【時事解説】米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その2

米国は宇宙空間での軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。宇宙空間の安全保障をめぐり、中国やロシアが優位に立とうとしており、こうした中ロの脅威に対抗するのが狙いです。

 米国以外では、ヨーロッパが宇宙空間の安全保障を課題と設定しています。フランスでは、マクロン大統領が2019年に考えをまとめる予定でいます。日本は全く関係ないかというと、そうでもありません。

 2018年末、防衛政策の指針となる「防衛計画の大綱」を5年ぶりに見直す予定でいます。その時に、中期防衛力整備計画を策定します。今回のキーワードは、「クロス・ドメイン(領域)」です。今までの陸・海・空のほか、新たなドメインにおける脅威に対応できる防衛体制づくりに取り組むことが掲げられます。そして、ドメインの一つが宇宙であり、宇宙空間での安全保障に取り組む姿勢が明らかになります。

 具体的な取り組みのひとつを挙げると、大気圏外から宇宙空間を監視する人工衛星の打ち上げがあります。これまで防衛省は衛星を自衛隊内の部隊間での遠距離通信や地上の警戒監視などに利用していました。大気圏外の監視は行っておらず、米国の情報に頼っていました。が、新たな衛星の打ち上げにより自国で行えるようになります。加え、従来のような、地上からの監視は天候不順の場合、能力が低下するという弱点がありましたが、衛星の打ち上げで解決に向かいます。大気圏外の人口衛星はまだ検討段階ですが、実現すれば、地上と大気圏外の双方から監視できるようになり、宇宙空間の安全保障に繋がります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その1

先日、米国は宇宙空間において軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。すでに、宇宙空間は新たな戦場になりつつあります。

 現在、米国では陸軍、空軍、海軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つの軍があります。宇宙軍ができればこれらに次ぐ、6つ目の軍が誕生することになります。

 宇宙軍というと、SF映画の世界では、地球外生命体の侵略に対して、人類が戦うというストーリーが一般的です。が、米国が脅威としている相手は中国とロシアで、両国を宇宙における戦略的な競争相手と位置付けています。

 なぜ宇宙軍が必要なのでしょうか。そんなに、中ロの脅威は大きなものなのでしょうか。一般的に、宇宙開発は気象衛星などの平和利用が主です。が、技術を転用することで、偵察衛星など、軍事利用ができます。

 中でも、米国が恐れるのは、中国やロシアが人工衛星を破壊する兵器の開発を進めている点にあります。ミサイルの開発が成功すれば、偵察衛星など、敵国の軍事衛星を破壊するといったことも可能になります。また、ロシアの人工衛星が不審な動きをするという警戒もあります。具体的には、フランスとイタリアが共同運用する軍事衛星に異常に近づき、通信を傍受しようとしたことがあります。

 ただ、宇宙軍の実現には、議会が法案を成立させる必要があります。そして、新たな組織を設立するには多額の費用が必要になり、予算の肥大化になります。こうした現状に対して、議会には反対意見が多いのも事実です。宇宙空間の安全保障をめぐり、各国が優位に立とうとしていますが、この先、どこの国が覇権を握るか目が離せない状態にあります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業におけるインバウンド需要の取り込み その2

では、インバウンド需要の取り込みに成功している中小企業にはどのような特徴がみられるのでしょうか。そこで日本政策金融公庫総合研究所が同公庫の融資先の中小企業を対象に2017年8月に実施(公表は2018年1月)した「インバウンドの受け入れに関するアンケート」に基づき、それらの企業の特徴についてみていきましょう。

 まず、顧客のなかに外国人観光客がいる企業の割合は、回答企業全体の47.0%を占めています。1カ月当たりの外国人観光客数をみると「19人以下」の企業が68.0%を占める一方で、「50~99人」が7.4%、「100人以上」が10.3%あることが示されています。

 このアンケート調査では1か月あたりの外国人観光客数が「50人以上」の企業の特徴を、「1~49人」や「0人」の企業と比較して考察しています。

 まず「50人以上」の企業では、最近3年間の売上高と採算状況がそれぞれ増加傾向、黒字とする企業が半数を占めており、外国人観光客を多く受け入れることで業績を伸ばしている企業が少なくないことがわかります。

 また、「50人以上」の企業は、独自にウェブサイトを運営したり外部のサイトを利用したりして情報発信を行ったりするなど、インターネットの活用に積極的な傾向がみられます。

 さらに「50人以上」の企業は、クレジットカードやICカード、スマートフォン・携帯電話を使った決済に対応している企業が多く、インバウンドを多く受け入れるにはキャッシュレス決済に対応することが望ましいことが指摘されています。

 このようにインバウンド需要の取り込みに成功している中小企業では、情報発信面や決済面で情報通信技術(ICT)を積極的に活用し、受入環境の整備を進めているという特徴がみられるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業におけるインバウンド需要の取り込み その1

近年、訪日外国人旅行者数は、急速な拡大を遂げています。インバウンド市場は人口が減少している日本では数少ない成長市場であり、中小企業にとってもビジネスチャンスとなります。

