《コラム》未来投資会議の初会合

◆未来投資会議の開催
 政府は10月に第四次産業革命や雇用、地方の3つのテーマで構成される「未来投資会議」を開催しました。それによるとAI(人工知能)やロボット、ビッグデータといった第四次産業革命がもたらす労働生産性の向上と社会保障改革で、現在65歳までと義務付けられている継続雇用年齢を65歳以上に伸ばす等、意欲ある高齢者に働く場を準備し、病気の予防・健康維持への取り組みを検討するとしています。

◆検討の柱は
①SDGs 
 「持続可能な開発目標」に向けた第四次産業革命。AIやIoT、センサー、ロボット、ビッグデータといった技術革新は私達の生活や経済社会を画期的に変えようとしています。技術革新を現場に積極的に取り入れ労働生産性の向上を図り、国民1人1人の生活を目に見える形で豊かにするとしています。
②全世代型社会保障への改革
 生涯現役社会の実現に向けて意欲ある高齢者に働く場を準備し、併せて新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大、労働移動の円滑化といった雇用の改革について検討を開始します。人生100年時代をさらに進化させ、平均寿命と健康寿命との差を限りなく縮める事を目指すとしています。
③地方施策の強化
 地方経済は急速に進む人口減少を背景に需要減少や技術革新の停滞等経済社会構造の変化に直面しています。地域にとって不可欠な基盤的サービスの確保が困難になりつつある中で地方基盤企業の統合や強化、各地方の中枢中核都市の機能強化、一極集中是正等の検討、農林水産業や観光産業の成長を図るとしています。
④社会保障改革
 企業の継続雇用年齢を65歳よりも引き上げる検討をします。個人の実情に応じた多様な就業機会の提供、併せて新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大、労働移動の円滑化といった雇用制度改革を検討します。現行の高齢者雇用安定法ではすべての希望者を65歳まで雇用する事が企業に義務付けられていますが、この法律の改正がおこなわれると定年は65歳という事になるかもしれません。

【時事解説】シェアリングサービスでもベースは信頼感 その2

振り返ると、所有物の貸し借りは、昔は普通でした。脱穀機などの生産機械の貸し借りや、コメや醤油などの日用品を融通するということは、一昔前の農村では一般的な光景でした。しかし、豊かになるにつれ排他的なモノの所有が広がり、共同体的貸し借りは衰退し、所有と利用が一致するような経済に移行していきました。その貸し借りがネットの普及とともに洗練された形で復活してきたように思います。

 カネが介在してビジネスとして成立しているという点は違いますが、そうした以前の隣組のような村落共同体の生活と現在の最先端のシェアリングサービスは多数の人がモノを有効活用するという点で似通っています。ただ、決定的な相違点もあります。それは自分のモノを利用する他人をよく知っているかどうかです。

 隣組の住人は全ての人間が顔見知りで、性格もよく分かっています。だから、モノの貸し借りを安心してできます。しかし、ネット利用の貸し借りビジネスを利用する人はまったくの赤の他人で、場合によっては生活習慣の異なる海外の人の場合もあります。タクシーやホテルなどの専門業者なら、まったく知らない人が利用するのは当然のことで、それを前提に施設を作り、料金も定めています。しかし、シェアリングサービスは個人の所有物をよく素性の知らない人に貸すのですから、不安になるのは当然です。その不安をどのようにやわらげるかが、このビジネスの一つの課題になります。人間の感情や性癖などの評価はコンピュータの苦手分野だと思っていたのですが、最近のAI(人工知能)の急速な発展を見ると、そうしたことも克服できるのかもしれません。

 技術が発達し、どのような新しいビジネスが誕生しても、ビジネスの基礎には信頼がなければならないということは、いつの世でも変わらない真理です。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】シェアリングサービスでもベースは信頼感 その1

近年、Uber、AirBnBなどの一般人のすき間を活用するビジネスが注目を集めています。Uberは一口に言えば、タクシーのネット配車ですが、普通のタクシーに加え、一般人が自家用車を空き時間に利用できるようにしているところが特徴です。AirBnBは、ホテルや旅館ではない一般の住宅を宿泊施設として利用するものです。こうした個人の所有物を共有するビジネスをシェアリングサービスと呼びます。日本ではまだまだ規制や法制度の問題があり、それほどでもありませんが、欧米などではかなり普及してきています。

 シェアリングサービスはネットがなければ成り立たないビジネスであり、現代を象徴する最先端の業界といえますが、こうした業界でもビジネスのベースには昔ながらの信頼感が必要なところが面白いところです。

