今月の税務トピックス①

中小企業者等における投資の促進に係る税制の創設

はじめに
 わが国の企業収益は過去最高を更新し続け、バブル期を超えて過去最高水準となっております。また、企業の現預金等の保有残高も2011年以降増加し続け、228.5兆円となっております。
 平成30年度税制改正では、企業収益及び預貯金等の保有残高を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げを促す観点から所得拡大促進税制が大幅に改組されることとなりました。
 このうち、本稿では、改組・創設された中小企業者等における投資の促進に係る税制の概要について解説します。

Ⅰ 適用要件(新措法42の12の5②)
 青色申告書を提出する中小企業者等(中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除きます。)が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度(「大企業における賃上げ及び投資の促進に係る税制(新措法42の15の5①)」の規定の適用を受ける事業年度、設立事業年度、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は対象外とされます。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、賃上げ率が1.5%以上であるとき(中小企業者等の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額以下である場合を除きます。)は、雇用者給与等支給増加額の15%相当額の特別税額控除ができることとされます。
 ただし、特別控除税額は、当期の法人税額の20%相当額が上限とされます。

Ⅱ 特別税額控除率の上乗せ措置(新措法42の12の5②カッコ書き)
 上記Ⅰの規程の適用を受ける場合において、次に掲げる①及び②のすべての要件を満たすときは、上乗せ措置として雇用者給与等支給増加額の25%相当額の特別税額控除ができることとされます。
① 賃上げ率が2.5%以上であること。
② 次のいずれかの要件を満たすこと。
イ)教育訓練費の額から中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額のその中小企業比較教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること。
ロ)その中小企業者等が、その事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものであり、その認定に係る経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされたものであること。

(今月の税務トピックス②につづく)

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