(後編)厚生労働省:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 寡婦(寡夫)控除は、税負担のみならず、公営住宅の家賃や保育料、国民健康保険料など住民サービスのさまざまな場面で所得の基礎計算に使われるため、適用の有無で生活上の格差を生じます。

 健康・医療関係では、医療に係る消費税等の税制のあり方について、高額な設備投資にかかる負担が大きいとの医療関係者などの指摘等も踏まえ、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ検討を行い、この税制上の問題の抜本的な解決に向けて、個別の医療機関等の補てんの過不足について、新たな措置を講ずることを求めております。

 その他、訪日外国人の診療には医療通訳や多言語に対応した院内案内等を準備する必要があるなど、医療機関は通常の診療と比べて多くの費用を負担する必要があるため、訪日外国人の診療においては社会保険診療報酬と同一の基準により計算された額を請求するという社会医療法人等の認定要件を見直し、社会医療法人等が費用に見合った額を請求できるよう要望しております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)厚生労働省:2019年度税制改正要望を公表!

 厚生労働省は、2019年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設や未婚のひとり親に対する税制上の支援措置など「子ども・子育て」対策、医療に係る消費税問題の抜本的な解決に向けた新たな措置、医療保健業を営む個人及び法人が取得価格500万円以上の高額な医療用機器を取得した場合の特別償却制度の適用期限の2年延長など、健康・医療関係における要望をしております。

 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設は、仕事と家庭の両立支援の観点から、0~2歳の子供を持つ世帯のうち、認可保育所への入所の希望がかなわず、やむを得ず公費の支援のない認可外保育施設等を利用する場合の費用の一部を税額控除の対象とするものです。
 認可外保育施設のなかには、保育料が認可保育所よりも割高となるところもあり、その保育料の一部を控除することで、子育てに係る負担軽減を図ります。
 また、未婚のひとり親に対する税制上の支援措置は、税制上の寡婦(寡夫)控除及び住民税(所得割・均等割)非課税が適用されるよう、所得税法及び地方税法上の「寡婦(寡夫)」に未婚のひとり親を加えるものです。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)経済産業省:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 そこで、同税制(適格SO)の要件(付与対象者が取締役や使用人等、年間権利行使期間が付与決議から2〜10年、年間権利行使総額が1,200万円)の一部を緩和し、国内外の高度人材の確保や専門的な能力を有する多様な働き方を促すSOを利用した柔軟なインセンティブ付与を実現します。
 新設法人への繰越欠損金制度の拡充では、新設法人は資本金が1億円を超える場合でも、設立7年目までは所得の100%まで欠損金の繰越控除が認められていますが、8年目以降は所得の50%まで制限されます(繰越期間は最大10年)。

 そこで、新設法人が欠損金を100%控除できる期間を10年目まで延長し、赤字が先行しやすく脆弱な財務状態になりがちな新設法人の成長と事業拡張に向けたさらなる投資を支援します。
 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設では、一般的に個人事業者は資金力が低く、事業承継時の税負担のため、事業継続に必要不可欠な事業用資産を売却しなければならない事態を防ぐ必要があるとの観点から要望しております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)経済産業省:2019年度税制改正要望を公表!

 経済産業省は、2019年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、研究開発投資の「量」の増加や「質」の向上を促すための研究開発税制の拡充、ベンチャー企業の成長に必要な国内外の高度人材を確保するためのストックオプション(以下:SO)税制の拡充、新設法人への繰越欠損金制度の拡充を求めたほか、中小企業関連では、個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設などを盛り込んでおります。

 研究開発税制の拡充では、総額型(試験研究費総額に係る控除制度)について、税額控除の上限(現行は25%)の引上げや、税額控除率の最大値(現行は10%、2018年度末までの時限措置で14%)のさらなる引上げ、オープンイノベーション型については、ベンチャー企業や中小企業と共同研究を行った場合の税額控除率(現行は、特別試験研究費の20%)の引上げを求めております。
 また、事業拡大に向けて手許資金が貴重なベンチャー企業は、社内外からの優秀な人材確保のため、SO税制を活用しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》修繕費と資本的支出

◆修繕費と資本的支出
 国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。ですからそうならなければ修繕費ということです。
 しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、その判断に迷う場合は結構あります。国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。

