では、小規模事業者においては期待される役割に対して具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。以下で、中小企業庁編『中小企業白書2020年版』の中で、特に小規模事業者においての役割が期待される「生活インフラ関連型」の事例として紹介された、吉野川タクシー有限会社(本社:徳島県徳島市)の取組みについてみていきましょう。

 同社の現社長は祖父が代表を務めていた同社を27歳のときに事業承継したことを契機に、地域の人々の移動を支えることを目的に新たなサービス開発やIT化に取組んでいます。
 同社では妊産婦が安心して病院に通えるよう、妊産婦専用のタクシーサービス「マタニティタクシー」を新たなサービスとして考案しました。同サービスは、安全性能の高い専用車両とヘルパーの資格を持つドライバーを特徴とし、登録制で24時間いつでも通常のタクシーと同じ料金で利用できます。また、複数の子供たちを相乗りさせて塾や習い事の送り迎えを行う「キッズタクシー」を考案しました。これらの妊産婦・子供向けのサービスをきっかけとして、同社のリピーターとなるケースもあり、通常のタクシー利用にもつながっています。

 現場のIT化については、タクシーの自動配車システムを開発しました。同システムの導入により、コールセンターが利用者から電話を受けると、最短距離にいるタクシーを自動で検出し、車内に搭載されたタブレット端末経由で通知することで、効率的・安定的な配車が可能となっています。
 このように人口減少・少子高齢化が深刻な地方において、地域住民のニーズに応えることで生き残りを図ることが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)