国税庁が海外口座55万件の情報入手

 国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。

 「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。

 地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。

 現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

 
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日本医師会が医療損税の還付を要望

2019年10月の消費税率アップで損失が拡大するとして、日本医師会が負担分を税で還付する制度を設けるよう政府に求めています。ただ財務省は従来の増税時に講じた対策を踏襲する考えを崩していません。政治力の大きい医療界が年末の予算編成と税制改正までにどう攻め込むのか、永田町と霞が関の注目を集めています。

 厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」は10月31日の会合で、消費増税への対応を議論しました。そこで「何らかの新たな仕組みが必要だ」と抜本的な対策を打ち出すよう訴えたのが、日本医師会です。保険医療の費用は非課税になっており、診察料は公定価格で消費税を上乗せできません。一方、医療機器などは課税の対象になっているので、病院の収支は悪化しやすい状況です。

 このため政府は、消費増税のたびに全国一律で診察料を引き上げて病院の負担を軽減する措置を取ってきました。しかし医療機関ごとに収支はバラバラで、特に高額な医療機器を導入する必要がある大病院にとって増税の影響は深刻。厚労省の調査でも、診察料引き上げによる増税負担の軽減率は、消費税率が8%に上がった14年度が83%、16年度も85%にとどまります。1病院あたりの持ち出しは年間約300万円で、医療界全体だと200億円規模に上っているという試算もあります。

 日本医師会は診察料の引き上げで補てんされた分と、消費増税で増えた負担分を病院ごとに集計し、差額について税で還付を受ける制度を要求しています。ただし財源が不明なうえに、診察料などを消費税の課税対象にしなければ還付は税制上難しいため、財務省がそのままのむ可能性は低そうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁が海外口座55万件の情報入手

国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。

 「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。

 地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。

 現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)国外居住親族に係る扶養控除等の適用に注意!

(前編からのつづき)

 上記の親族関係書類とは、戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券の写し又は外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。
 また、送金関係書類とは、金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類又は外国人居住者が利用料金の負担をする契約となっている国外居住者名義のクレジットカードの利用明細の写しのいずれかの書類をいい、国外居住親族ひとりずつ提出する必要があります。

 なお、送金関係書類に関して、現金で手渡しした場合は、送金関係書類が存在しないため、扶養控除等の適用を受けることができません。
 また、扶養控除等の適用を受けたい国外に居住している親族が2人以上いた場合に、国外に居住している親族A1人に対して他の親族の生活費等を一括して送金していますと、その送金の書類はAの送金関係書類にのみ該当し、その他の親族の送金関係書類になりませんので、該当されます方はご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国外居住親族に係る扶養控除等の適用に注意!

すでに2016年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等から、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、その親族に係る親族関係書類や送金関係書類を提出又は提示することが義務化されておりますので、外国人研究生や技能実習生を受け入れている企業は、年末調整時にご注意ください。

 これまで所得控除の中でも扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の人的控除については、適用を受けるにあたり書類等の添付義務はありませんでしたが、2015年度税制改正により、所得税法等の一部が改正されました。
 改正の背景には、納税者と「生計を一」にする親族でその年の合計所得金額が38万円以下の者がいる場合、配偶者控除等の所得控除が利用できますが、外国人居住者については、国外の扶養親族の確認が難しく、実在するのか分からないような扶養親族を多数掲げることで多額の扶養控除を受け、所得税や住民税の負担を全くしていないという外国人もいた模様です。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

(前編からのつづき)

 2019年1月以後に2018年分以後の確定申告をe-Taxで送信する場合には、電子的控除証明書等を添付して送信することができます。

 さらに、2020年10月以後に年末調整の際に給与所得者の保険料控除証明書を給与の支払者に電子的に提出(送信)する場合には、電子的控除証明書等を添付して提出(送信)することができるようになります。
 これにより、従業員は保険料控除申告書と控除証明書をまとめて電子提出が可能となり、会社側では控除証明書や提出用台紙を紙で取り扱う煩雑さがなくなることや、申告内容と証明書の突合せをより簡単に行えるようになることが期待されております。

 また、居住年が2019年以後分に係る住宅ローン控除においては、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書や年末残高証明書についても、金融機関や税務署から電子データで交付されるものをあわせて提出することができるようになりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

国税庁は、2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続きを電子化することを盛り込こんでおります。

 これまで所得税等の確定申告や年末調整で生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除の適用を受ける場合には、保険会社等から書面により交付を受けた控除証明書等を申告書等に添付等する必要がありましたが、2018年分以後は、保険会社等から電子データで交付を受けた控除証明書等(以下:電子的控除証明書等)を一定の方法により印刷した電磁的記録印刷書面(以下:QRコード付控除証明書等)による提出が可能となりました。

 QRコード付控除証明書等は、保険会社等のHPからデータをダウンロードするなどの方法により交付を受けた電子的控除証明書を、国税庁のHPのQRコード付証明書等作成システムに読み込むことで、PDFファイルのQRコード付控除証明書等が作成されます。 
 このQRコード付控除証明書等を印刷することで控除証明書として利用することができます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》老後の生活費の目安

◆老後のお金と平均余命
 日本人の平均寿命は2017年では男性が81.09歳、女性が87.26歳で女性は世界2位、男性は世界3位です。
 老後に必要なお金を平均余命で考えますと60歳時点の平均余命は男性23.72年、女性は28.97年となっていて、定年後の期間の長さの想定が必要になります。
 老後の生活費は総務省の家計調査で高齢夫婦の無職世帯では月約23.5万円かかります。例えば60歳の夫と2歳年下の妻の例をみると夫が83歳で亡くなる23年間で約6,500万円、妻が残されて約7割の生活費で88歳までとして7年間は約1,382万円、両方合わせると約7,900万円程度です。
 上記のように平均寿命までずいぶんとかかると感じますが、人生100年時代となればもっと必要になるでしょう。またこの生活費でレジャーや旅行などを楽しみたい場合、月額34.8万円は必要とされています。

