このことからわかることは、日産自動車のような日本を代表するグローバル企業においてさえ、トップの暴走を抑止するガバナンス体制の構築は容易ではないということです。では、ひるがえって非上場の中小企業の場合はどうでしょう。

 非上場の中小企業では、トップの在任期間は長期にわたるのが普通ですし、人事権も大企業より恣意的に行使できるでしょう。その上に株式も実質的に支配しているとすれば、非上場企業のトップの存在感は圧倒的です。そうしたトップの倫理感に問題が生じたときに、取締役会等の会社組織で抑止力を働かせることができるでしょうか。

 非上場企業でも社会的公正さが求められることは変わりません。トップの暴走に歯止めを効かすガバナンス体制が社内で構築できれば、それに越したことはありません。しかし、日産自動車の事例を見れば、非上場企業でそれを実現することはかなり難しいことだと思われます。社内で抑止体制が構築できないとすれば、トップ自身が歯止めにならなければなりません。

 そのように考えると、非上場企業のトップの倫理観は大企業以上に重要になってきます。倫理観のない人間をトップに据えることは避けるべきですし、現在トップにある人間はそのことを十分自覚しなければなりません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)