《コラム》年金は何歳からもらえば有利なの?受給年齢の繰り上げ繰り下げ

◆年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給
 老齢年金の受給開始は原則65歳からです。60歳から早めにもらうこともできます。65歳より年金受給を早める(繰り上げ受給)と、65歳受給より減額された額(1か月ごとに0.4%減額)で支給され一生その率は変わりません。
 逆に65歳になっても元気で働けて収入もあるならば65歳より遅く(繰り下げ受給)申請できます。その場合は65歳受給より増額 (1か月毎に0.7%増額)されます。
 2022年4月からは繰り下げ年齢が70歳から75歳に引き上げられました(昭和27年4月2日以降生まれの方で未請求の方対象)。75歳で受給すると受け取る年金は最大84%増額になります。銀行定期預金の利息が年0.002%の時代に昨今これを上回る運用手段はないでしょう。

◆いつから年金をもらい始めるとお得なの?
 70歳までの繰り下げ制度は今までもありましたが、繰り下げをした人は国民年金では1.5%、厚生年金では0.9%しかいません。70歳までの就業が普通になれば増えるかもしれません。しかし繰り下げをためらわせる要因の最大の理由は自分の寿命です。自分の寿命がいつ来るかわからないので、もらい始めて数年で亡くなり、65歳から受給していた場合の額より低くなってしまうケースも考えられます。寿命は誰にもわかりませんので悩むことになります。

◆受給開始年齢の損益分岐点の計算結果
 繰り上げで受け取った方は77歳で65歳から受け取った方に追い抜かれます。70歳に繰り下げた場合は81歳で65歳開始を抜き、75歳開始は86歳で65歳開始を抜きます。繰り下げはおよそ11年超が分岐点になります。
 2022年時点で男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳。これは平均値なので男性の死亡者数のピークは89歳、女性は92歳と結構遅いのですが、受給を遅らせすぎても短期間で死亡し、もらい損になるかもしれません。あるデータでは平均的な寿命の男性85歳、女性90歳を前提にすると70歳くらいで受給開始するのが最大値になるという計算結果も出ています。
 自分の健康状態、いつまで働けるのか、預金等の資産はいくらか、年金を請求する前にライフプランについて考えてみましょう。

《コラム》特別徴収税額通知の受取方法 全国統一へ

◆納税義務者用も電子データOKに
 令和6年度から、納税義務者用の個人住民税特別徴収税額通知について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者(勤め先)で、納税義務者(従業員)に電磁的方法により提供することができる体制がある者が申出をしたときは、市区町村は特別徴収税額通知(特別徴収義務者用・納税義務者用)の正本データを電子により送信することとなりました。

◆令和6年度から全国統一
 現行でも、特別徴収義務者(勤め先)用の税額決定通知については、電子データで正本を送ってくれる自治体があります。また、紙で正本を郵送、電子データでは副本を送ってくれる自治体もあります。ただし、電子データで正本・副本を送ることができるかどうかは、自治体ごとに対応が分かれていました。また、納税義務者(従業員)用の税額通知に関しては、今までは電子データで正本・副本どちらも送ることはありませんでした。こうした制度を背景に、納税義務者(従業員)用の通知書については配布の義務はないため、社内サーバー等で住民税額のみ確認ができ、特別徴収税額の決定通知書は希望した人のみ配布、という会社もあったようです。
 今回の改正では、特別徴収義務者(勤め先)用の通知は、
①紙か電子で正本を送付可能
②紙で正本を送った場合、自治体により選択できた「副本を電子で取得」ができなくなる
という扱いが全国で統一され、納税義務者(従業員)用の通知は、紙のみだった正本について、電子で送付という選択が可能となります。
 なお、受け取り方法は特別徴収義務者用と納税義務者用でそれぞれ設定が可能です。

◆プライバシーにご注意を
 納税義務者用の通知書については、住民税の徴収に必要としない税額以外の情報が載っています。電子正本を取得する際には、パスワードをeLTAXの特設サイトから取得することにより、閲覧が可能となりますが、社内システム等による配布が難しい従業員には、給与事務担当者等が通知書を印刷して渡すケースも考えられます。その際には第三者に閲覧されないような秘匿措置を取っておきましょう。