 考えてみれば、発想はとても合理的です。商売をしていない一般人は車も自宅も1日中フルに私用で使っているわけではなく、空いている時があります。所有者は固定資産を遊ばせておくのは無駄ですから、空いている時間帯を使って、少しでもおカネを稼げればという欲望を持っています。一方、専業のタクシーやホテルを使わずとも、少しでも安上がりに移動したい、泊まりたいという人間にとっては、多少サービスが落ちても、一般人の車や自宅が利用できるならそれでいいと考えています。両者のニーズをうまく組み合わせることができれば、ビジネスとして成り立つはずです。

 従来、こうしたサービスがなかったのは、自分の車や自宅を提供して稼ぎたいと思っている人や、安上がりに移動したい、泊まりたいと思っている人は、どちらも薄く広く存在しているために、両者を結び付ける手段がなかったからです。ネットの普及で、広範囲に需要と供給のニーズを結び付けることができるようになったというわけです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

金密輸が過去最悪を更新

今年6月末までの1年間に、日本に金を密輸しようとして全国の税関に摘発され、罰金や刑事告発といった処分を受けた件数が720件(前年度比約1.5倍)、脱税額が約15億円(同約1.7倍)で、いずれも過去最悪を記録したことが財務省の発表で明らかになりました。
 金密輸の摘発は平成26年の消費税率引き上げを境に急増。25年度は8件でしたが、増税後の26年度に177件、27年度に294件、28年度に467件と急激な右肩上がりとなっています。

 29年度の720件は4年前の90倍という異常な伸び率になっています。脱税額でみても3100万円から15億円にまで増えました。処分したもののうち、約96%(691件)が航空機旅客による密輸となっています。その隠匿手口は、これまで多く見られたサポーターを使って体に巻きつける手口などのほか、特殊な形態に加工して下着に隠匿したり、モバイルバッテリー内に隠匿して密輸しようとしたりするなど、巧妙な隠匿手口が新たに見つかっています。

 密輸元は韓国、中国、台湾の順に摘発件数が多く、この上位3カ国・地域で全体の9割を占めました。
 金は世界共通の価格で売買されていますが、日本での売買には消費税がかかるため、例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れます。そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けています。しかし入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜くビジネスが横行しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁が海外口座55万件の情報入手

 国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。

 「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。

 地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。

 現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

 
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国税庁が海外口座55万件の情報入手

国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。

 「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。

 地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。

 現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》老後の生活費の目安

◆老後のお金と平均余命
 日本人の平均寿命は2017年では男性が81.09歳、女性が87.26歳で女性は世界2位、男性は世界3位です。
 老後に必要なお金を平均余命で考えますと60歳時点の平均余命は男性23.72年、女性は28.97年となっていて、定年後の期間の長さの想定が必要になります。
 老後の生活費は総務省の家計調査で高齢夫婦の無職世帯では月約23.5万円かかります。例えば60歳の夫と2歳年下の妻の例をみると夫が83歳で亡くなる23年間で約6,500万円、妻が残されて約7割の生活費で88歳までとして7年間は約1,382万円、両方合わせると約7,900万円程度です。
 上記のように平均寿命までずいぶんとかかると感じますが、人生100年時代となればもっと必要になるでしょう。またこの生活費でレジャーや旅行などを楽しみたい場合、月額34.8万円は必要とされています。

◆公的年金で賄う分は
 年金の受給額は夫が会社員、妻が専業主婦という今までの厚生労働省のモデル世帯では夫婦で月約22万円です。
 夫の年金受給は昭和36年4月2日以降生まれの方は全額65歳からですが、それ以前に生まれた方は特別支給の老齢厚生年金が生年月日により支給されます。65歳から年金支給される夫が平均寿命で亡くなり妻が夫の年金の4分の3の遺族年金を受けた時、夫婦の年金総額は約6,000万円です。別に医療費や介護費用、リフォーム等予備費も必要ですがここでは計算に入れません。

◆不足分はどうする?
 以上を差し引きすると2,000万円程度は足りない事になります。預金、退職金、再雇用等で収入を得たりするのが一般的です。
 老後の心配事でよく挙げられるのがお金、健康、生きがいの3つです。定年前の方にとってお金が最大の関心事です。昔より長生きできる時代となって必要額も増えています。支出は住宅ローンの繰り上げ返済、生命保険の見直し、現役時代から支出を減らし貯蓄に回す、その習慣づけが身につけば定年後の支出も抑えられるでしょう。この先の収入の柱は年金であっても、定年後の雇用継続をするか転職しないと60歳時点では年金は出ません。可能なら働いておいて健保や厚生年金に加入すれば年金額が増え健保の給付も受けられます。

 

《コラム》公的年金制度 今後の動向

◆高齢者人口増加と社会保障費の増大
 総務省によると65歳を超える高齢者の人口は3,557万人(2018年9月時点)。前年から44万人増加しています。総人口に占める高齢者の割合は28.1%で70歳以上が占める割合は初めて2割を突破しました。高齢者人口は2000年の2,204万人から18年間で6割も増加しています。それに伴い社会保障費が増大し18年度は約32兆円、国家予算の3割に当たります。今後も少子高齢化は進みます。今までのように「多くの現役世代が高齢者の保障を支える」賦課方式は継続が難しくなるので見直しをする事になるでしょう。

