経産省、消費税の申告期限延長を要望

経済産業省と経団連は、企業が税務署に消費税を申告する期限を延長するよう財務省に求めることとしました。3月決算の場合、現在は5月末が期限ですが、法人税は6月末まで延長が認められることが少なくありません。期限をそろえることで企業が正確に申告しやすくなる効果を狙います。

 消費税の申告は事業年度が終わってから2カ月以内に設定されており、大企業を中心に「現場の実務が煩雑になり負担が大きい」と期限の延長を求める声が出ていました。3月決算の企業は、法人税の申告期限を6月末まで延長しても、消費税は5月末のままで1カ月早いことがほとんど。このため、消費税分の精査が終わっていなくてもとりあえず申告しておき、法人税を申告した際に金額を修正するケースが目立つといい、経団連幹部は「少しでも無駄な作業をしなくて済むような仕組みを整えてほしい」と訴えています。

 こうした要望をする背景には、企業が税務署から税務調査の通知を受けた後に申告額を増額して修正すると加算税が課されることになった2017年の制度改正があります。今年10月には消費税率が10%に引き上げられ、加算税の負担がさらに増えることが確実なため、経済界は対応を急いでいます。

 経産省と経団連は、すでに財務省側と非公式の調整に入っています。今のところ財務省は導入に前向きですが「どの企業にも申告期限の延長を認めるわけにはいかず、何らかの条件を設けてクリアしてもらう必要がある」と指摘しているそうです。詳細を詰める作業は年末まで続く見通し。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)地方税共通納税システムが、10月1日より稼働へ!

(前編からのつづき)

 稼働当初は、電子申告データと連動し納付する税目として、法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税、事業所税、個人住民税(退職所得に係る納入申告)があり、本税以外の延滞金、各種加算金、督促手数料の支払もできます。
 また、納税者が納付金額を直接入力し納付する税目として、個人住民税(特別徴収分、延滞金等含む)、法人都道府県民税の見込納付及びみなし納付、法人事業税の見込納付及びみなし納付、地方法人特別税の見込納付及びみなし納付、法人市町村民税の見込納付及びみなし納付が取り扱われます。
 個人住民税は、企業が複数の地方公共団体に毎月納付する必要があるため、同システムによる納付事務の効率化が期待できます。

 将来的には、クレジット収納やコンビニ納付などの収納チャネルの追加も検討され、納税者の利便性向上が期待されるダイレクト方式を利用により、国税(e-Tax)では導入済みである、税理士が代理申告の手続きの中での納付手続きも可能になります。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年8月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

【時事解説】損益計算書の下からの賃上げ その2

また、法人税率を引き下げた、あるいはこれから引き下げるから、賃上げできるだろうという理論は、賃金(給与)も法人税も損益計算書項目ですから、内部留保理論に比べれば、まだ合理的だと言えますが、損益計算書を利益から作ろうとしている点に違和感を覚えます。損益計算書は下(利益)からではなく、上(売上)から作るものです。売上が増えるから、賃金を増やし、その結果利益が増加し、税金を払い、その後の利益の中から株主分配を行い、さらに残った利益が社内留保として蓄積される、というのが自然な流れです。税率を下げたことにより増加した利益は、損益計算書を下に流れ、株主分配と社内留保を増やすことは無理なくできます。しかし、この利益で賃金を増やすためには、損益計算書を逆流しなければならず、不可能ではありませんが、相当な力が必要になります。

 では、賃上げすれば労働者の所得が増大して、消費が活性化し、それにより売上が増大するという考え方に妥当性があるでしょうか。
 消費不振の原因には大きく二つが考えられます。一つは言うまでもなく所得の不十分さであり、もう一つは年金や医療等の将来不安のために現在の消費を抑制するというものがあります。消費不振の主因が所得不足にあるなら、賃上げは消費を喚起するでしょうが、将来不安が主な要因だとすれば、たった数%の賃金増加が消費を刺激するとは思えません。

 賃金が先か消費が先かという議論は、鶏と卵の議論のようなところがあり、様々な論争がありますが、やってみなければ分からないというのが正直なところだと思います。経営者とすればそんな不確定な見込みに基づいて容易に賃上げすることには踏み切れないでしょう。

 政府には是非、損益計算書の下からではなく、上から賃上げできる環境を整えてほしいものだと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》社団法人って何?