【時事解説】インボイス制度とDXの普及 その1

2023年10月に、消費税に関するインボイス制度が始まります。インボイスというのは適格請求書とも呼ばれ、一定の事項が記載された請求書や納品書をいいます。

 現在、国に納める消費税額の計算は大まかにいうと、売上税額(売上に含まれる消費税額)から仕入税額(仕入に含まれる消費税額)を差し引いて求めます。仕入税額控除(仕入に含まれる消費税額を差し引くこと)の適用を受けるには、帳簿や請求書などの保存が必要です。

 インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるには、取引相手(売手)が交付した適格請求書が必要となります。原則、従来の請求書や領収書では控除ができなくなるのです。買い手は仕入税額控除を受けるため、売り手に適格請求書を交付するよう求めるようになるでしょう。そして、売り手側は取引の相手方の求めがあったときは、適格請求書を交付しなければならないと定められています。

 具体的に、適格請求書は従来の請求書や領収書とどこが同じで、異なる点はどこにあるのか説明しましょう。まず、請求書や領収書、納品書、レシートなど、記載事項に漏れがなければ、いずれも適格請求書として認められます。具体的な記載事項には従来と同じように、取引年月日や取引内容、対価の額などが必要になります。従来にない新たに必要となる記載事項は、「事業者の登録番号」「適用税率と税率ごとに区分した消費税額」などが挙げられます。登録番号は、税務署長へ登録申請をすることで得られます。

 インボイス制度が始まると、消費税の処理が煩雑化することが予想されます。そこで、現在の紙の請求書では対応がままならず、電子化が進むことが予想されます。インボイス制度がDX(デジタルトランスフォーメーション)の後押しをする可能性もあるといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》住民税と所得税の異なる課税方式選択手続が簡素化

◆異なる課税方式の選択が可
 上場株式等の配当所得の課税方式には、①総合課税、②申告分離課税、③申告不要制度があります。この課税方式の選択における所得税と個人住民税での関係について、平成29年度の地方税法の改正で、解釈の確認と言える規定が設けられました。すなわち、上場株式等の配当所得や源泉徴収選択口座内の譲渡所得等について、所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択できることが明確化されました。

◆所得税と住民税の様式の不整合
 しかし、所得税の確定申告書の住民税に係る記載欄には、住民税での課税方式の選択欄がありません。従って、所得税と住民税で、異なる課税方式を選択する場合には、個人住民税納税通知書送達日(5月下旬頃)前に、所得税とは異なる課税方式選択の旨を伝える申告書等の提出が必要でした。

◆有利不利の目安
 課税総所得金額が1000万円以下の場合(上場株式等の譲渡損失なし)であれば、所得税では総合課税、個人住民税では申告分離課税又は申告不要制度を選択するパターンが一般的には有利です。
 ちなみに、後期高齢者保険料や国民健康保険料の負担も、個人住民税に係る申告による所得をその料額計算の基礎としていますので、課税方式の選択の効果はここにも及びます。

◆日税連の税制建議と今年の税制改正
 なお、平成の終わり頃、この課税方式選択に係る住民税額や保険料額の長期に亘る決定誤りがあったと公表する自治体が続出していました。これを承けて、日本税理士会連合会は2019年7月22日提出の「税制改正建議書」の中で、「上場株式等の配当所得等に関し、個人住民税において所得税と異なる課税方式を選択する場合の申告手続を簡素化すること」を申し入れていました。
 今年の税制改正大綱では、個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、確定申告書における個人住民税に係る附記事項を追加する、とされ、税理士会の要望が実現しています。
 令和3年分からの所得税の確定申告書作成では、住民税欄の附記事項記載に要注意です。

【時事解説】本当に黒字倒産なのか その2

<ケース2>粉飾の黒字倒産
 しかし、話はこれで終わりではありません。黒字倒産と言われるものの第2のケースが考えられます。損益計算書の黒字あるいは貸借対照表の自己資本がまやかしの場合です。

 たとえば、損益計算書の売上高が粉飾であったとしたら、売掛金は架空のものになります。そうなると、売掛金を貸借対照表の額面どおり回収することは不可能ですから、銀行は融資できません。もし、銀行がだまされて融資してしまえば、返済財源が不足し銀行の貸出金は焦げ付いてしまいます。

 あるいは、損益計算書の利益は正しいとしても、土地などの資産に含み損があり実質的に債務超過になっていれば、やはり融資金の返済財源は不足しますから、銀行は融資を渋るでしょう。こうなると、倒産もやむなしといえますから、この場合は“倒産”が正しく、“黒字”が間違いだといえます。

