(後編)日本損害保険協会:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 しかし、その後も東日本大震災を始め台風や集中豪雨などへの保険金支払が発生しており、異常危険準備金の大幅な取崩しを余儀なくされている状況に加えて、2018年度で火災保険等の積立率の経過措置(3%)が適用期限を迎えることから見直しを求めたものです。
 具体的には、今後の頻発する巨大自然災害への対応に向けて、経過措置を含んだ現行の積立率5%では十分とは言えないとして、6%へ引き上げることを要望しております。

 さらに残高の上限となる洗替保証率についても、1991年の台風19号、そして2004年の複数の台風、2011から2014年の複数の災害への保険金を考慮しますと、現行の30%(業界全体で約6,000億円のレベル)から40%への引上げを要望しております。
 その他、近年頻発する地震への備えとして地震保険の更なる普及のための保険料控除制度の充実、受取配当等の二重課税の排除などをあわせて要望しております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)日本損害保険協会:2019年度税制改正要望を公表!

日本損害保険協会は、2019年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実を重点要望事項の一つに掲げていることや損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式の継続などを要望しております。

 損害保険会社では、発生の時期・規模の予測が困難な巨大自然災害の際にも確実に保険金を支払うという社会的使命を担っていることから、平時から保険料の一定割合を異常危険準備金に積み立てることにより保険金支払原資を確保するように努めております。

 2004年に10個の台風が上陸して発生した災害により、多額の保険金支払と異常危険準備金の取崩しが行われていることから、火災保険について、早期・計画的に異常危険準備金の積増しを行う制度の導入や税制面でも火災保険等の積立率を2005年度税制改正により4%(うち2%は経過措置)への引上げ、さらに2013年度税制改正により5%(うち3%は経過措置)への引上げなどの措置が取られております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年度税制改正:生命保険料などの年末調整手続きを電子化へ!

(前編からのつづき)

 そして、これらの見直しとともに、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書、年末残高証明書については、それらの証明書の発行者から電子メール等により提供を受けたその住宅ローン控除証明書、年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電子データを印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じられているものであれば、住宅ローン控除申告書等に添付することができるようになります。

 これらの改正は、2020年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書や住宅ローン控除申告書について適用します。
 なお、住宅ローン控除証明書と住宅ローンの年末残高証明書の電子データによる提出は、居住年が2019年以後である者に限られます。
 今後、年末調整手続きの電子化は、保険会社や銀行等の控除関係機関から個人、税務署、雇用主という情報の流れが、基本的にネット上で完結する仕組みになるとみられております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

(前編からのつづき)

 そして、2018年度税制改正において、相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった時前15年以内において、国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないことになりました。
 この場合の被相続人又は贈与者は、その期間引き続き日本国籍を有していなかった者であって、その相続開始又は贈与の時において国内に住所を有していないものに限ります。

 ただし、その贈与者が、国内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおけるその国外財産に係る贈与税については、この限りではないとされます。
 なお、この改正は、2018年4月1日以後に相続・遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

2017年度税制改正において、国外財産に対する相続・贈与の納税義務の範囲については、国際的租税回避行為の抑制等の観点から、相続人(受贈者)が日本に住所を有せず、日本国籍を有しない場合でも、被相続人(贈与者)が10年以内に日本に住所があったときは、国内・国外双方の財産が相続税・贈与税の課税対象になるように見直されました。
 しかし、この見直しに対する強い批判を踏まえ、2018年度税制改正において、再度見直しがされました。

 そもそも、改正は課税逃れ防止を目的としたものですが、一方で、高度外国人材の受入れ促進のため、日本国籍を有さずに、一時滞在(国内に住所がある期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)している場合の相続・遺贈の係る相続税は、国内財産のみが課税対象とされました。
 しかし、引退後に母国に戻った外国人が死亡した場合にまで、国外財産に日本の相続税を課すのはどうなのかとの声もありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

 2018年度税制改正において、相続税申告の添付書類の改正も行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から法務省が行っている法定相続情報証明制度で取得が可能な法定相続情報一覧図についても、一定の条件をもとに添付書類として認められております。
 これまでは相続税の申告書には、戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていました。

 しかし、2018年4月1日以後は、戸籍の謄本に代えて、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)あるいは戸籍の謄本又は法定相続情報一覧図の写しをコピー機で複写したもののいずれかの書類を添付することができるようになりました。
 ただし、被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となりますので、該当されます方はご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

(前編からのつづき)