 「平成30年版情報通信白書」によると、 訪日外国人旅行者の増加に伴い旅行者の国内における受入環境の整備が急務となっていることが指摘されています。

 観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、訪日外国人旅行者が旅行中に困ったこととしては「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が最も割合が高く、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」、「無料公衆無線LAN環境」の順となっています。

 こうした中、総務省では観光庁と連携し、地方自治体、民間事業者で構成する「無料公衆無線LAN整備促進協議会」を2014年に立ち上げ、無料Wi-Fi整備の促進、周知・広報等に取り組んでいます。その一方で訪日外国人による日本滞在中のコミュニケーションやそのための多言語対応が引き続き課題となっています。

 また、支払等の決済面での受入環境の整備も重要です。例えば、訪日外国人旅行者の多くを占める中国人観光客は、支払い手段としてスマホでの決済を利用する傾向が強くなっています。このような背景から、2016年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、主要な商業施設や宿泊施設、観光スポットにおける「100%のクレジットカード決済対応」及び「100%の決済端末のIC対応」などを目標として掲げています。

 このように、中小企業においても外国人旅行者の受入体制を整備することで継続的なインバウンド需要を取り込むことがカギとなるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)法定調書の光ディスク等による提出義務基準を引下げ!

(前編からのつづき)

 前々年が基準日となりますので、2019年における法定調書の種類ごとの提出枚数が100枚以上であれば、2021年は光ディスク等で提出する必要があります。
 しかし、提出すべき給与所得の源泉徴収票が90枚の場合でも、光ディスク等による提出義務はありませんが、あえて光ディスク等による法定調書等の提出をすることで、大量の調書を1枚の光ディスク等で提出することができ、事務の省略化につながるほか、支店や工場等の提出分も含め、本店等の所轄税務署長に一括提出できるなどのメリットがあります。

 なお、光ディスク等により提出する場合には、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を、法定調書を提出しようとする日の2ヵ月前までに提出義務者の所轄の税務署へ提出する必要があります。
 提出された申請書については、その申請書の提出の日から2ヵ月を経過しても承認又は承認しない旨の通知がない場合、その経過する日においてその申請は承認されたものとみなされますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年12月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)法定調書の光ディスク等による提出義務基準を引下げ!

2018年度税制改正において、法定調書の光ディスク等による提出義務基準の引下げが盛り込まれております。

 2011年度税制改正により、上記の提出義務が導入され、法定調書の種類別に、前々年に提出すべきだった法定調書の枚数が1,000枚以上であるものについては、2014年1月1日以降からは書面ではなく、光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務化されましたが、2021年1月1日以降からは、この提出義務基準が100枚以上に引き下げられますので、該当されます方はご注意ください。

 給与所得の源泉徴収票など法定調書のうち57種類は、あらかじめ税務署長に申請して承認を受けている場合には、書面による提出に代えて、インターネットを利用したe-Taxやパソコン等で作成した法定調書を記録した光ディスク等(コンパクトディスク(CD)・デジタルバーサタイルディスク(DVD)・フロッピーディスク(FD)・光磁気ディスク(MO))により提出することができます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年12月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

《コラム》コンビニ決済可能なQRコード納付手続き

◆税のコンビニ決済は前からあった
 平成20年にバーコード付納付書が登場しました。このバーコード付納付書は、1枚につき30万円以下の納税額であれば、コンビニで支払いができるものです。
 ただし、確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)や、督促・催告を行う場合等の、特殊条件以外の納付の場合は「確定した税額について、納税者から納付書の発行依頼があった場合」とされており、税務署等で申告書を提出する際にその旨を伝えると発行してくれるものでした。また国税庁のWebサイトには「混雑状況等により、発行までに相当のお時間がかかる場合があります」という前置きがしてあり、「即時発行では無い」と言いたいようです。

◆平成31年1月4日からQRコードに!
 来年年始から、確定申告書作成コーナー及び国税庁ホームページに、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が作成できるコーナーが新たに追加されます。このQRコードをコンビニのキオスク端末(LoppiやFamiポート)で読み取らせる事によって、バーコード(納付書)が発行され、税の納付ができる仕組みです。
 QRコードさえ読み込ませればよいので、スマートフォンやタブレット端末にファイルを保存して、端末画面に表示する事によってキオスク端末に読み取らせる事も可能です。

◆あれ? セブン-イレブンは?
 現状利用可能なコンビニとして名前が挙がっているのは「ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマート」のみです。全国に2万店舗ほどある、セブン-イレブンの文字はありません。対応しないのでしょうか?
 また、従来のバーコード付納付書同様に、1枚あたりの納付金額は30万円以下でなければならないようです。
 ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、振替納税、そしてコンビニ納付と昨今では納付方法も多彩に選べます。ご自身の生活に合った納付方法を選択してみてはいかがでしょうか。
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

《コラム》サモンズという制度

◆サモンズ(summons)
 日本と異なり、アメリカには、裁判所の召喚状に基づいて行う税務調査(summons サモンズ)があります。サモンズの対象者は、決められた日時と場所へ要求された帳簿または記録を持って出頭し、宣誓のもとに証言することが要求されます。聴聞官は、質疑応答形式で聴聞を行います。
 出頭者には、日当及び旅費及び提出資料のコピー代が支給され、助言者又は代理人を随伴する権利があり、録音機等の携帯も許されます。

