(後編)財務省:2016年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書を公表!

(前編からのつづき)

 この主な内訳は、2015年度から適用要件を緩和した「所得拡大促進税制」が3,184億円(2015年度比410億円増)、「研究開発税制」が5,926億円(同232億円減)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が971億円(同210億円減)です。

 「特別償却」(28措置)は、適用件数が6.8万件(2015年度比0.5万件減)、適用額が1兆7,869億円(同5,750億円減)で、主な内訳は、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」は5,971億円(同2,324億円増)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が8,937億円(同3,989億円減)です。
 また、「準備金等」(15措置)は、適用件数が1.3万件(2015年度比0.1万件減)、適用額が8,212億円(同1,216億円減)となりました。

 適用数の実績が想定外に少ない租税特別措置等は、必要性や将来見込みの検証を徹底するため、税制改正プロセスにおいて、総務省による政策評価の点検結果や、財務省の適用実態調査の結果を活用し、租税特別措置の必要性や政策効果を検証しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)財務省:2016年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書を公表!

 財務省は、2016年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書を公表しました。
 それによりますと、2016年度(2016年4月〜2017年3月)に終了した事業年度又は連結事業年度において、法人税関係の租税特別措置82項目(2015年度は83項目)について、適用件数が延べ183.3万件(同174.3万件)となりました。

 租税特別措置の種類ごとにみてみますと、中小企業への軽減税率(資本金1億円以下の中小企業には年800万円以下の所得に特例で15%(本則の軽減税率は19%)の税率)を適用する「法人税率の特例」(2措置)は、適用件数が88.9万件(2015年度比4.5万件増)、適用額が3兆4,412億円(同2,140億円増)と増えており、これは景気回復によって法人税を支払う黒字企業が増加したためとみられております。
 また、「税額控除」(18措置)は、適用件数が16.2万件(2015年度比0.8万件増)、適用額が1兆481億円(同82億円減)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)中小企業庁:軽減税率対策補助金の期限を2019年9月末まで延長へ!

前編からのつづき)

 A型のレジを導入の場合、基本的には補助率は3分の2ですが、1台のみ導入かつ導入費用が3万円未満の機器については補助率が4分の3、タブレット等の汎用端末の補助率は2分の1と補助率が異なります。
 補助額は1台当たり20万円が上限で、複数台のときは200万円が上限となります。

 一方、受発注システムの場合、小売事業者等の発注システムの補助金上限額は1,000万円、卸売事業者の受注システムの補助金上限額は150万円で、両方の改修・入替が必要なときの上限は1,000万円となります。
 補助率は改修・入替費用の3分の2で、電子的受発注データのフォーマットやコード等の複数税率対応に伴う改修、現在利用している電子的受発注システムから複数税率に対応したシステムへの入替を補助対象とします。

 なお、補助金の申請受付期限については、上記の事業完了期限に合わせて設定するとし、具体的な時期については、後日、軽減税率対策補助金事務局及び中小企業庁ホームページにおいて公表するとしておりますので、該当されます方はご注意ください。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)中小企業庁:軽減税率対策補助金の期限を2019年9月末まで延長へ!

中小企業庁は、軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限を2019年9月30日まで延長すると公表しましたので、該当されます方はご確認ください。

 軽減税率対策補助金(中小企業・小規模事業者等消費税軽減税率対策補助金)とは、消費税軽減税率(複数税率)制度の導入に伴う対応が必要となる中小企業・小規模事業者が、複数税率対応レジの導入や受発注システムの改修などを行うにあたり、その経費の一部を補助する制度です。
 消費税の軽減税率制度は、2019年10月1日から実施される予定ですが、これを受けて、中小企業庁では、中小企業・小規模事業者に、軽減税率実施への対応を円滑に進めてもらうために、軽減税率対策補助金制度を2016年3月29日からスタートしました。
 しかし、中小企業者等の対応が遅れていることから、補助事業の完了期限が軽減税率導入の前日まで延長することにしました。
 複数税率対応として、「複数税率対応レジの導入等支援」(A型)と「受発注システムの改修等支援」(B-1型、B-2型)の2つの申請類型があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》配偶者(特別)控除の変更点

◆平成30年から改正適用となります
 今年から、配偶者控除及び配偶者特別控除が改正されました。内容をおおざっぱに言うと「配偶者特別控除適用上限が140万円ではなくなった」ということになります。
 ただし、納税者本人(配偶者控除を受ける人)の所得金額によって、配偶者控除や配偶者特別控除の額が増減します。