 <ケース2>の粉飾は論外であり、外部からの手助けにより救うことは難しくなりますが、<ケース1>の場合は倒産させてはいけません。そのためには、損益だけを見るのではなく、資金管理(資金繰り)が重要になります。損益と資金管理は経営の両輪です。そのことを経営者は再認識しなければなりません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正

◆対コロナの限定延長が全体に適用へ
 令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月~3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月~3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。
 今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。

◆新設された40平方メートルのルール
 さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。
 この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。

◆控除率1%が問題視されている?
 今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。

《コラム》がん免疫治療の医療費控除

がん免疫療法は、人間の持つ免疫の力を利用してがんを攻撃するがん治療法ですが治療法の中には効果がまだ認められず、保険が適用されない自由診療となるものもあります。高額な医療費を支払った場合、医療費控除は受けられるのでしょうか。

◆診療、治療のため通常必要な医療費
 所得税法では、医療費控除の対象として「医師による診療または治療」、「治療または療養に必要な医薬品の購入」の対価のうち「通常必要と認められるもの」、「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と規定しています。
 判例では、眼の屈折異常を矯正する目的で眼鏡等を装用した際、医師の検査費用と眼鏡等の購入費用の医療費控除該当性が争われた裁判で「医療費控除制度は、治癒可能な心身の機能の低下を回復させるために必要となる医療上の経済的支出に対する課税上の調整措置である」と治癒を前提とした医療であることが判示されています。
 がん免疫治療の場合、自身で選択した治療法が治療の効果が証明されていない自由診療であるとしても、そこに一定の効果が期待され、医師の診断にもとづき治療が行われているのであれば、「治癒可能な心身の機能低下の回復」を目的とする医療行為に該当し、医療費控除が適用されるのではないでしょうか。ちなみに丸山ワクチンの購入費用は、主治医の判断の下、主治医により治療が行われることから、医師等による診療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となる旨の判示があります。

◆疾病予防と健康増進の医薬品は除外される
 所得税通達では、薬機法に規定する医薬品が医療費控除の対象とされますが、医薬品に該当しても疾病予防と健康増進のみに使用されるサプリメントは医療費控除の対象とされません。
 判例では、健康補助食品である漢方薬が医薬品でないこと、また医薬品に該当する漢方薬に治療・療養の必要性を認めず医療費控除が適用されなかったものがあります。

◆治療法の選択には慎重な検討を!
 医療費控除が適用されるとしても自由診療で免疫療法を受ける場合は、治療効果、安全性、費用の負担をよく検討した上で慎重な対応が求められます。担当医とよく話し合いましょう。また国立がん研究センターや地域拠点病院の相談窓口で免疫療法の情報を取得し、相談することもできます。

《コラム》副業が事業所得となる日は来るか?

コロナ禍で会社員の副業が身近なものとなっています。国は成長戦略の中で既に新しい働き方として兼業・副業推進の環境整備に取り組んでいます。しかしながら、副業に対する所得税の扱いは旧来のままです。

◆給与所得と事業所得の違い
 副業に対する所得税の扱いで最初に問題になったのは、給与所得に該当するのか事業所得に該当するのかという論点でした。
 最高裁昭和56年判決は、給与所得とは、会社との雇用契約のもと、使用者の指揮命令を受ける従属関係において提供される労務の対価であり、事業所得は、「自己の計算と危険」のもと、独立して営まれ、営利性、有償性、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得であると判示しました。

◆副業は事業所得か?雑所得か?
 副業が雇用関係になく従属関係もない場合、給与所得でないことは明らかです。とすれば副業は事業所得になると理解してよいでしょうか? この点、課税庁は、副業を「一般的に雑所得である」としており、給与収入に対する副業収入の規模や、設備の状況、営業日数(会社勤務の時間以外にどれくらい割り当てるか)などを勘案して雑所得と判定しているようです。平成30年頃までは、上記の要素を勘案して副業の損失金額を事業所得の損失と認めず、他の所得との損益通算を認めなかった判例が多くあります。

◆副業が事業所得となる日は来るか?
 これからは、会社員は勤務のかたわら、副業を普通に行えるようになり、自己の能力を高め、人脈を広げ、経験を積み重ねていくことでしょう。自身の労働時間を管理し、秘密保持と競業避止義務を守り、「自己の計算と危険」のもと働くことになります。
 しかし、雑所得には、青色申告制度が適用されず、他の所得と損益通算も青色申告特別控除などの特典もありません。青色申告制度の趣旨は、自主的な納税申告のため、適正な帳簿の作成を勧奨するものです。
 副業を営む会社員は、適正な帳簿を作成することで管理意識が高まり、自律した仕事の仕方に転化していくことでしょう。経営者にとっても社員のスキルが高まり、社外から新たに優秀な人材を確保する機会になるのではないでしょうか。副業が普通に事業所得と同様に位置付けられることはないのか。さて税の対応は?