 しかし、改正後はこの雇用要件を実質的に撤廃したことで、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予が継続可能(雇用維持ができなかった理由が経営悪化又は正当なものと認められない場合、認定支援機関の指導・助言を受ける必要あり)になります。
 そして、改正前は一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象でしたが、改正後は親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者への承継も対象になり、中小企業経営の実状に合わせた多様な事業承継を支援します。
 最大3人までの後継者が対象となりますが、複数人で承継する場合は、議決権割合の10%以上を有し、かつ、議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限られます。

 さらに、改正前は後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、過大な税負担が生じる可能性がありましたが、改正後は売却額や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することから、経営環境の変化による将来の不安が軽減されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税制改正経費が1.8倍に増加

国税庁の2018年度予算は7026億4700万円で、17年度当初予算の7004億1600万円から22億3100万円増えて0.3%の微増となりました。内訳を見ると、17年度より金額が増加したのは、情報化経費、納税者利便向上経費、税制改正関係経費などで、特に税制改正経費は19年10月に控える消費増税への対応のためか、前年比79.8%増と著しい伸びを見せています。

 一方、導入3年目を迎えるマイナンバー制度の関連費用は55億5300万円から53億5900万円へと微減しています。
 人員面では前年から1061人を増員するものの、同時に定員合理化によって1054人が削減されるため、18年度の定員は5万5674人で前年度より7人の増加となります。

 役職で見てみると、大型の滞納案件に対応するため、東京国税局に「特別機動国税徴収官(仮称)」の新ポストを導入するほか、海外資産を持つ富裕層や企業の国外取引への備えとして各国税局に国際税務専門官を増員し、各地の税務署にも特別国税徴収官を増やすなど、インターネットを通じた国際取引や富裕層の海外資産、税滞納に対応するための人員が多く割かれていることが分かります。
<情報提供:エヌピー通信社>

加算税制度の見直し

概要

 調査を行う旨、調査対象税目及び調査対象期間の通知以後、かつ、その調査があることにより更正又は決定があるべきことを予知((2)において「更正予知」という。)する前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の割合(現行:0%)については5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)とし、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合(現行:5%)については10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%)となります。

(注1)次の修正申告等については、上記(1)の加算税の対象となりません。

1 次のように調査対象を区分する場合において、調査対象とならない部分に係る修正申告

 

イ 調査の事前通知の際に納税者の同意の上、移転価格調査とそれ以外の部分の調査に区分する場合

 

ロ 一部の連結子法人の調査を行わないこととした場合

 

2 他の税目における更正の請求に基づく減額更正に伴い、調査対象税目において必要となる修正申告等

 

3 相続税又は贈与税について、遺産分割が確定するなどして任意に行う修正申告等

 

(注2)源泉所得税の不納付加算税については、見直しの対象となりません。

 期限後申告若しくは修正申告(更正予知によるものに限る。)又は更正若しくは決定等(以下(2)において「期限後申告等」という。)があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る。)又は重加算税を課されたことがあるときは、その期限後申告等に基づき課する無申告加算税の割合(15%、20%)又は重加算税の割合(35%、40%)について、それぞれその割合に10%加算します。

(注)過少申告加算税及び源泉所得税に係る不納付加算税については、見直しの対象となりません。

適用時期

平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用します。

美術品等についての減価償却資産の判定の改正

美術品等についての減価償却資産の判定の改正の概要

 改正前の通達の取扱いでは、①美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、②取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していました。

 改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしました。

 なお、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能です。

 取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。

「時の経過によりその価値が減少することが明らかな」美術品等

 取得価額が1点100万円以上である美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として減価償却資産に該当するものとしては、例えば、次に掲げる事項の全てを満たす美術品等が挙げられます。

①会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。

②移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。

③他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

 なお、この例示に該当しない美術品等が「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当するかどうかの判定は、これらの事項を参考にするなどして、その美術品等の実態を踏まえて判断することになります。

平成27年1月1日より前に取得した美術品等の取扱い

 今回の通達改正は過去に遡って資産区分の変更を行うものではありませんので、改正後の通達の取扱いにより資産区分を減価償却資産へ変更する美術品等については、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度(以下「適用初年度」といいます。)から減価償却を行うことになります。

 また、この場合の償却方法は、その美術品等を実際に取得した日に応じて旧定額法、旧定率法、定額法、250%定率法又は200%定率法によることになりますが(法令48①、48の2①)、取得日を適用初年度開始の日とみなすこととして定額法又は200%定率法を選択できるほか、中小企業者等にあっては租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)の規定を適用することもできます(経過的取扱い)。

 

江戸川区南小岩6-6-8

鈴木税務会計事務所