◆受給開始年齢は引き上げか
 1942年に現在の公的年金制度の基礎となる労働者年金保険法ができた時は受給開始年齢は55歳でした。何度かの制度見直しで86年に国民年金、厚生年金ともに65歳支給開始となりました。しかしそれから30年たち現在では65歳になっても再雇用等で現役を続ける人が増えています。今年の4月には総務省の財政制度審議会で受給開始年齢の68歳への引き上げが提言されています。自民党の総裁選挙討論会では安倍総理が「現在60歳から70歳の間で任意に変動させられる年金の受給開始年齢を70歳以降まで広げる仕組みについて「3年で導入したい」と述べたそうです。生産年齢人口減少を補うにも高齢者に継続就業してもらいたいという事でしょう。

◆高額所得高齢者に負担の波が来ている
 受給開始年齢の引き上げはすべての高齢者に影響がありますが、特に高額所得高齢者を狙い改定されるケースが目立ちます。8月にも高額療養費の上限引き上げ、介護保険料の自己負担額の引き上げ、年金以外の収入が1,000万円を超える人について公的年金控除の控除額が縮小される見通しもあります。また、給与所得控除が最低220万円認められていましたが195万円に縮小され、適用できる基礎控除も新たに所得制限ができました。
 また、在職老齢年金制度は廃止の方向で検討され、年金がカットされる事がなくなるかもしれません。カットされないのはいいのですが、支給開始が遅くなるならあまり変わりないかなとも思えます。今後の行方が気になるところです。

【時事解説】自動車の未来を変えるMaaSとは? その2

車の価値が「所有」から「利用」に変化しつつあります。それに伴い、新たな市場としてMaaSが誕生。さらにトヨタ自動車とソフトバンクグループが提携を発表し話題となりました。ほか、ベンチャー企業も続々とMaaSに参入しており、これら企業が提供する新サービスに注目が集まっています。

 現在の目玉は自動運転タクシーです。実用化すれば、スマホアプリの地図で、今、自分がいる位置をタップすれば、周辺を走るタクシーが迎えに来るようになります。これまで、タクシーがなかなかつかまらない、電話で呼んでも到着までに時間がかかるといった問題がありましたが、今後、解決が期待できます。加えて、自動運転タクシーはドライバーの人件費が不要なので、従来タクシーよりも料金が安くなることも期待できます。

 MaaSは個人向けサービスだけでなく、事業者向けのサービスも開発されつつあります。その一つが、移動型商業サービスです。自動運転車と飲食業や小売業などの他業態がコラボすることで、動くお店が実現します。これまで、消費者はお店に足を運び、飲食や買い物を楽しむのが常識でしたが、将来は、スマホで呼べば、お店が自宅前まで訪れてくれるようになります。

 近年、ネット通販が盛んになりましたが、依然、商品を買うならば手に取って選びたいというニーズは強くあります。小売業者にとって、MaaSはネット通販に流れた顧客を取り戻すよい機会になるかもしれません。これまで、人件費やサービスの利便性などの障壁があり、MaaSのようなサービスはなかなか実現しませんでした。が、近年の自動運転やスマホなどの技術が進歩したことにより、もはや夢物語ではなくなっています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】自動車の未来を変えるMaaSとは? その1

車といえば、多くの人が「買って、乗るもの」と認識しています。が、いま、この常識が変わろうとしています。車の価値が「所有」から「利用」に変化しつつあります。そのキーワードがMaaS(マース)です。MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービスの頭文字をとったもので、自動車などのモビリティー(移動手段)をサービスとして提供するビジネスをいいます。

 なぜ、いま、MaaSが注目されているのでしょうか。それは、MaaSは社会全体に大きな変化をもたらす可能性があるからです。すでに始まっているサービスには、カーシェアリングやライドシェアなどがあります。近い将来では、スマホの画面を数回タッチするだけで、車が玄関先に着き、目的地まで自動で運転してくれるといったことも可能になるといわれています。

 そして、さらにサービスが充実すれば、わざわざ自動車を買わなくても(所有しなくても)、不便にならない社会が訪れます。結果、車については、買うことよりもサービスを利用することがメインになることが考えられます。

 近年、電車やバスなどの公共交通網の発達は目まぐるしいものがありますが、地域によってはまだ車がないと不便なところもあります。加えて、高齢化が進んだため、目的地までの歩く距離をなるべく減らしたい、といったニーズは年々増えています。また、高齢ドライバーの運転事故が社会問題にもなっています。こうした社会的なニーズや課題に応えるといった面でMaaSには多くの可能性があります。実際、市場規模は2030年までに欧米中で1兆5,000億ドルに成長するとの予測もあります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)