◆社団法人とは
 社団法人と言うと、○○協会とか、○○協議会等公益性の強いイメージがありますが、それはかつて社団法人は、民法34条や特別法に基づき設立される公益目的の団体の名称だったからです。
 しかし2006年の公益法人制度改革により、一般社団法人と公益社団法人と2つになり、公益社団法人は、許認可制で今まで通り公益性が必要ですが、一般社団法人は誰でも簡単に設立できるようになりました。

◆一般社団法人とは
 人が集まった団体と言った程度の意味です。人が集まって団体を設立することは、全く自由です。しかしその団体が団体として活動したり資産(土地や建物)を所有するためには、一個の団体として法律的な認知をしてもらう必要から、法人格を付与されたものが一般社団法人です。

◆普通一般社団法人と非営利型一般社団法人
 税務上、一般社団法人は株式会社等と同様利益に対して通常の法人税が課せられます。しかし元来社団法人は営利を目的としてもしなくてもよい団体ですから、一般社団法人で営利を目的としていないことが明確(非営利型一般社団法人)であれば、税務上の優遇措置を受けられます。その要件は概ね以下です。
(1)解散したときは、残余財産を国や一定の公益的な団体に寄贈すること
(2)特定の個人又は団体に特別の利益を与えていないこと
(3)各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること

◆優遇措置
 非営利事業に対しては課税されません。社団法人設立にあたって出資した資金や、その後社団法人に寄付した基金は相続財産から除かれます。これを利用した相続対策が多発したため「贈与した者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合には、受け取った側の一般社団法人を個人とみなして贈与税又は相続税を課税する」となっておりますのでご留意ください。

 

(後編)国税庁:2017事務年度の無申告法人調査を公表!

(前編からのつづき)

 A社は、競売物件や立退き交渉が必要な不動産の売買を行う法人ですが、取引先である法人Bに対する調査にて、A社に対する支払いを把握したため、実態を確認したところ、無申告でした。

 A社は、土地の売買により多額の利益が生じており申告が必要なことを十分に認識しながら、作成していた売上に係る書類を破棄し、申告せずにその取引によって得た利益を関連法人の運転資金として流用していました。
 A社に対しては、法人税1年分の申告漏れ所得金額2億7,100万円について追徴税額9,600万円(加算税込み、重加算税あり)及び消費税1年分について追徴税額800万円(同)がそれぞれ課税されました。

 また、申告はしているものの赤字としていた無所得申告法人3万1千件を実地調査した結果、2万2千件から2,458億円の申告漏れ所得金額を把握し、272億円を追徴課税しました。
 さらに調査した26.6%にあたる8千件が不正を働いており、その不正所得金額は1,229億円で、追徴税額57億円となるとともに、実地調査件数全体の13.8%(有所得転換割合)は黒字法人となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(後編)株式の取得費がわからない場合は?

(前編からのつづき)

 例えば、ある銘柄の株式等を500万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5%相当額である25万円を取得費とすることができます。
 これは、実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合にも、同様に認められます。

 また、国税当局が認めた実際の取得費を確認する下記の合理的な方法もあります。
①証券会社などの金融商品取引業者等から送られてくる取引報告書等
②取引した金融商品取引業者等の顧客勘定元帳(10年間保存義務あり)
③記帳や預金通帳などでの本人の手控え
④上記がなければ、名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定するなどがあります。
 なお、相続(限定承認に係るものを除く)、遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)又は贈与により取得した場合は、被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぎます。

 さらに、相続で取得した上場株式を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算することができる「取得費加算の特例」がありますので、該当されます方は、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:2017事務年度の法人税等の申告事績を公表!

(前編からのつづき)

 なお、2018年6月末現在の連結法人数は、親法人が1,821法人(前年対比2.6%増)、子法人が1万3,442法人(同6.0%増)の計1万5,263法人(同5.6%増)となりました。
 このうち、2018年7月末までに申告した親法人は1,760件(同4.7%増)となり、その黒字申告割合は前年度に比べて3.1ポイント上昇の66.3%。申告所得金額は同29.4%増の14兆1,789億円と大幅に増加し、申告欠損金額は同31.5%減の9,064億円となりました。

 また、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみてみますと、届出件数1万4,590件(前年対比5.4%増)のうち、黒字分は67.8%にあたる9,899件(同7.1%増)となり、赤字分は4691件となりました。
 これによりますと、もし連結納税でなければ、黒字申告割合は7割近くに達し、総個別所得金額も17兆61億円(同29.8%増)にのぼり、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいものと思われます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2017事務年度の法人税等の申告事績を公表!