◆サモンズの威嚇力の強大さ
 裁判所の召喚命令に従わない場合、アメリカ内国歳入庁の申立てにより、裁判所は、身柄拘束令状を発して名宛人を引致して、サモンズに従うように強制する命令を下し、その命令が履行されないときは、裁判所侮辱罪の範囲内で、その名宛人を処罰することになり、さらに、これとは別に、「1,000 ドル以下の罰金又は1年以下の懲役に処し、又は併科する。」という行政刑罰も設けられています。

◆サモンズは非効率として忌避されている
 サモンズの税務調査の手段としての有効性は認められているものの、サモンズを発出した場合は、常に、訴訟に備えての税務調査体制を採らざるを得ず、訴訟に至らないことが多かったとしても、調査における税務職員の訴訟に向けた資料蓄積と注意力を集中させた労働とが課せられることになり、非効率行政となる結果をもたらしているので、実際は、極力サモンズを使わずに、サモンズを臭わせるプレサモンズ・レター止まりにしているようです。

◆日本の税務調査
 国税庁の直近の発表での税務調査の件数は、法人税調査97千件(法人税申告総件数2861千件)、所得税調査34,846件(申告人数2,198万人)、相続税調査12,116件(申告件数136,891件)となっており、調査件数の割合を増やすのは大変なことだと推測されます。
 その中で、マル査の年間着手件数は174 件で、告発率は69.3%です。
 日本にもサモンズの導入ができないか、との検討は以前からなされていますが、裁判所の協力が前提の制度は、ほとんど不可能との見方がされており、税の執行面でも、さらに手を煩わす制度はアメリカ以上に忌避されることになりそうです。

 

ゴーン容疑者逮捕に日本版司法取引

 日産自動車のカルロス・ゴーン元前長が自身の報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されましたが、これには国内で2例目となる司法取引制度が適用されました。

 司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度です。アメリカ映画でなじみのある人も多いでしょう。日本では今年6月に施行されたばかりの新しい制度です。

 対象となる犯罪の範囲は、贈収賄や詐欺、覚せい剤取締法、組織犯罪処罰法など刑事訴訟法に明記されたもののほか、政令で規定した経済犯罪として、独禁法や特許法、会社法の違反、脱税、そして今回ゴーン容疑者の逮捕理由となった金商法の違反などが対象です。

 アメリカで多く適用されている司法取引ですが、その内容は日本とは異なります。アメリカ型は自分の犯罪を認めることで罪の軽減を図るものですが、日本型は他人や共犯者の犯罪が対象になっています。そのため日本型では、自身の立場を有利にするために「仲間」を陥れるような虚偽の供述を行い、えん罪を生む危険性も指摘されています。

 また、司法取引が有効に活用されていくことは、組織の内部の膿を出すためには期待されるものの、組織のなかで「誰か」が人身御供となってしまうことで、本質が糺されないようでは本末転倒です。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》大改革の成功要因

企業が創立周年の記念すべき時期や経営危機に陥った時などに、長年の懸案となってきた大きな課題を一気に解決しようと「大改革」に取り組むことがあります。
 このような「大改革」に挑戦しようとしている企業に役立つ「成功要因」について解説します。

◆「大改革の成功要因」とは
 改革を成功させるには、次の4つの成功要因を確保することが不可欠です。
①改革の志を持った「The Man(その人)」の存在
 「The Man」とは、常々経営上の問題意識を持ち、時期が来れば、先頭に立って改革を導こうとする志と能力・ポジションパワーを持つ人物のことで、トップその人であることが最も望ましく、次にトップの信を得た管理者が適切です。
②改革基本構想の確立
 改革が成功したときの「ありありとしたイメージ」と「推進プロセスを貫く活動方針(チームワーク・三現主義・PDCAなど)」を練り抜いて各層で共有します。これは、改革推進の力となると同時に改革反対勢力を抑止する効果があります。
③推進組織の確立
 「The Man(その人)」をリーダーとし、チームメンバー・事務局による改革推進プロジェクトチーム、およびその上位に位置し、大局的に改革を導く、トップ層・上級管理者からなる改革推進委員会を設置。改革プログラムを立案、各部署の改革を支援する。
④巧みな推進マネジメント
 推進プロジェクトチームのリーダーが、チームメンバーの主体的、挑戦的な活躍を引き出し、ラインの改革について成功要因の獲得・障害排除等支援する。
 その状況報告を受けて、推進委員会が適切な改革推進のナビゲーションを行う。それらの巧みさが鍵となります。

◆経営者・管理者の留意点
 大改革であればあるほど、反対勢力の出現は避けられません。
 「The Man」の存在、改革基本構想の確立と共有、推進組織の確立、巧みな推進マネジメントは、重要な改革成功要因になるとともに、反対勢力をコントロールし、改革推進力に変える力となるよう組み立てなければなりません。時には反対勢力をあえて推進組織に取り込むのも一法です。