(後編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 また、消費税の無申告者に対しては、2016事務年度において実地調査(特別・一般)8,816件(前事務年度8,119件)が行われた結果、追徴税額135億円で、1件あたり153万円となりました。
 2016事務年度の消費税に係る実地調査全体は2万8,211件行われておりますので、全体の約31%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査全体の追徴税額221億円の約61%が無申告者に係るものになります。

 調査事例では、数年おきに他人名義で所得税の申告を行うことで、自身が実質所得者であることを隠し、消費税の課税を不正に免れていた高級バーを営む事例があります。
 事業者Aは、消費税が無申告だけでなく、自身が負担する友人名義の所得税申告に係る所得税を減らすため、現金売上の除外や各経費の計上などを行っていた事実も判明され、Aに対して所得税7年分の申告漏れ所得金額約5,300万円について重加算税込みの約1,000万円の追徴税額及び消費税5年分の重加算税込みの約1,400万円が追徴されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度(2017年6月までの1年間)の富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など)に対する調査事績を公表しました。
 それによりますと、2016事務年度に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は7,612件(前事務年度7,445件)行われ、実地調査の結果、申告漏れ所得金額の総額は1,406億円(前事務年度1,465億円)となりました。
 追徴税額は、総額146億円(同150億円)で、1件あたり192万円(同202万円)となりました。

 2016事務年度は実地調査全体(特別・一般)が4万9,012件行われておりますので、全体の約16%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査全体の申告漏れ所得金額4,499億円の約31%が無申告者に係るものとなりました。
 1件あたりの申告漏れ所得金額は1,847万円で、前事務年度の1,968万円から6.1%減少したものの、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額918万円の約2倍増となり、調査件数も前事務年度に比べて2.2%増加しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2020年4月から大法人の法人税等の電子申告が義務化へ!

(前編からのつづき)

 また、法人税の確定申告書等に添付することとされている第三者作成書類については、一定の制度は添付に代えて保存により適用を認めるとしております。
 具体的にその制度として、
①収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
②換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
③収用換地等の場合の所得の5,000万円特別控除
④特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の2,000万円特別控除など6制度があげられております。

 さらに、電子申告を義務化する一方で、電子申告の際の要件を緩和し、これまでは書面の申告書に必要でした代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止し、委任を受けた社員や役員の電子署名でも申告を認めるとしております。
 なお、地方税においても大法人の電子申告(eLTAX)が2020年4月1日以後開始事業年度から義務化されますが、添付書類の柔軟化や電子申告が困難な場合の宥恕措置については、国税の措置などを踏まえて今後検討される予定としております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2020年4月から大法人の法人税等の電子申告が義務化へ!

 2020年4月1日から、大法人の法人税・消費税の確定申告書、中間申告書、修正申告書等の提出の電子申告(e-Tax)が義務化されます。
 この背景には、経済社会のICT化が進展するなか、税務手続きにおいてもICT化を推進し、納税者の利便性及び行政コストの削減や効率性の向上等を図るものとみられております。
 なお、大法人とは内国法人のうち事業年度開始時において資本金等が1億円超の法人並びに相互会社、投資法人、特定目的会社等をいいます。

 電子申告の義務化に伴い、申告書に係る添付書類も電子申告による提出が求められますが、法人税の確定申告書、中間申告書、修正申告書の添付書類については、光ディスク等による提出も認められます。
 電気通信回線の故障や災害などで電子申告を行うことが困難と認められる場合には、書面により申告書が提出できると認められるときは、所轄税務署長の承認を受けて、法人税・消費税の申告書及びその添付書類を書面により提出できるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

【厚生労働省】
●平成30年度予算 厚生労働省 「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」
 長時間労働の見直しのため、時間外労働の抑制に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を支援する目的で助成金を支給します。

●平成30年度予算 厚生労働省 「人材確保等支援助成金Ⅱ(介護福祉機器助成コース)」
 介護労働者の身体的負担を軽減させるために、新たに介護福祉機器の導入に対して、労働環境の改善および従業員の離職率の低下を図る事業主を支援する目的に助成金を支給します。

