【時事解説】中小企業におけるIT利活用の現状と課題 その2

中小企業におけるIT利活用とはどのような取組みが行われているのでしょうか。そこで「中小企業白書2018年版」においてIT活用により付加価値向上を実現する企業として紹介された有限会社まるみ麹本店(本社:岡山県総社市、従業員24名)の取組みについてみていきましょう。

 有限会社まるみ麹本店は、味噌、甘酒等の麹を扱う醸造食品製造・販売事業者です。同社では製造、営業それぞれでITを活用しています。

 製造面では、これまでは経験と勘で調整していた麹の発酵工程における温度管理について、連続的に温度記録が取れる機械を導入し、各工程における温度データを蓄積して製造ノウハウを「見える化」しました。また、製麹温度管理のために温度センサーと空調設備を連動させ、異常検知時にメール通知をする自動化を進めました。こうした取組みによって、夜中の温度管理等の長時間労働の負担を軽減、さらに麹の品質安定にもつなげることができました。

 営業面では、これまで通販等個人向け販売に力を入れてきたことを受け、顧客との関係を密にして顧客サービス向上を図るためにCTI(コンピュータと電話の機能を連携するシステム)を導入。これにより画面に表示される購買履歴等を参考にしつつ、きめ細かな顧客対応が素早くできるようになり、また注文時に発生する事務作業の負担軽減のため、一元的に注文を管理する販売管理システムを導入。これら一連の取組みによって同社ではインターネット通販の拡大や売上増加を実現しています。

 このように製造面、販売面の両方にITを活用することで、業務の効率化だけでなく、品質の安定や売上増加といった効果も期待できるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

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