【時事解説】ストレス解消と集中力を高めるマインドフルネスとは その1

職場には様々なストレスがあります。また、心配事があると仕事に集中できず、効率が悪くなってしまいます。最近、ストレス軽減法として「マインドフルネス」を取り入れる企業が増えています。マインドフルネスはストレスを解消することで、仕事に集中できる状態を作り出すものです。

 実際には、瞑想の一種を行ない、心を癒し、集中力を高めていく方法をとります。実施例を挙げましょう。人は批判的な上司と仕事を続けなければならないと、憂鬱な気持ちになるものです。愚痴や八つ当たり、暴飲暴食といった行動は、問題を解決するどころか、状況を悪化させ、やがて上司への怒りに支配され身動きができない状態に陥ります。

 こんなとき、マインドフルネスが有効です。静かで落ち着いた場所で目を閉じ、自分を観察することからはじめます。その中で、どのような感覚や感情が湧き起こっているのか、気づくように意識を集中させます。次のステップは今の感情が怒りならば怒りを鎮めようとせず、その怒りは「理不尽さへの怒りだな・・・」といった具合に現実を客観的に理解するようにします。そして、怒り、悲しみなど、様々な感情をありのままに受け入れるようにします。

 ポイントは、「今ここ」に集中することです。上司に言われた小言やプレゼンでの失敗は「過去の事項」です。「過去」が頭から離れない状態ではストレスから解放されません。今の自身の感覚や感情に集中し、湧き上がる感情をありのままに受け入れることです。心を「今の自分」でいっぱいにすることで、雑念が入る余地がなくなり、徐々に落ち込みや怒りが薄れていくといいます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における外国人雇用 その2

具体的に、どのような外国人雇用による事業発展に向けた取組みが行われているのでしょうか。
 経済産業省貿易経済産業局が2018年5月に公表した「高度外国人材活躍企業50社」において、「外国人材目線での商品開発・サービス提供」の事例として取り上げられた株式会社シーサー(本社:沖縄県那覇市、従業員120名)の事例についてみていきましょう。

 株式会社シーサーは、ダイビング/マリンスポーツサービスの運営会社で、ダイビング/マリンスポーツの各種アクティビティ提供に加え、インストラクター育成や、ダイビング器材やマリングッズの企画デザイン・輸入・販売などを行っています。
 同社ではインバウンド需要への対応に向け、外国人観光客の潜在ニーズを把握しそれをサービスに反映させるために外国人の採用に力を入れています。外国人採用ルートについては、自社ウェブサイト・SNSでの求人、県内大学での留学生リクルーティング、インターン受け入れ等、多様なルートでの採用を実施しています。組織体制としては外国人社員を中心とするインバウンド課を設置し、外国人客向けの営業・接客に加え、サービス企画についても外国人社員が提案するなどインバウンド課が外国人向け業務全般を担当する体制をとっています。

 このような外国人客の受入体制やサービス内容の強化により、来客数が大幅に増加するとともにインバウンド関連の売上増加を実現しました。近年は外国人向けの観光旅行プランの販売や宿泊施設の開業など、新たな事業にも参入しています。
 このように外国人雇用を通じて既存事業の拡大や新事業開発につなげることが可能となるのです。
(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における外国人雇用 その1

中小企業において外国人雇用への関心が高まっています。日本政策金融公庫総合研究所は、2016年8~9月に同公庫の融資先に対して実施した「外国人材の活用に関するアンケート(回答企業数3,924社)」に基づき中小企業における外国人労働者の現状を整理しています。

 同アンケートによると、外国人を雇用する企業の割合は回答企業全体で13.3%を占めています。業種別にみると「飲食店・宿泊業(25.5%)」、「製造業(24.3%)」の順に高くなっており、従業員規模が大きくなるほど割合が高くなっています。

 外国人従業員がいる企業についてその雇用形態をみると、「正社員」として雇用する企業の割合が58.7%と最も高く、以下「非正社員(39.0%)」、「技能実習生(21.0%)」の順となっています。国籍別にみると「中国」が38.0%と最も割合が高く、以下「ベトナム(18.0%)」、「フィリピン(7.7%)」の順となっています。

 外国人を雇用する理由をみると、「日本人だけでは人手が足りないから」が28.0%と最も高い割合を占める一方で、「外国人ならではの能力が必要だから」と回答した割合も23.3%あるなど、必ずしも人手不足だけが外国人を雇用する理由ではないことがわかります。さらに外国人を雇用する理由を従業員の雇用形態別にみると、「非正社員」と「技能実習生」についてはどちらも「日本人だけでは人手が足りないから」が4割を超える一方で、「正社員」について「外国人ならではの能力が必要だから」が35.9%と最も割合を占めています。

 このように中小企業における外国人雇用においては人手不足への対応だけでなく、外国人ならではの能力を活用しつつ、企業の成長や国際化を支える存在としても重要なのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》ふるさと納税の見直し

◆2019年6月1日からの制度変更
 一部自治体のお礼の品は寄附に対しての割合が高すぎる、過度な競争が起きているとして、今年6月1日以降の寄附について、大臣が指定しない自治体に対しての寄附は、ふるさと納税における住民税の特別控除が適用されなくなります。