◆本人の所得によって変動する配偶者控除
 まずは配偶者控除のみで条件を見てみましょう。
①本人の合計所得が900万円以下(給与収入のみで計算すると1,120万円以下)の場合→配偶者控除は38万円
②本人の合計所得が950万円以下(1,170万円以下)の場合→配偶者控除は26万円
③本人の合計所得が1,000万円以下(1,220万円以下)の場合→配偶者控除は13万円
④本人の合計所得が1,000万円を超える場合→配偶者控除は適用されません
※配偶者の所得はいずれも38万円以下(給与収入103万円以下)であることが条件

◆配偶者特別控除の変動
 今までは38万円超の配偶者の所得によって配偶者特別控除が受けられましたが、今回の改正によって本人の所得により、そのパターンが3つに分かれました。また、配偶者特別控除が受けられるのは所得123万円まで(給与収入のみで換算すると201万円まで)となる他、配偶者の所得が85万円(給与収入150万円)までは配偶者控除と同額の控除額となります。

・本人の所得900万円以下 →配偶者特別控除額:38万円~3万円
・本人の所得950万円以下 →配偶者特別控除額:26万円~2万円
・本人の所得1,000万円以下 →配偶者特別控除額:13万円~1万円
※本人所得が1,000万円を超える場合は、改正前と同じく配偶者特別控除は受けられない

◆「103万円の壁」は無くなったが……
 妻の収入が一定以上あると手取りが逆転したり、税金によって手取り額に差が出てしまう現象を「壁」とよく言いますが、最大の「壁」というのは「社会保険料負担」が発生することです。
 この壁は未だに130万円(場合により106万円)以上で発生します。社会保険料関係の法改正も早急にして欲しいですね。

 

《コラム》ルールブック活用で 職場環境改善

◆規律の乱れに気づいたら
 昨年発表された厚生労働省調査によると労働相談は9年連続100万件を超え増加傾向が続いています。しかし労使トラブルは表面化している事ばかりではありません。就労上の小さなルール違反や職場の秩序の乱れ等、就業に影響を与える言動等いわゆる規律の乱れも見逃せません。目に余るような言動であれば注意指導、懲戒を行うこともあるでしょう。しかし遅刻、言葉使い等些細な規律の乱れをいちいち注意しなくてもと見過ごしているうちに、前と違ったルールになっていたり、守って欲しい事が勝手な解釈や行動で職場の雰囲気の乱れとなっているのに気づく事はないでしょうか。

◆就業規則の内容をより明確に伝える
 労使トラブルや規律の乱れを防ぐためにも就業規則の整備は必要ではありますが、就業規則では拾いきれないこまごまとした日常の規範は別に「職場のルールブック」を作成すると良いでしょう。行動規範があると上司からの注意指導がしやすくなり、従業員側も守るべきルールがはっきりする事で行動がし易くなります。また、新しい人を採用しても統一した基準や仕組みがあれば分かり易く職場のまとまりも良くなり労使双方にメリットがあると言えるでしょう。

◆職場ルールブックのメニューとは
 ルールブックの内容は次の様なものになりますが企業によって他にあるかもしれません。内容は経営者や管理職、また従業員代表を交えて意見を聞くのも良いでしょう。
①就業上の基本的ルール:勤務時間、遅刻、早退、欠勤、休日等に関する事、各種届け出や服務に関する心得等
②職務上守って欲しい事や禁止したい事:パソコンや情報の取り扱い、社有車、事故報告、ハラスメント防止等
③従業員に期待する事:ビジネスマナー、報連相、ヒヤリハット報告、クレーム対応等
④安全衛生・健康管理
⑤福利厚生:慶弔関連、社員旅行、クラブ活動、持株制度等
⑥病気、ケガ、結婚、子の誕生、産休育休の報告や手続き
⑦社内規則抜粋:退職、定年、懲戒、休職
⑧会社について:社長からのメッセージ、
経営理念、経営計画、目標等

 

クレカ利用で税優遇を検討

経済産業省はクレジットカードや電子マネーなどを使った国内の支払い比率を2025年までに40%にまで引き上げる目標を掲げ、所得控除など消費者への税優遇策を探っています。財源を確保したい財務省の抵抗は必至です。

 経産省によると、日本のキャッシュレス決済の比率は2015年の時点で18%しかなく、韓国(89%)や中国(60%)、イギリス(55%)など主要国と比べてかなり低い状況です。なかなか日本の消費者に浸透しないのは、現金支払いに安心や安全を感じているほか、ATMが多く現金の用意に困らないことが理由に挙げられます。またカード会社に支払う手数料が高めに設定されているため、特に地方では導入に消極的な小売店が多くありません。その結果、訪日観光客の不満も高まっています。
経産省は夏までに協議会を設置して具体策の検討に入り、2019年度予算の概算要求や税制改正要望に盛り込む考えです。

