私は以前、銀行で融資を担当していたことがありますが、融資をする際に最も重要なのは与信判断でした。与信判断とは、借入申込人におカネを貸してもいいかどうか、そして貸せることができるとしたら、いくらまで貸せるかを判断することです。

 与信判断は、つまるところ、借入人の返済財源を見極めることにあります。そして、返済財源は二つに分けることができます。第一の財源は将来の収入見込みです。借入金の返済期間中、収入が十分にあれば、返済できると判断できます。ただ、将来は何があるか分かりません。勤めている会社が倒産してしまうかもしれませんし、病気になり働けなくなってしまうかもしれません。そうした不慮の事態に備えて、第二の財源として担保を取ります。不動産などの担保を評価して、もしものことがあっても担保で取り返せるということであれば、融資可能と判断できることになります。
 ここで肝心なことは、将来収入も担保評価も数値で表現されるということです。その数値を融資金額と比較衡量して、融資の可否及び融資金額を決定します。

 このような形で融資をするのが基本ですが、私は、果たして与信判断を返済財源だけで行うことは正しいのだろうか、という疑問をずっと抱いていました。というのは、特に個人に対する融資について当てはまることなのですが、与信判断には返済財源という数値では表現できない、もっと大切なことがあるのではないかと感じていたからです。それは、やや漠然としていますが、借入人の借入金の返済に関する誠実性といったものです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)