●平成30年度予算 厚生労働省 「人材確保等支援助成金Ⅵ(設備改善等支援コース)」
 生産性向上に資する設備等への投資を通じて、雇用管理改善(賃金アップ等)と生産性向上を図った事業主を支援する目的に助成金が支給されます。

【経済産業省】
●平成29年度補正予算 経済産業省 「事業承継補助金(後継者承継支援型)」
 事業承継(事業再編、事業統合を除く)を契機として、経営革新や事業転換を行なう中小企業者に対して、その新たな取組に要する経費の一部を支援する目的で補助金を支給します。

●平成29年度補正予算 経済産業省 「省エネルギー設備の導入・運用改善による中小企業等の生産性革命促進事業」 2次公募
 民間団体等が行う省エネルギー性能の高い機器及び設備の導入と合わせて、エネルギー使用量等を系統的に整理、蓄積するために必要となる計測装置等の導入に要する経費の一部を補助する事業及び補助事業を行う者を対象とした省エネルギー設備導入後における省エネに関する専門家の派遣の実施に要する経費を補助支援する目的で補助金を支給します。

●平成30年度予算 経済産業省 「地域創造的起業補助金」
 新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させる、新たに創業する者に対して創業等に要する経費の一部を支援する目的で補助金を支給します。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。

《コラム》数次相続での免税措置

◆相続登記をするなら今がチャンス!?
 相続が発生した場合、新しい所有者へ所有権を移転させる相続登記を行う必要がありますが、この登記がされないことで、所有者不明の不動産が増加する事態が深刻になっています。中には、相続が発生した親の不動産について、相続登記がされないまま子も亡くなってしまうような、いわゆる数次相続が発生することもあり、なかなか相続登記が進まないという例も少なくありません。
 平成30年度の税制改正では、このような相続による土地所有権の移転登記に関する登録免許税の免税措置が設けられています。この免税措置により、個人が相続で土地を取得したにもかかわらず、その土地について所有権の移転登記をしないまま死亡してしまった場合、その個人を土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととなりました。

◆1次相続での登録免許税が免税に
 たとえばAさんが所有している土地Xについて、Aさんが亡くなり、Bさんが土地Xを取得したとします。このとき、Bさん名義に所有権を移転する相続登記をしないまま、Bさんも亡くなってしまうと、その後Bさんから土地Xを相続するCさんは、AさんからBさんへの相続登記(1次相続)と、BさんからCさんへの相続登記(2次相続)を行うことになります(ただし、一部例外有)。今回の免税措置は、この例でいうAさんからBさんへの相続登記(1次相続)の登記申請について、登録免許税を免除するというものです。

◆免税措置は平成33年3月31日まで
 この免税は平成33年3月31日までの時限措置です。本来は登記申請の際、土地の固定資産税評価額に対して0.4%の税率がかかりますが、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間は免税となります。
 相続は重なると相続人が多数になり、手続きが一層煩雑になります。未了の相続登記がある場合は、この機会に整理してみてはいかがでしょうか。

《コラム》目標と管理者の見識

組織目標を設定する際、そこには管理者の意思が端的に表明されます。
 営業部門の場合で言えば、「適正な予算設定」が目標管理の「適正な組織目標設定」と同義で、管理者が市場環境と自社の販売ポテンシャルを的確に評価、判断する高い見識に基づいて設定されます、そのような予算・目標の実績との差異は、極めて小さく、経営貢献度が高いものとなります。

◆控え目な目標設定の問題と原因
 組織目標の設定は、管理者にとって「トップから与えられたノルマ」と映りがちで、また、達成度によって組織業績が評価されます。
 そこには管理者に「達成度が高く評価されるには、組織目標(予算)を控えめに設定する方が、得である」と言う意識が生まれる素地があります。
 このような管理者の意識は、一般社員の目標設定に伝搬し、組織業績低迷の原因となります。

◆組織目標のあるべき姿
 組織目標は過去の実績に比べて高く、ストレッチ(努力してようやく手が届く)な水準に設定し、その裏付けとして、市場環境の的確な分析と販売ポテンシャルに関する評価と自信がなければなりません。
 そのような目標は、実績との一致度が高くなり、同時に経営貢献度も高いものとなります。