第1次判定……支出金額が20万円未満か又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで判定、該当すれば修繕費で処理します。
第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、明らかに修繕費になるものがあれば、それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。
第3次判定……第2次判定で処理した残額が、次のイ、ロのいずれかに該当すればその残額を修繕費で処理できます。
イ.60万円未満
ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下
第4次判定……第1次から第3次判定の基準でも判定できない場合には、その部分については「7:3基準」を適用して形式的に区分することも可能です。この「7:3基準」とは、法人が継続して①その金額の30%相当額か、②その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、いずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。

◆請求は一括でなく詳細に
 上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。判断できない場合とは往々にして修理もしたけどついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように請求書を記載してもらうことが肝心です。

《コラム》「領収書」と「領収証」

◆「領収書」か「領収証」か?
 民法では「受取証書」としています。要は金銭を支払った者が受け取った者に、受け取った旨の証拠となる書類の交付を請求でき、その請求に基づいて公布された書面を「受取証書」としています。
 これがいわゆる「領収書」又は「領収証」です。「金銭の受取」を「領収」と言うことから「受取証書」が「領収証書」となり「領収書」や「領収証」として一般に使われているものと推測されます。
 その意味ではどちらも同じで、どちらでも良いと言うことになります。

◆国税庁では領収書≧領収証
 「領収証」や「領収書」が関係する税法は印紙税法です。国税庁は以下のように言っています。
 〈金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。〉
 総称として「領収書」と言いその中の一つとして「領収証」を上げています。

◆受領の事実は支払いの事実
 「領収書」であれ「領収証」であれ、受領事実を証明するために作成された証拠証券ですから、逆にその「領収書」や「領収証」を貰った側から言えば、払った事実を証明する証拠証券でもあります。ですから支払った経費等の証明資料として、非常に便利な資料となるわけです。
 しかし、銀行を経由して振り込んだ場合は、銀行取引の明細を見れば支払いの事実は証明できますので、領収書や領収証の発行をしない場合が多いのです。カード決済の場合も、カード決済の明細書を保管しておけば支払いの事実は証明できます。ただその支払いが経費か否かは内容によりますので、何に使ったかわかるようにしておく必要があります。

ふるさと納税の駆け込み寄付急増

ふるさと納税について総務省は9月、豪華返礼品を税優遇の対象から外すよう制度を見直すことを決定しました。決定を受けて、すでに一部の自治体では返礼品の見直しに動いていることから、寄付を受け付けるポータルサイトには豪華返礼品を求める〝駆け込み〟アクセスが急増しています。

 9月1日時点での全国の返礼品の状況を取りまとめた調査結果が出たことを受け、野田聖子総務大臣は11日の会見で「大変残念ながら、要請を行うだけでは自発的な(豪華返礼品の)見直しが期待できない」と現状を説明しました。その上で「ふるさと納税はショッピングではない」と述べ、「過度な返礼品は制度の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討することにした」と語っています。今後、省内で見直し案を取りまとめ、与党税制調査会を経て年末にまとめる2019年度税制改正大綱に盛り込むことを目指します。

 総務省は今年7月に、豪華返礼品が目に余るとして大阪府泉佐野市など12自治体の名前を公表しました。しかし今回まとめた調査結果によれば、9月1日時点で返礼割合3割を超える自治体は246団体ありました。16年度の1156団体からは減り続けているものの、いまだ全体の14%の自治体が総務省の要請を無視していることになります。

 総務省は、あるべき返礼品の形として、①寄付金額の3割以下の価値、②換金性の高い商品券や宝飾品ではない、③地場産品に限る――という条件を提示していて、これらを満たさない返礼品は今後、寄付金額から2千円を引いた全額が住民税などから控除される税優遇の対象とならない可能性があると見られます。

 制度見直しが公表されて以降、寄付を受け付けるポータルサイトのアクセスは急増中です。一部報道によれば、野田氏が会見を行った日の午後には前日比2倍のアクセスが殺到し、一時サイトがつながりにくくなるなどの不具合が生じました。特に3倍を超えるアクセスが集中したのは、総務省が〝けしからん〟として公表した12自治体のページだったそうです。なお、9月1日時点で返礼割合3割を超える246自治体の名前は、総務省のホームページに掲載された調査結果で一覧できます。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

金の密輸対策で財務省が連絡会

財務省と税関当局が、金の輸出業務をしている商社と連絡会を設置し、密輸に関する情報交換を始めました。消費税の課税システムに便乗した金の密輸が増えており、来年10月に予定される税率引き上げが不正の悪化を引き起こす恐れがある中、犯罪組織に巨額の税金が流れることを防ぐため、現場の担当者らによる意見交換を基に実効性のある対策を講じたい考えです。