《コラム》JTBの減資-合法的租税回避

◆資本金1億円は中小企業扱いで税負担軽減
 新型コロナ感染の影響で、旅行業界・飲食業界を筆頭に、かつてないほど業績が悪化しています。こうした中で、財務基盤の健全化を図るとともに、税負担の軽減を受けるねらいもある「資本金を1億円以下にする減資」が増えています。JTBは23億4百万円から、スカイマークは90億円から、カッパ・クリエイトも98億円から、それぞれ1億円に減資しています。
 「中小企業扱い」による税負担軽減の狙いは、主に、(1)法人税の欠損金の繰越控除の活用、(2)地方税である法人事業税の外形標準課税の対象から外れること、などがあります。(1)は、大企業であれば黒字=所得と欠損金の相殺は所得の50%までに制限されていますが、中小企業は全額控除できます。(2)は、中小企業になることで、大企業であれば赤字でも課税される外形標準課税(事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額が算定される課税方式)が対象外となります。
(注)上記2つの規定は「資本金の額」が基準となります。一方、均等割(=前年の所得金額の多少にかかわらず、地方自治体の行政サービスを維持するために要する費用を広い範囲の人に負担してもらうための税)は、「資本金等の額=資本金+資本剰余金」が課税標準となるため、資本金を資本剰余金に振り替えて減資をする場合(=カッパ・クリエイトのケース)では、均等割は従前と変わりません。

◆租税回避ですが合法です
 租税回避は、税金を逃れるという悪いイメージがありますが、合法であれば何ら問題はありません。意図はどこにあれ、通常の手続で減資をして、「資本金1億円超」という課税要件の充足を避けることができています。

◆租税回避への対抗は税制改正だけ
 誰が見ても“最初から贈与税回避の意図がアリアリだろう”と思われた「武富士専務贈与税事件」は、最高裁で合法の判決となりました。結局、国は税制改正をし、こうした抜け道に蓋をすることで対処するしかできませんでした。
 従業員がグループ全体で2万7千人(JTB 2020年3月末)もいてどこが中小企業だという世論が大きくなると、税制改正で、こうした減資による減税にも蓋がされるかもしれません。

【時事解説】小規模事業者に期待される役割・機能 その2

では、小規模事業者においては期待される役割に対して具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。以下で、中小企業庁編『中小企業白書2020年版』の中で、特に小規模事業者においての役割が期待される「生活インフラ関連型」の事例として紹介された、吉野川タクシー有限会社(本社:徳島県徳島市)の取組みについてみていきましょう。

 同社の現社長は祖父が代表を務めていた同社を27歳のときに事業承継したことを契機に、地域の人々の移動を支えることを目的に新たなサービス開発やIT化に取組んでいます。
 同社では妊産婦が安心して病院に通えるよう、妊産婦専用のタクシーサービス「マタニティタクシー」を新たなサービスとして考案しました。同サービスは、安全性能の高い専用車両とヘルパーの資格を持つドライバーを特徴とし、登録制で24時間いつでも通常のタクシーと同じ料金で利用できます。また、複数の子供たちを相乗りさせて塾や習い事の送り迎えを行う「キッズタクシー」を考案しました。これらの妊産婦・子供向けのサービスをきっかけとして、同社のリピーターとなるケースもあり、通常のタクシー利用にもつながっています。

 現場のIT化については、タクシーの自動配車システムを開発しました。同システムの導入により、コールセンターが利用者から電話を受けると、最短距離にいるタクシーを自動で検出し、車内に搭載されたタブレット端末経由で通知することで、効率的・安定的な配車が可能となっています。
 このように人口減少・少子高齢化が深刻な地方において、地域住民のニーズに応えることで生き残りを図ることが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)