

《コラム》労働基準監督署の調査で慌てないために用意しておくものとは

◆今後の法令改正の予定の背景
 一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革」が進んでいます。今後の改正は長時間労働の削減のための上限規制、非正規雇用の待遇改善の同一労働・同一賃金へと進んでいきます。

◆労基署の調査の種類
 改革に合わせた労基署の監督内容をまとめてみました。
臨検監督:監督官の主要な業務で事業所に立ち入り、関係労働者の労働条件や安全衛生等について調査するもの。原則予告なし。
・法違反が認められた場合は是正勧告
・要改善事項が認められた時は改善指導
・危険性が高い機械設備はその場で使用停止命令等が行われます。
 臨検監督には計画的に任意に選定して行われる定期監督、労働者の申告による申告監督、労災発生時に行う災害時監督、悪質・是正が不適切な時の再監督があります。

◆日頃から備えておきたい各書類
 調査の順番が回ってきたときもあわてないように、日頃からしっかりとした管理体制が求められます。
 会社の組織図、労働者名簿、賃金台帳、就業規則(諸規程含む)、従業員別の時間外労働・休日出勤の実績資料、勤怠ログ等勤務実績がわかる資料、36協定書、変形労働時間制等の定めをしている場合の労使協定、変形労働時間制のシフト表、年次有給休暇管理簿、労働条件通知書の控え等について
(1)作成・届け出義務
(2)未記載項目がないか
(3)労働時間管理は適正か
(4)割増賃金が正しく支払われているか
をチェックされます。
 また、健康診断の実施結果と50人以上事業所の場合は健康診断結果報告書、ストレスチェック実施報告書、安全委員会・衛生委員会の議事録等について安全衛生体制が適正になされているかをチェックされます。

◆指導の多いもの
 指導が多いものとして、すべての労働者について客観的な方法での時間把握、みなし労働時間制の不適切運用、36協定を作成せず又は届け出ていない、36協定の労働者代表の不適切選出、名ばかり管理監督者、労働条件通知書を交付していない、未払い残業代等があります。日頃から必要書類を準備しておきましょう。

 

(後編)個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

(前編からのつづき)

 「承継計画」は、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年以内に、あらかじめ都道府県に提出する必要があります。
 対象となる事業用資産とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供されていた土地(面積400平方メートルまでの部分に限る)、建物(床面積800平方メートルまでの部分に限る)及び建物以外の減価償却資産(固定資産税又は営業用として自動車税や軽自動車税の課税対象となっているものその他これらに準ずるものに限る)で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものをいいます。

 なお、被相続人は相続開始前において、相続人は相続開始後において、それぞれ青色申告の承認を受けていなければならず、相続人は、相続税の申告期限から3年ごとに継続届出書を税務署長に提出する必要があります。
 また、贈与税の納税猶予制度も創設されており、受贈者が18歳(2022年3月31日までの贈与は20歳)以上の者に限られ、猶予税額の納付、免除等は相続税の納税猶予制度と同様となっておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

2019年度税制改正において、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設されました。
 2018年度税制改正において、事業承継税制が抜本的に拡充されたことで、2017年度に年間400件程度の法人向け事業承継税制の認定件数が、拡充後は年間4,000件にのぼり、個人事業者についても円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保のため、個人版事業承継税制が創設されます。

 新制度は、2019年1月から2028年12月31日までの10年間限定で、相続人が相続等により事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を100%猶予します。

 既存の事業用小規模宅地特例との選択制となり、この税制を活用するためには、中小企業経営承継円滑化法に基づく認定が必要で、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された事業用資産の承継前後の経営見通し等の記載のある「承継計画」に記載された者である必要があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2017事務年度における輸入品関税等の犯則事件の調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 金地金の総重量は約4トンに相当し、課税価格の総額は約186億円にのぼり、金地金の密輸事件以外の主な処分事例として、タオル等の繊維製品や隠元豆等の豆類等の低価申告による関税等脱税事件がありました。

 金地金の密輸に係る処分した事件のうち、約96%(691件)が航空機旅客による密輸で、その隠匿手口は、これまで多く見られたサポーターを使って体に巻きつける手口等のほか、特殊な形態に加工して下着に隠匿したり、モバイルバッテリー内に隠匿したり、体内に隠匿するなど巧妙な隠匿手口が新たに見つかっております。

 財務省は、検査の強化、処罰の強化、情報収集・分析の充実の3つの対策を柱とした「ストップ金密輸」緊急対策の発表と取締りの強化を行っており、2018年度税制改正においては、金の密輸入の増加に対応するため、消費税法を改正し、輸入に係る消費税の脱税に係る罰金額(ペナルティ)の上限を、改正前は脱税額となっているものを、脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍に引き上げております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。