 日本では金が消費税の課税対象になっており、金を正規で輸入しようとすると業者は税関で金の価格に対応する消費税を支払う必要があります。これを悪用し、香港など税金がかからない国・地域から金を密輸し、日本国内で売却すれば、販売相手からもらう消費税分が手元に残ることになります。税率が上がれば利ざやが拡大するという構図です。

 こうした背景により、金の密輸摘発件数は2014年に消費税率を8%に上げてから急増しました。17年の摘発は1347件、押収量は6236キロに上りました。増税前の13年と比べると、件数が112倍、量は47倍になったことになります。もともと国内での金の産出量は年間数十トンですが、輸出量は14年に114トン、17年は215トンに達しています。密輸された金が商社など正規ルートを経由して輸出されている実態がうかがえます。財務省幹部は「犯罪組織に流れる税金は年間600億円以上に膨らんでいる可能性が高い」とみています。

 財務省関税局によると、密輸される金は電子タバコの中に入るよう変形されていたり、メッキを施してアクセサリーになっていたり、インゴットを切断していたりと、さまざまに加工されています。金に課税する国の中でも日本は特に密輸が目立っており、財務省は消費増税でさらに標的化することを危惧しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

日税連、消費税の単一税率要望

日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)はこのほど、2019年度税制改正に向けた建議書を関係省庁に提出しました。建議書では消費税の単一税率の維持のほか、公的年金等控除や給与所得控除の縮減など抜本的な所得控除の改革を求めています。

 19年度税制改正に向けて日税連は、特に強く主張する重要建議項目として、基礎控除や配偶者控除などの基礎的な人的控除の見直しを求めました。給与所得控除や基礎控除については18年度税制改正でも見直されましたが、「方向性は望ましいが、いずれも不十分」として、さらに踏み込んだ抜本的な改革を提案しています。特に公的年金等控除に対して、拠出時に社会保険料控除、給付時に公的年金等控除が適用されることで「実質的に非課税に近い」と言い切り、「可能な限り縮減すべきである」と強い口調で控除縮小を要望しています。また給与所得控除についても「水準が過大」であるとして、控除を縮減した上で基礎控除を一層引き上げるよう求めました。

 また消費税の軽減税率に対しては、複数税率の区分経理により事業者負担が増すことや逆進性対策として非効率であることなどを理由に、単一税率制度の維持を強く主張しました。逆進性への対応としては一定額を入金したプリペイドカードを配布する方法や簡素な給付措置などを提案しています。

 その他、機械設備など償却資産にかかる固定資産税制度の見直しや医療費控除の廃止を含めた縮減、中小法人への業績連動給与の導入、公益法人の営利事業への課税見直しなど、様々な税目で要望を行っています。
<情報提供:エヌピー通信社>

寡夫控除を未婚も対象に

離婚や死別によってひとり親となった人に所得税や住民税の軽減を認める「寡婦(寡夫)控除」について、未婚者も対象にするよう厚労省が要望する方針を固めました。2019年度税制改正への要望書に盛り込みます。

 寡婦控除は、離婚や死別によって配偶者を亡くした上で、子どもを扶養親族として養っているか、年収500万円以下のどちらかの条件を満たす人を対象にしています。どちらかの条件を満たすと27万円、両方を満たすと35万円が所得から控除されます。また寡夫控除では、両方の条件を満たした時に27万円の控除ができます。しかし、どちらも民法上の婚姻関係があったケースに限られ、未婚のいわゆるシングルマザーなどについては税優遇を受けられないことから、不公平との声が上がっていました。
 厚労省はこうした声を受け、年末にまとめる19年度税制改正に向けた要望に、寡婦(寡夫)控除の非婚者への対象拡大を盛り込みます。

 すでに8月末には保育園や幼稚園の保育料について、未婚のひとり親についても寡婦(寡夫)控除が適用されるとみなして減免する措置が閣議決定され、9月からスタートしています。寡婦(寡夫)控除の見直しは後追いとなりますが、改正はほぼ決定的と言えそうです。

 また厚労省は、児童養護施設などを出て進学・就職する若者を税制面で支援することも併せて要望する見通し。現在では生活費や家賃の貸付金は5年間働き続ければ免除されますが、一部は免除益として所得税が課されています。非課税措置を講じることで、若者の自立を促す狙いがあります。
<情報提供:エヌピー通信社>