《コラム》学生アルバイトの社会保険適用

◆アルバイト学生の社会保険加入は
 アルバイトで働く方であっても、労働時間や出勤日をその会社の正社員と比較してそのアルバイトの1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であれば健康保険・厚生年金に加入させなければなりません。
 しかし、学生アルバイトの場合はどうでしょうか? 「学生の本分は勉強でありアルバイトは空いた時間に従事しているだけだから社会保険に加入させなくともよい」と考えがちです。しかも学生自身、親の扶養家族になっているのが一般的ですので本人が社保加入を考える事はないでしょう。
 親の健保の被扶養者である所得要件は年収130万円未満であり、勤務状況が上記の加入義務要件を満たした場合は健康保険・厚生年金保険の加入対象者になります。社保加入を避けるためには労働時間や出勤日数の軽減を検討する事になります。

◆アルバイト学生の雇用保険加入は
 労災保険や雇用保険はどうでしょうか?労災保険は正社員、アルバイト・パート、日雇労働者等名称に関係なく労働者であれば全員が適用になります。会社は学生アルバイトが業務上や通勤途上でけがをした場合は労災保険を適用します。
 雇用保険の加入要件は、1)週の所定労働時間が20時間以上である事、2)31日以上の雇用見込がある事の2つでアルバイトでも加入対象者です。原則として昼間学生は雇用保険の加入義務はありませんが、1)適用事業所に雇用され卒業後も引き続き当該事業所に雇用される事となっている人、2)休学中の人、3)定時制課程の学生 4)前1~3に準ずる者として職業安定局長が定める場合は加入義務があります。

◆所得による国民年金学生納付特例の有無
 20歳以上で学生の期間中は国民年金保険料の納付特例を使って納付猶予をしている方も多いと思います。これを使う場合の学生本人の所得要件ですが、118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等以下であれば国民年金保険料納付特例制度が利用できます。ちなみにアルバイト収入が年103万円を超えると所得税がかかります。

経産省、軽減税率対応の周知に必死

10月に予定される消費増税と同時にスタートする軽減税率制度について、経済産業省は2月上旬、レジメーカーやシステムベンダーに対して制度の周知や対応を呼び掛けるよう協力を依頼しました。軽減税率の導入まで残り7カ月を切りましたが、これまで増税延期を繰り返してきたこともあって事業者の腰は重い状況です。

 経産省は、軽減税率の対象となる飲食料品などを扱う業種だけでなく全事業者で対応が求められることを踏まえ、準備を呼び掛けています。レジメーカーやシステムベンダーに向けた協力依頼書では、今年10月に増税が決定したことを踏まえ、営業活動やメンテナンスなどで顧客(事業者)を訪問する際など「あらゆる機会を通じた周知」を訴えるとともに、「中小企業・小規模事業者が軽減税率対応に取り組む気づきの機会を増やす」ことを重ねて訴えています。

 経産省の危機感の背景にあるのは、事業者に軽減税率制度への対応の必要性が認識されていない現状です。そのため同省は、仕入れや小売する商品が軽減税率対象であるかにかかわらず幅広く対応が必須だと強調するリーフレットを作成し、周知に努めたい考えです。リーフレットによれば、まず売る商品に軽減税率対象が含まれていれば、売り先が消費税の仕入税額控除をするため新制度に対応した請求書や領収書の発行が必要となります。また仕入れに軽減税率対象商品が含まれていれば、新制度に対応した請求書や領収書の保存と区分経理した帳簿が必要になるとしています。

<情報提供:エヌピー通信社>

被災建物の解体、自治体負担でも非課税

災害で被害を受けた家などを解体する際、その費用を自治体が負担しても所有者には所得税が課されないとする見解を、広島国税局が出しました。納税者からの質問に文書回答したもの。

 質問は、昨年7月に甚大な被害をもたらした西日本豪雨で被災した建物について、自治体が公費で解体撤去を行った時に、本来自分がやるべき解体撤去を自治体に肩代わりしてもらった所有者に経済的利益は発生しないのかという内容でした。

 広島国税局は、「非常災害時にあっても、損壊家屋の撤去などは原則として所有者が実施すべき」として、自治体が公費で解体撤去を行えば「所有者に撤去等に要する費用に相当する額の経済的利益が生ずる」との解釈を提示。その上で、所得税法や通達では、災害による損害に対する社会通念上相当の見舞金は所得税が課されないと規定されていることを踏まえ、二次災害の原因になり得る建物を自治体が撤去することは社会通念上相当と認められ、それによって所有者が受ける経済的利益に所得税は課されないとの見解を示しました。これは所有者が自治体に撤去を事前要請して実施してもらう場合でも、すでに自費撤去をした建物について後から費用を請求する場合でも共通するとのことです。

