今月の税務トピックス① 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置の創設

はじめに
 中小企業の業績は徐々に回復傾向にあるようですが、労働生産性は伸び悩んでおり、大企業との差も拡大しています。また、中小企業が所有している設備は老朽化が進んでおり、生産性向上に向けた足枷となっています。
 そこで、平成30年度税制改正では、地域の中小企業者等による設備投資の促進に向けて「生産性向上特別措置法」の規定により、市町村が主体的に作成した計画に基づき行われた設備投資に対して、償却資産税が軽減される特例措置(いわゆる認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置、以下「本特例」といいます。)が創設されました。
 そこで、本稿では、本特例の概要と実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 制度の概要(平成30年度地方税附則(47)※正しくは丸に47)
 中小企業者等が、生産性向上特別措置法の施行の日から平成33年3月31日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内において、同法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた認定先端設備等導入計画に従って取得された機械装置、工具(測定工具及び検査工具に限ります。)、器具備品及び建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除きます)(以下「機械装置等」といいます。)に対して課される固定資産税の課税標準は、その機械装置等に対して新たに課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、その機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とされます。

Ⅱ 用語の定義
1 先端設備等(平成30年度地方税附則(47)※正しくは丸に47、生特法36①)
 「先端設備等」とは、商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供する施設、設備、装置又はプログラムであって、次に掲げる要件を満たすもの(工業会等が証明書を発行)とされます。
①販売が開始された時期に係る要件
 それぞれの指定設備の属する型式区分ごとに販売が開始された時期に係る要件に該当するものであること。
イ.機械装置:10年以内
ロ.工具:5年以内
ハ.器具備品:6年以内
ニ.建物附属設備:14年以内
②生産性向上要件
 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。

(今月の税務トピックス②につづく)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です