 問題は財務省のハードルをどうクリアするか。経産省幹部は「森友学園への国有地売却を巡る一連の不祥事で、解体論が出るほどサンドバッグ状態の今こそ好機」と語ります。弱りきった財務省を押し切る算段のようです。
<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁がインボイスのパンフ公表

 消費税の複数税率の開始に伴い2023年から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に関するパンフレットを、国税庁がホームページで公表しました。パンフレットでは適格請求書を「売り手が、買い手に対し正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段」と表現していますが、事業者にとっては何より「仕入税額控除の適用に不可欠な書類」という位置づけになります。

 現行の請求書に記載が求められている項目は、請求書の作成者名、取引年月日、取引した資産や役務の内容、取引した対価の額、請求書を渡す相手の名称となっています。インボイス方式ではこれらに加え、「事業者の登録番号(21年10月より申請開始)」、「税率ごとに合計した対価の額、適用税率」、「税率ごとの消費税額」の記載が求められるようになります。取り引きした資産が軽減税率の対象であればその旨も付記しなければなりません。

 インボイス制度開始後の仕入税額控除は、原則的に適格請求書に基づいた取り引きだけが対象となります。免税事業者はインボイスを交付できないため、今後は税額控除の額を少しでも増やしたい事業者が免税事業者とは取引しなくなる可能性があるので注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>

【時事解説】利益に対応した経営責任 その2

 しかし、株主の見方は違います。経営者は株主から財産を預かって株主財産を増加させることを委託されています。外部環境はどうであれ、その中で最高のパフォーマンスを示すのが経営のプロのはずです。株価の下落が予想されるなら、事業と関係ない株式はあらかじめ売っておくべきですし、それでもなお所有し続けるなら、株価下落による評価損を補って余りある事業上の利益がもたらされなければなりません。経営手腕には単に事業遂行能力だけではなく、外部環境変化への対応能力も含まれているはずだと考えるのです。

 包括利益とは経営を巡るすべての外部環境変化も包含した上で、経営者の経営能力を評価する利益だといえます。
 資産の評価損益も含めて経営者の経営責任を問われるとなると、資産の収益性の検証が重要になります。いつか役に立つだろうとか、将来値上がりするだろうから何となく継続保有する、といった漠然とした理由での所有が許されなくなります。所有している資産が現在の収益獲得にどのように貢献しているのかということを常にチェックし、資産所有の妥当性を検証しなければなりません。

 日本人は古くから失敗の検証が苦手で、失敗を招いた人間に対する責任追及が甘くなりがちな民族なのではないかと私は思っています。自分の責任を追及されたくないのは言うまでもないことですが、自分を引き上げてくれた先輩の責任を問うこともはばかる風潮も根深く存在します。しかし、所有資産に内在する赤字も含めた損益が重要視されるようになれば、従来のような微温的態度に終始できなくなり、赤字の原因を生じさせた経営者責任を厳しく追及される局面が増えてくるのかもしれません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】利益に対応した経営責任 その1

IFRS(国際会計基準)や米国会計基準の影響を受け、平成23年から日本でも上場企業に対して「包括利益」が導入されました。
 包括利益は経営者の経営責任概念について、従来の利益とは大きく異なっていることに注意しなければなりません。最終的には「経営者が負うべき経営責任とは何か」という経営哲学の問題に帰着します。

 包括利益は損益計算書の当期純利益を受けて計算され、事業成績の最終結果である当期純利益に投資有価証券の時価や為替換算調整勘定の変動金額等を加えて計算されます。
 現在の会計基準では、投資有価証券の評価損益や為替換算調整勘定の変動金額は損益計算書には表示されず、貸借対照表上で直接処理されています。この会計処理のポイントは評価損益が損益計算書を通りませんから(減損の場合を除く)、当期純利益が変動しないところにあります。ところが、包括利益はこれらの資産価格の変動による損益を含めたものを「利益」として提示します。

 経営者の成績は期間中にどれだけ利益を上げたかで評価されます。その意味で、損益計算書の最終利益が重要です。投資有価証券の評価損益や為替換算調整勘定の変動金額を損益計算書に含めない会計基準の背景には、経営者は本業での実績で評価してほしいという考え方があります。経営者からすれば、「株価や為替相場は経営者が関与できない外部変数で、経営者の能力とは関係ない。経営者の評価は本業への貢献度に絞って評価されるべきだ。株価下落や為替相場変動による赤字計上を理由に経営者に責任を取れと言うのは理不尽だろう。」と主張するのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)