 ただし注意点として、自費で建物を撤去して後から費用を請求するケースでは、受けた損害の一部を所得から差し引く「雑損控除」を使う際、返ってきた金額分を差し引く必要があります。

<情報提供:エヌピー通信社>

【時事解説】アベレージヒッターかホームランバッターか その2

そこで、過去の実績としての財務指標よりも、企業の将来性を判断する事業性評価に重点をおくべきだ、といった議論が沸き起こっています。財務指標でいえば、過去の実績ではなく、将来のキャッシュフローを重視すべきだという主張です。将来キャッシュフローは将来損益計算書が描けなければ構築できませんから、銀行員に求められる能力は過去の貸借対照表の分析ではなく、将来の損益計算書の予想であるということができます。

 しかし、こうした融資姿勢の転換は口で言うほど簡単ではありません。なぜなら、融資の根幹に関わる哲学が違うからです。自己資本比率を重視する融資姿勢は確実性を重視し、危険が少ないローリスク・ローリターンを目指すものです。一方、将来キャッシュフローを重視する融資姿勢のポイントは将来の事業性ですから、100発100中というわけにはいきません。多少の失敗には目をつぶり、大化けする企業を見出すハイリスク・ハイリターンの世界に入ることになります。

 野球で言えば、ヒットで出たランナーを送りバントとスクイズで確実に1点を取るスタイルを狙うのか、あるいは、最初から大振りして、場合によっては三振もするかもしれないがあくまでホームランを狙うのかです。つまり、アベレージヒッターかホームランバッターかの違いです。

 銀行は長い間アベレージヒッターであることをよしとし、そういう人間を育ててこようとしてきました。また、銀行に入ろうとする人間もどちらかといえば、アベレージヒッターを目指そうという人間が多いはずです。そんなことを考えるとホームランバッターへの転換は容易ではないと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】アベレージヒッターかホームランバッターか その1

 銀行は預金者から預金を預かり、資金を必要とする人(主として企業)に貸し付けることが仕事です。そこから、銀行には二つの役割があることが分かります。一つは預金者から預かった預金を、利息を付けて確実に預金者に返還する預金者保護であり、もう一つは資金を貸し付けた企業を成長させる産業の育成です。そのどちらに重点を置くかで、銀行の融資姿勢は異なってきます。今までは、どちらかというと、預金者保護に重点が置かれていましたが、銀行に対する期待は変わりつつあります。

 貸し付けた資金が貸し倒れになると、預金者に確実に預金を返還できなくなってしまいますから、銀行は何より貸し倒れを回避することを優先して融資を行ってきました。その結果、融資の返済財源は確実性を重視して、以下のように考えます。

 銀行が融資に際して、最も重視する指標は貸借対照表から算定される自己資本比率(自己資本/総資産)です。自己資本比率は企業が今後どう動いていくかということには興味はなく、現在所有している(直近の決算書で表示される)財産から返済できる返済力を計算しようとするものです。将来予想は不透明ですが、現在所有している財産は確実です。自己資本比率をベースに返済の確実性を評価して、将来の不確定性に対しては物的担保を取り、保全するというのがこれまでの銀行の基本的な融資姿勢でした。

 しかし、このような銀行の旧来型融資姿勢に対し、次のような批判が起こっています。過去の実績中心の評価だと、老舗の企業には有利だが、これから成長する新興企業には不利になるとか、今までの実績は不振だったが、企業改革等により良くなる企業を判別することができない等、こうした硬直的な融資姿勢だから貸し出しは伸びず、地域も活性化しない、といった批判です。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:2017事務年度の無申告法人調査を公表!

(前編からのつづき)

 A社は、競売物件や立退き交渉が必要な不動産の売買を行う法人ですが、取引先である法人Bに対する調査にて、A社に対する支払いを把握したため、実態を確認したところ、無申告でした。

 A社は、土地の売買により多額の利益が生じており申告が必要なことを十分に認識しながら、作成していた売上に係る書類を破棄し、申告せずにその取引によって得た利益を関連法人の運転資金として流用していました。
 A社に対しては、法人税1年分の申告漏れ所得金額2億7,100万円について追徴税額9,600万円(加算税込み、重加算税あり)及び消費税1年分について追徴税額800万円(同)がそれぞれ課税されました。

 また、申告はしているものの赤字としていた無所得申告法人3万1千件を実地調査した結果、2万2千件から2,458億円の申告漏れ所得金額を把握し、272億円を追徴課税しました。
 さらに調査した26.6%にあたる8千件が不正を働いており、その不正所得金額は1,229億円で、追徴税額57億円となるとともに、実地調査件数全体の13.8%(有所得転換割合)は黒字法人となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)国税庁:2017事務年度の無申告法人調査を公表!

