【時事解説】中小企業におけるテレワーク導入 その2

 では、中小企業におけるテレワーク導入においては具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。そこで『中小企業白書2020年版』において、「感染症BCP」に基づきテレワークなどの感染症対策を速やかに実施した企業として紹介されたサクラファインテックジャパン株式会社(本社:従業員数170名、東京都中央区)の事例ついてみていきましょう。

 同社は、医療用機械器具の製造・販売を行う企業です。同社では2013年の風疹の流行を踏まえ、同年から会社の全額費用負担で風疹・インフルエンザワクチンの社内での集団予防接種を実施しました。
 また、事前対策だけでなく、実際に感染症が流行した場合や従業員が感染した場合にも備える必要があると考え、東京都の感染症対応力向上プロジェクトへの参加を契機に2016年に「感染症に係る業務継続計画」(「感染症BCP」)を策定しました。同計画では、感染症流行時の具体的な対応策として、従業員の衛生管理の徹底や在宅勤務(テレワーク)が有効と記載されています。

 2020年春に新型コロナウイルスの発生を受け、同社では感染症BCPに基づき、すぐに発熱者の出社禁止などの措置を開始するとともに、メール、電話会議システム、チャットアプリを活用したテレワークを推奨しました。各部門内でチームを編成し、チームごとにオフィスと自宅とで勤務場所を分けてシフトを組むことで、感染予防と業務継続の両立を図りました。さらに、働き方改革の一環として導入していた時差勤務制度を拡充し、部門ごとに通勤時間を割り振ることで、感染リスクの低減を図りました。
 このように、感染症対策への備えが、テレワークや時差勤務の拡充へとつながっていったのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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