 国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の法人税等の申告事績を公表しました。
 それによりますと、2018年6月末現在の法人数は、前年度から0.9%増の310万6千法人となり、そのうち2017年度内に決算期を迎えて、2018年7月末までに申告した法人は、同1.2%増の289万6千法人となりました。

 その申告所得金額は同11.5%増の70兆7,677億円となり、申告税額の総額も同11.0%増の12兆4,730億円となりました。
 また、法人の黒字申告件数は、99万件(前年対比4.1%増)で、黒字申告割合は前年度を1.0ポイント上回る34.2%となりました。
 黒字申告割合は、2014年度以降、4年連続で30%台となり、黒字法人の申告1件あたりでは、前年度と比べて7.1%増の7,150万円となりました。
 一方、申告欠損金額は、同15.1%増の13兆7,101億円となり、赤字申告1件あたりの欠損金額も同15.3%増の719万円となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

消費税還付や海外取引に国税ギラリ

消費税調査や海外取引法人への法人税調査で発覚する申告漏れ所得と追徴税額が、ここ数年で急速に増えています。国税庁によると、平成29年度の消費税調査による追徴税額の総額は748億円で、5年前の474億円と比べて57.8%増にもなりました。また、29年度の法人税調査で把握された申告漏れ所得は9996億円で5年前から4億円の微増でしたが、海外取引にかかる申告漏れ所得に限れば5年前の2452億円から3670億円へと49.7%増でした。

 消費税や海外取引にからむ不正としては、インターネットで海外旅行客向けのツアーを販売するA社が、ソフトウェア取得の対価を消費税の課税仕入れとして多額の還付申告をしたケースがあります。実際には取得の事実はなく、無申告法人に虚偽の契約書を作成させ、申告の際の添付資料にしていました。

 また、自動車部品の卸売業を営むB社は租税回避地に100%子会社を設立。子会社は決算書で、グループ会社への売上割合が本来は55%であるにもかかわらず、45%として申告していました。この虚偽申告は、「外国子会社合算税制」の適用を免れるためのものです。外国子会社の売上の過半がグループ会社以外の第三者取引によるものでなければ外国子会社合算税制の対象となりますが、B社の子会社の第三者取引割合は45%(100%グループ会社への売上55%)であるため、B社は子会社の売上も合算して法人税を納めなければなりませんでした。

 広告代理店業を営むE社は、自社所有の社員専用宿舎の空き部屋を民泊として観光客などに貸し出し、代表者が個人名義で代金を受け取っていましたが、申告除外していました。税務署は代表者が使用するパソコン内の民泊仲介サイトのアカウント情報から取引履歴を確認。税務申告の際に民泊収入を含めず、消費税額を圧縮していた事実を把握しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

《コラム》法人が受け取る生命保険金

契約者を法人、被保険者を経営者とする法人契約の生命保険は、退職金等の準備や経営者の万が一に備えるといった保障目的からの加入が考えられますが、支払った保険料の一部もしくは全部を経費として損金計上できることから節税目的で加入される法人も多いと思います。
 支払った保険料の分だけ利益が圧縮され法人税を抑えることができますが、一方で生命保険金を受け取った際に生じる課税関係についても把握しておく必要があります。

◆保険金受取の会計処理
 法人が受け取る生命保険金は、所得の計算上全額益金に計上します。このとき、当該保険に係る支払保険料のうち資産計上している金額があれば損金に振り替えます。
 法人が経営者の遺族へ退職金を支払う場合、適正額と認められる部分は損金に計上することができます。また、弔慰金についても一定の金額までは、損金に算入することができます。
 したがって、計算上では受取保険金の額から退職金及び弔慰金の額を控除した残額に対し法人税がかかると考えることができます。

◆遺族が死亡退職金を受け取った場合
 経営者の死亡によって遺族が死亡退職金を受け取る場合、死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。ただし、死亡退職金等については相続税法上、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)が設けられているため、実際には死亡退職金等の額から非課税限度額を控除した残額に相続税が課税されることとなります。
 また、経営者の死亡後3年を超えて支給が確定した退職金を遺族が受け取った場合には、一時所得として所得税の課税対象となります。
 
 一般には節税商品と認識されている法人契約の生命保険ですが、後々の課税関係を理解した上で、万が一の時の保障のため、確実な資産運用のためなど目的を明確にして商品選びをすることが重要であるといえます。