 国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の無申告法人調査を公表しました。
 それによりますと、2017事務年度において、事業を行っていると見込まれる無申告法人2,593件(前年対比1.1%減)の実地調査を実施し、法人税50億1,700万円(同21.9%減)を追徴課税しました。

 また、消費税については1,989件(前年対比0.1%増)を実地調査した結果、消費税58億8,900万円(同17.3%増)を追徴課税し、法人税とあわせて109億600万円(同4.7%減)を追徴課税しました。
 このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人税435件(同19.8%増)及び消費税302件(同23.8%増)の法人に対し、法人税27億700万円(同2.6%減)、消費税15億7,900万円(同5.7%増)を追徴課税しました。
 事案では、多額の利益が生じておりながら、意図的に無申告であった法人A社のケースがあがっております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)会計検査院:中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表!

(前編からのつづき)

 消費税等の課税事業者で所得がある1,494法人について、消費税等の課税事業者において損失とはならない仮受消費税相当額に係る貸倒引当金繰入額のうち損金の額に算入された額を試算し、これを基に推計した法人税の減収額は計2億余円となりました。

 会計検査院は、法定繰入率と貸倒損失発生率との間にかい離があること、期末一括評価債権額に損失とならない仮受消費税相当額が含まれていることなどから、繰入率特例における繰入限度額は合理的に測定されるなどしたものとなっているとはいえないおそれがあると指摘し、関係省庁に対し、貸倒引当金の特例の検証を行い、国民に対する説明責任を的確に果たしていくことを求めました。

 法定繰入率により繰入限度額を算出する措置は、1950年度税制改正により事務の簡素化等を目的として創設されて以降、法人税法等で規定され、法定繰入率は、概算で繰入率を定めているという趣旨に鑑み、常に貸倒実績率を斟酌しつつ、合理的に測定された適正なものとすることが必要として、随時、貸倒れの実績率とのかい離がある場合には引下げ等が行われてきました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)会計検査院:中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表!

会計検査院は、中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表しました。
 それによりますと、法定繰入率と貸倒損失発生率との間にかい離があることから、貸倒引当金が過大に計上されて法人税の減収につながっていると指摘しております。
 同特例は、中小企業等の貸倒引当金の繰入限度額について、法定繰入率を用いることができ、中小企業等のうち公益法人等及び協同組合等については、繰入限度額を割増しできる措置です。

 また、内国普通法人における事業区分ごとの貸倒損失発生率を算出したところ、全事業区分において、引当金の繰入限度額の計算方法として認められる「法定繰入率」が実際の貸倒損失発生率を上回っていました。
 2011年度から2015年度に特例を適用した法人は、延べ約178万法人あり、損金算入額は1兆2,902億円にのぼり、全業種で法定繰入率が貸倒損失発生率を上回りました。
 なお、農林水産省の資料を基に繰入率特例による法人税の減収額を推計したところ、537法人で計133億余円となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》年次有給休暇の時季指定の扱い

◆働き方改革と時季指定権
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律で改正後の労基法では、使用者による年5日の年次有給休暇の時季指定権が定められました。
 2019年4月より労働基準法の改正により年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者にかかる年次有給休暇日数の内、使用者が5日の年休の時季指定権を行使しなければならなくなります。その場合、企業で計画年休制度を入れて年休を付与したり、従業員が自分で年休請求をして休んだ場合等、その日数は時季指定権から外して考えられるのでしょうか。

◆計画年休が付与されている場合
 計画年休とは付与された年次有給休暇の内、5日を超える分について労使で協定して計画的に休暇取得日を割り振る事ができる制度ですが、この計画年休の日数は時季指定権の5日から除く事ができます。また労働者本人が時季指定した年休も同様に除く事ができます。

◆半日休暇を取得又は付与した場合
 労働者本人の希望で半日の年休を取得した場合は、これに使用者が同意し本来の取得方法により休暇取得の阻害にならない範囲で適切に運用される限りにおいて問題が無いものとして取り扱うとされており、半日年休については使用者又は労働者が時季指定しても良い事とされています。その場合は0.5日と扱われます。

◆時季指定日に労働者が出勤した場合
 使用者が新労基法で定められる年5日の年次有給休暇の時季指定に違反すると対象労働者1人につき30万円以下の罰金が予定されており、今までには無かった罰則です。
 しかし使用者が時季指定しても、業務繁忙等を理由に労働者が出勤してしまう事もありうる事です。当日の労務提供義務は無いので帰宅をさせるのが前提ですが、労務の提供をさせた場合でも、その後年5日の時季指定権年休が付与できれば違反とは言えないでしょう。
 通達によれば年度当初に労働者の意見を聞いた上で年次有給休暇計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与する事等が考えられるとされていますが、年休取得状況を把握する為には年休取得管理簿は必須となるでしょう。