◆ふるさと納税適用外の自治体
 2019年6月1日以降、ふるさと納税の対象とならない団体は、東京都(申込書の提出が無かった)、静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の5団体です。6月から5団体への寄附については、一部Webサイト・報道等では「寄附金控除が適用されない」といった文言も見られますが、「ふるさと納税の特別控除の対象とはなりません」というのが正解です。
 実際には所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除(本則分)は適用されるため、適用外の自治体への寄附のすべてが控除されないというわけではありません。ただし、「2,000円でお礼の品がたくさんもらえる」のが売りの制度ですから、ふるさと納税から除外された自治体への寄附は「お得でなくなった」ので、「寄附が集まらなくなる」のは確実でしょう。

◆指定団体が2パターンある
 また、総務省のWebサイトでは今年6月1日から翌年9月30日までと、今年6月1日から今年9月30日までの自治体の2パターンの指定がされているのが確認できます。
 期間の短い自治体については2018年の調査で返礼割合実質3割超の返礼品を送付している・地場産品でないものを送付していると名指しされている団体が多いことから「対象期間が長いと適切でない」として4か月の指定とされているようです。指定が4か月の自治体は再度7月に総務省にふるさと納税の適用申出書を出すことになりますから、今後もふるさと納税の対象外となる自治体が出てくるかもしれません。
 「お礼の品やポータルサイト等の利用料を含め、ふるさと納税に係る経費は寄附金の5割以下とすること」というルールや、ヒアリングや追加資料提出依頼等がある旨の通達を鑑みるに、総務省はふるさと納税の運営基準の厳守を徹底しています。

《コラム》商店街の実態調査

◆3年に1度、景況等を調査
 2019年4月26日、中小企業庁は平成30年の商店街実態調査の結果を公表しました。この調査は3年に1度、全国の商店街に対し、景況や問題点、取組等について調査をするものです。それによると、1商店街あたりの店舗数は減少傾向(54.3店→50.7店)、空き店舗率は増加(13.17%→13.77%)、今後の見通しとしても空き店舗は増加すると答えた商店街が最多(53.7%)です。
 全国的には大規模商業施設や人手不足、ネットショッピングの普及に伴い徐々に活力を失いつつあるのが全国的な商店街の実情ですが、イベントや環境の整備等によって、「最近の景況は繁盛している」と答えた商店街もわずかに増加(5.3%→5.9%)しています。

◆商店街を活性化させる補助
 中小企業庁では、商店街を活性化させ魅力を創出するため、また、インバンウンドや観光等で地域外や日常の需要以外から新たなお客様を商店街に取り込むための環境整備・消費創出事業に対して、補助を行っています。環境整備については補助率2/3以内、消費創出事業では補助率2/3以内、専門家派遣事業は補助率10/10定額(上限:200万円)、3つの補助の合計で、上限は2億円、下限は200万円となっています。
 例えば外国からのお客様を取り込むための免税対応設備やゲストハウスの整備、店舗の多言語サインや、文化体験イベント、地域外からのお客様を取り込むための地元食材を活用したイベントや観光資源等と連携した取組、構造的な課題対応や取組を策定できる専門家の派遣に利用できます。

◆税制面でのサポートも
 先の調査で「商店街が抱える問題」としてもっとも多い後継者問題(64.5%)の一助になる税制面の制度もできました。今年から個人事業者の事業承継税制が創設され、10年間の時限措置ではありますが、事業用の宅地・建物・その他一定の減価償却資産について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額が納税猶予されます。ただしこちらは既存の小規模宅地等特例との選択適用となりますのでご注意ください。

 

(後編)日本商工会議所:消費税の軽減税率対策の小冊子を作成、無料配布へ

(前編からのつづき)

 例えば、軽減税率(8%)の対象品目について、まぎらわしい例として「類似品があるもの」を挙げており、特定保健用食品やエナジードリンク等の清涼飲料水は8%ですが、市販の薬やドリンク剤などの医薬品・医薬部外品は標準税率の10%になるとしております。
 また、「飲食用として販売するか否かで、税率が異なるもの」として、飲食用として販売すれば8%ですが、保冷用として販売すれば10%となると説明しております。

 一方、「飲食店向け」では、消費税率変更により検討すべき商品・価格戦略の確認、店内飲食(外食)・テイクアウトに当てはまるかの判断や、出前・宅配、ケータリングの違いなど、食事を提供する場合の税率の確認などの説明が盛り込まれております。
 例えば、出前や宅配などで配達する飲食料品は8%ですが、出向いた先で、料理の盛り付けや調理等を行った場合は、出張料理やケータリングとみなされて、標準税率の10%となると説明しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)日本商工会議所:消費税の軽減税率対策の小冊子を作成、無料配布へ

日本商工会議所は、「今すぐ始める軽減税率対策(小売/卸売向け・飲食店向け)」を作成し、今後、各地商工会議所を通じて、全国の中小企業・小規模事業者へ無料配布する予定としております。

