運用金利がプラスであれば、そこに個別リスクを乗せますから、割引率は必ずプラスになります。マイナス金利政策で国債金利がマイナスになるとしても、マイナス幅には限界がありますし、そこに個別リスクを上乗せしますから、割引率はプラスになると考えてもいいと思います。ただ、本稿では、やや頭の体操的にはなりますが、仮にマイナス金利が極端に振れ、割引率がマイナスになるとどうなるか考えてみましょう。
たとえば、割引率が-10%だったとしてみます。現在の100円は-10%で運用すると、1年後には90円になってしまいます。つまり、1年後の90円が現在の100円(90÷0.9)と同等になり、90円を超えて回収できるとすれば、今100円投資することが合理的だという結論になってしまいます。
しかし、100円投資すれば1年後に90円回収できるから投資するというのは明らかに不合理です。なぜなら、そんなことなら投資せず現金で100円持ち続けた方が有利だからです。このように現金保有にマイナス金利を付けられないという前提ではマイナス金利に基づくファイナンス理論は崩壊してしまいます。
ここから分かることは、マイナス金利政策の最大の弱点は現金にマイナス金利を付けられないことにあります。これはファイナンス理論だけではなく、マイナス金利全体に当てはまる議論です。現金にマイナス金利を付けられない以上、そのひずみは銀行が一身に背負わなければなりません。そう考えると、マイナス金利は長く続けられる政策ではありません。逆に、強力に長く続けるようであれば、銀行は持ちこたえることはできないでしょう。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
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