◆経営者・管理者の留意点
 トップは「組織目標(予算)の達成度が高い」ことを、「未達」の時以上に警戒しなければなりません。
 そこに、「恣意的に設定された控え目な目標・表面的な高い業績評価を追い求める管理者の意識」が存在する可能性があるからです。
 トップと管理者は、そのような意識を排除し、組織目標(予算)を建設的行動の指標と考える高い見識を持たなければなりません。
 見識を高める裏付けとなるのは、次のような自らの実践的努力を通じた経営貢献度を高める組織風土の醸成にほかなりません。
 ・目標管理制度の運用(目標設定・目標達成努力・目標達成度と経営貢献度評価)を通じた組織別・組織間の目標達成努力。
 ・それらに関する真摯な反省と問題認識、トップ・管理者による改革・改善。

最新裁決事例に役員退職金での争い

国税不服審判所は3月下旬、最新の裁決事例をホームページ内に追加しました。税目別にみると、国税通則法4件、所得税法2件、法人税法3件、消費税法2件、国税徴収法1件。法人税法では、会社と国税当局の間で見解が分かれることが多い役員退職金をめぐる事例が追加されています。

 役員退職金をめぐる争いは、役職の分掌変更後に支払った金銭を会社の損金にできるか否かで見解が分かれました。代表取締役だったAさんは入院とその後の通院を契機に平成23年に代表取締役社長を辞任し、代表権のない取締役会長に分掌変更。Aさんは「退職慰労金」を受け取り、会社はその支払い分を損金としています。税務上、会社の役員が実際に退職していなくても、分掌変更で「役員としての地位または職務の内容が激変したと認められる場合」は、役員退職金として損金にすることが可能となっています。

 ただ、Aさんは分掌変更後も仕入れ単価の決定や得意先の接待など経営に深く関わっていました。また、Aさんの役員給与の額は社長辞任後に半額以下になったものの、後任の代表取締役よりも高額な状態でした。そのため税務署は、地位や職務が激変したとは認められず、税務上は「退職した事実はない」と判断。そして、Aさんへの会社の支払いは損金にできる役員退職金ではなく、損金算入が不可の役員給与として課税処分を行いました。審判所も税務署の処分を適法と判断し、Aさんの主張を退けています。

 役員退職金は「適正額」をめぐって国税当局と争いになることも多いのが実情です。金額が過大と判断されると損金算入が否認されます。顧問税理士に相談しながら適正額を決めるようにしたいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>

同名他社の口座差し押さえ

茨城県那珂市は4月2日、市民税などを滞納した会社の預金口座を差し押さえる際、誤って同名の別会社の預貯金を差し押さえていたことを公表しました。会見した海野徹市長は「関係する方々に深くおわびする」と陳謝しています。

 滞納をしていたのは水戸市の会社で、那珂市に住民票のある従業員1人について、給与から源泉徴収する個人市民税・県民税を6万4千円分納めていませんでした。市は滞納分の徴収のために金融機関に会社の口座を照会し、その際に金融機関は誤って同名の別会社の口座について回答してしまったそうです。しかし市は住所の確認を怠り、そのまま預金を差し押さえたとのことです。誤徴収された会社が預金の不足に気付いて発覚し、市は全額を返金しました。誤った差し押さえによる損害が今後生じれば、賠償に応じるとしています。

 自治体の人違いによる同名別人の差し押さえは全国で起きています。昨年7月には熊本市が、固定資産税の滞納を巡って同姓同名の別人の預金を差し押さえるというケースがありました。また9月にも神奈川県茅ヶ崎市で、同姓同名で生年月日も同じ別人の生命保険解約返戻金を差し押さえるミスが発生しています。差し押さえのミスによって損害が生じれば、その賠償もまた税金で賄われることになるだけに、徴収事務に携わる自治体の意識の低さが露呈していると言われてもやむを得ないところです。
<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)国税庁:2016年分の国外財産調書の提出状況を公表!

(前編からのつづき)

 国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、2014年1月から施行された国外財産調書提出制度は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類や数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を税務署長に提出しなければなりません。

 国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、インセンティブ措置等が設けられております。
 具体的には、調書を期限内に提出した場合には、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を5%軽減すること、調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときには加算税を5%加重すること、そして2015年からは故意の不提出や虚偽記載に対しては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。