《コラム》未婚の方も対象に ひとり親・寡婦控除の見直し

◆ひとり親も控除が受けられるように
 令和2年の税制改正で、未婚のひとり親に対しても寡婦(かふ)控除と同様の所得控除が受けられることとなり、同時に寡婦控除にも改正が加えられることとなりました。
 また、男女間に格差があった特別の寡婦控除が廃止され「ひとり親控除」として新設されます。

◆従来の寡婦(寡夫)控除との違い
 今までの寡婦(女性)控除については、本人の所得が500万円超であっても扶養親族が居る場合は27万円の控除がありましたが、寡夫(男性)控除に関しては500万円超の所得がある人については控除が受けられませんでした。この男女間の格差は「両者とも控除は無し」という納税者側から見れば悪い方向で是正が行われました。
 所得金額が500万円以下であり、かつ扶養親族に子がいる場合は、男性でも女性でも、死別でも離婚でも、未婚のひとり親でも一律に35万円(住民税は30万円)の所得控除となります。名前も「ひとり親控除」へ変更となります。この処置は従来の寡夫控除が27万円だったので男性については控除額の増加となり、今まで控除が受けられなかった未婚のひとり親については35万円の控除額増加となります。
 寡婦であり子以外の扶養親族がいる場合と、扶養親族が居なくても死別が原因の寡婦の場合は、従来と同様の27万円(住民税は26万円)の寡婦控除となります。対して男性の場合は、子以外の扶養親族が居ても、死別であっても従来から控除は受けられず、改正でもその点に変わりはありません。

◆「特別の寡婦」の名称は消滅
 従来の「特別の寡婦」控除の名称は無くなり、ボーダーラインも若干は変わるものの、ひとり親控除に引き継がれるので、悪い影響があるのは「今まで寡婦控除を受けていた所得500万円超の女性」に限定されます。
 なお、ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されているいわゆる事実婚状態の方は受けられません。

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