 この小冊子は、消費税軽減税率対策窓口相談等事業の一環として企画されたもので、今年10月に予定されている消費税率の引上げ等により、特に大きな影響を受けることが予想される小売業/卸売業や飲食業について、具体的な対策などをまとめたものです。

 具体的に内容をみてみますと、軽減税率制度導入により変更が必要な価格表示やレジ設定の確認のほか、「小売/卸売向け」では、軽減税率制度の対象品目の確認をはじめ、軽減税率制度の導入後に価格を誤解されない工夫やイートインに当てはまるかの判断、請求書やレシートへの追加記載事項など軽減税率制度導入により変更となる経理処理の確認、従業員教育の方法、卸売業への影響の確認などが掲載されております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年5月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》残業時間の上限が規定される

◆労基法の改正 時間外労働の上限規制
 労働時間の定めは労働基準法で原則1日8時間及び週40時間、毎週少なくとも1回の休日を取り、これを超える時は36協定(時間外労働の労使協定)を締結、届出が必要とされています。これまで36協定で定める時間外労働について厚生労働大臣の告示による上限基準はありましたが、特別条項付き協定を締結すれば限度時間を超えることができました。これが長時間労働に拍車をかけるとして、告示に留まっていた時間外労働の上限規制が新年度の4月から改正され罰則付きで労基法に規定されました。

◆改正内容
 今回の改正によって、
(1)法律上時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別なことが無ければこれを超えられません。
(2)臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも次の規制があります。
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計が2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のそれぞれの平均ですべての時間外労働が1月当たり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えられるのは年6回が限度
・上記に違反した場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられる可能性があります。
注:上記内容は特別条項の有無にかかわらず規制がかかります。また、時間外労働が45時間以内であっても時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上になることは認められていません。

◆36協定で定める留意事項
 今年度より36協定届は新様式になりました。改正点は次の通りです。
(1)1日、1か月、1年のそれぞれの時間外労働の限度を定める必要があります。
(2)協定期間の起算日を決定します。
(3)時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2~6か月の月平均80時間以内にします。
(4)限度時間を超えて労働させるのは「臨時的な特別の事情がある場合」に限られます。

《コラム》中小企業投資促進税制等の適用期限が延長されました

 平成31年度税制改正において、中小企業の積極的な設備投資を後押しし、「生産性革命」の実現を図る観点から、中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制の適用期限が2年間延長されました。

◆中小企業投資促進税制
 本制度は、中小企業者又は農業協同組合等で青色申告書を提出するものが指定期間内に、新品の特定機械装置等を取得し又は製作して、これを国内にあるその中小企業者等の営む製造業、建設業等の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、普通償却のほかに特別償却(取得価額の30%)ができるというものです。なお、中小企業者等のうち農業協同組合等を除く、資本金の額が3,000万円以下の中小企業者等にあっては特別償却に代えて税額控除(取得価額の7%)が選択控除できます。

◆商業・サービス業・農林水産業活性化税制
 本制度は、商業・サービス業を営む中小企業者等が指定期間内に経営改善指導等に基づき一定の建物付属設備又は器具備品を取得し又は製造もしくは建設して、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、普通償却のほかに特別償却(取得価額の30%)ができるというものです。
 なお、個人事業主及び資本金の額が3,000万円以下の中小企業者等にあっては特別償却に代えて税額控除(取得価額の7%)が選択適用できます。

◆中小企業経営強化税制
 本制度は、中小企業者等が指定期間内に一定の認定を受けた経営力向上計画に基づく設備投資をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却又は当該設備等の取得価額の10%(資本金等の額が3,000万円超1億円以下の中小企業者等は7%)相当額の税額控除ができるというものです。
 3つの制度をよく理解し経営課題や方針に応じて上手に活用していきたいものです。

【時事解説】追い込まれてする減損と余裕の減損 その2

否定的なニュアンスの場合は損益計算書の費用処理が、肯定的なニュアンスの場合は貸借対照表の資産価格の切り下げがクローズアップされているというわけです。その受け取り方の違いは、減損を実施する会社の体力差から生じます。肯定的ニュアンス会社の場合はある事業で減損損失が出ても、他の好調な事業の利益でカバーして、黒字を維持でき、自己資本のマイナスを生じさせないのに対し、否定的なニュアンスの場合の会社は、減損処理により、自己資本を使い果たし、限界まで追い込まれてしまいます。

 キャッシュアウトを伴わない、見積もりと判断に依存する減損のような会計処理には、実施時期と実施金額にある程度の幅が存在することは否めません。それを決めるのは経営者です(会計監査人はその合理性を検証します)。

 追い込まれてする減損処理はさらに会社を弱らせるのに対し、余裕のあるうちの減損処理は将来の展望を開くものと理解されます。否定的ニュアンスで報じられる会社の場合でも、財務体力に余裕のあるもっと早期に減損を行う機会はあったかと思います。しかし、経営陣が経営悪化の表面化を恐れズルズルと引き延ばすと、追い込まれて減損をせざるをえなくなります。資産の費用処理は、許容される範囲で、できるだけ早く余裕のあるうちにしておいたほうが経営に与える打撃は少なくてすみます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)