長い間、株価は実体経済の好不調を測る分かりやすいバロメーターとされてきました。そのため、時の政府は株価対策に力を入れてきました。

 株価が高いということは、企業業績がよく、そこに働く人々の賃金は上昇し、企業が納める法人税や個人が納付する所得税等の税収も増え、その結果としてGDP(国内総生産)も増大する、というのがこれまでの一般的感覚でした。しかし、最近はやや様相を異にしてきているように見えます。

 この株価と実体経済の乖離原因には様々な要因が考えられます。よく言われるのは、日銀や年金資産などが株式を購入することによる需給要因からの分析ですが、ここでは会計、税務的側面からの株価と実体経済の乖離原因を考えてみたいと思います。乖離原因は主として海外子会社から生じます。

 株価は常識的には会社の業績を反映すると考えられます。単純に考えれば、財務諸表の数値が良ければ株価は上がり、悪ければ下がるという構造になります。ただ、ここで注意しなければならないのは、株価は親会社単体財務諸表ではなく、連結財務諸表を見ているということです。

 グローバルに事業を展開する大企業の業績は国内だけでなく、海外事業の業績も含まれます。連結財務諸表は親会社業績を基幹に海外子会社の業績が加わります。国内事業があまり振るわず、親会社単体財務諸表は悪くても、海外業績が好調なら、連結財務諸表は良くなります。近年我が国は人口減少時代に突入し、国内需要は頭打ちで、業績伸長ドライブを海外に依存する会社が増えてきました。こうした会社は連結業績が好調で、株価が上昇しても、国内業績は不振ですから、国内従業員の賃金も納付する税金も増えないという結果になります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)