◆公的年金で賄う分は
 年金の受給額は夫が会社員、妻が専業主婦という今までの厚生労働省のモデル世帯では夫婦で月約22万円です。
 夫の年金受給は昭和36年4月2日以降生まれの方は全額65歳からですが、それ以前に生まれた方は特別支給の老齢厚生年金が生年月日により支給されます。65歳から年金支給される夫が平均寿命で亡くなり妻が夫の年金の4分の3の遺族年金を受けた時、夫婦の年金総額は約6,000万円です。別に医療費や介護費用、リフォーム等予備費も必要ですがここでは計算に入れません。

◆不足分はどうする?
 以上を差し引きすると2,000万円程度は足りない事になります。預金、退職金、再雇用等で収入を得たりするのが一般的です。
 老後の心配事でよく挙げられるのがお金、健康、生きがいの3つです。定年前の方にとってお金が最大の関心事です。昔より長生きできる時代となって必要額も増えています。支出は住宅ローンの繰り上げ返済、生命保険の見直し、現役時代から支出を減らし貯蓄に回す、その習慣づけが身につけば定年後の支出も抑えられるでしょう。この先の収入の柱は年金であっても、定年後の雇用継続をするか転職しないと60歳時点では年金は出ません。可能なら働いておいて健保や厚生年金に加入すれば年金額が増え健保の給付も受けられます。

 

《コラム》公的年金制度 今後の動向

◆高齢者人口増加と社会保障費の増大
 総務省によると65歳を超える高齢者の人口は3,557万人(2018年9月時点)。前年から44万人増加しています。総人口に占める高齢者の割合は28.1%で70歳以上が占める割合は初めて2割を突破しました。高齢者人口は2000年の2,204万人から18年間で6割も増加しています。それに伴い社会保障費が増大し18年度は約32兆円、国家予算の3割に当たります。今後も少子高齢化は進みます。今までのように「多くの現役世代が高齢者の保障を支える」賦課方式は継続が難しくなるので見直しをする事になるでしょう。

◆受給開始年齢は引き上げか
 1942年に現在の公的年金制度の基礎となる労働者年金保険法ができた時は受給開始年齢は55歳でした。何度かの制度見直しで86年に国民年金、厚生年金ともに65歳支給開始となりました。しかしそれから30年たち現在では65歳になっても再雇用等で現役を続ける人が増えています。今年の4月には総務省の財政制度審議会で受給開始年齢の68歳への引き上げが提言されています。自民党の総裁選挙討論会では安倍総理が「現在60歳から70歳の間で任意に変動させられる年金の受給開始年齢を70歳以降まで広げる仕組みについて「3年で導入したい」と述べたそうです。生産年齢人口減少を補うにも高齢者に継続就業してもらいたいという事でしょう。

◆高額所得高齢者に負担の波が来ている
 受給開始年齢の引き上げはすべての高齢者に影響がありますが、特に高額所得高齢者を狙い改定されるケースが目立ちます。8月にも高額療養費の上限引き上げ、介護保険料の自己負担額の引き上げ、年金以外の収入が1,000万円を超える人について公的年金控除の控除額が縮小される見通しもあります。また、給与所得控除が最低220万円認められていましたが195万円に縮小され、適用できる基礎控除も新たに所得制限ができました。
 また、在職老齢年金制度は廃止の方向で検討され、年金がカットされる事がなくなるかもしれません。カットされないのはいいのですが、支給開始が遅くなるならあまり変わりないかなとも思えます。今後の行方が気になるところです。

【時事解説】自動車の未来を変えるMaaSとは? その2

車の価値が「所有」から「利用」に変化しつつあります。それに伴い、新たな市場としてMaaSが誕生。さらにトヨタ自動車とソフトバンクグループが提携を発表し話題となりました。ほか、ベンチャー企業も続々とMaaSに参入しており、これら企業が提供する新サービスに注目が集まっています。

 現在の目玉は自動運転タクシーです。実用化すれば、スマホアプリの地図で、今、自分がいる位置をタップすれば、周辺を走るタクシーが迎えに来るようになります。これまで、タクシーがなかなかつかまらない、電話で呼んでも到着までに時間がかかるといった問題がありましたが、今後、解決が期待できます。加えて、自動運転タクシーはドライバーの人件費が不要なので、従来タクシーよりも料金が安くなることも期待できます。

 MaaSは個人向けサービスだけでなく、事業者向けのサービスも開発されつつあります。その一つが、移動型商業サービスです。自動運転車と飲食業や小売業などの他業態がコラボすることで、動くお店が実現します。これまで、消費者はお店に足を運び、飲食や買い物を楽しむのが常識でしたが、将来は、スマホで呼べば、お店が自宅前まで訪れてくれるようになります。

 近年、ネット通販が盛んになりましたが、依然、商品を買うならば手に取って選びたいというニーズは強くあります。小売業者にとって、MaaSはネット通販に流れた顧客を取り戻すよい機会になるかもしれません。これまで、人件費やサービスの利便性などの障壁があり、MaaSのようなサービスはなかなか実現しませんでした。が、近年の自動運転やスマホなどの技術が進歩したことにより、もはや夢物語ではなくなっています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)