(前編)国税庁:2016年分の国外財産調書の提出状況を公表!

国税庁は、2016年分の国外財産調書の提出状況を公表しました。
 それによりますと、国外財産調書制度の創立から4年目にあたる2016年分(2016年12月31日における国外財産の保有状況)の国外財産調書の提出件数は、2017年6月末までに提出されたもので、前年比2.4%増の9,102件、その総財産額は同4.3%増の3兆3,015億円となりました。

 また、局別の提出件数をみてみますと、「東京局」5,922件(構成比65.1%)、「大阪局」1,260件(同13.8%)、「名古屋局」660件(同7.3%)となりました。
 財産の種類別総額では、「有価証券」が51.8%を占めて1兆7,093億円で最多、「預貯金」6,015億円(構成比18.2%)、「建物」3,474億円(同10.5%)、「貸付金」1,708億円(同5.2%)、「土地」1,238億円(同3.7%)、「それ以外の財産」3,487億円(同10.6%)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》事業年度報告あれこれ

◆税務署への決算申告だけではない?
 あっという間に3月が過ぎ、決算月を終えた会社も多いことと思います。決算月から申告までの期間は何かと慌ただしいものですが、事業年度の終了後に行うべきものは、税務署への決算申告だけに限りません。

◆許認可を管轄する官公庁にも忘れずに
 事業を行うにあたり許認可を取得している場合、その種類によっては事業年度終了後に許認可を管轄する官公庁へ報告を行う義務があるものも存在します。
 たとえば建設業許可を取得している事業者であれば、事業年度終了後4か月以内に許可を申請した行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)に対し、決算に関する変更届を提出しなくてはなりません。これは税務署への決算報告とは全く別のものであり、この行政庁への決算報告が行われていないと、建設業許可の更新時に支障をきたす場合もあります。
 このほかにも、労働者派遣事業であれば事業年度終了後3か月以内に収支報告等を、運送事業であれば事業年度終了後100日以内に事業報告を行うなど、許認可によって様々です。

◆法人形態によっても様々
 また、法人形態によって報告義務が課せられる場合もあります。NPO法人(特定非営利活動法人)がその一例です。NPO法人は、事業年度終了後3か月以内に前事業年度の事業報告を所轄庁に対して行うことと定められています。この報告を3年以上未提出にした法人に対しては、特定非営利活動促進法に基づき設立認証の取消ができることになっており、これによって認証取り消しとなる事例が少なからずあります。法人存続にかかわる重大な問題です。

◆決算後には報告義務の再確認を
 税務署への決算申告は忘れずに行っていても、このように許認可や法人形態により別途課された報告義務については、つい忘れてしまいがちです。しかしながら、先述のように報告義務を怠ることで事業の継続が困難になる場合もあり、決して軽んじることはできません。
 事業年度終了後は、税務署への決算申告以外にも報告義務がないかどうか、一度おさらいしてみてはいかがでしょうか。

 

《コラム》官報の遡及日付け

◆法律を発効させる手続き
 内閣法制局のホームページには、法律案は、衆議院及び参議院の両議院で可決したとき法律として成立するが、その後、議院の議長から内閣を経由して天皇に奏上され、法律に御名御璽を得、次に法律に法律番号が付けられ、主任の国務大臣と内閣総理大臣の連署がされ、そうしてから、法律の公布の為の要件が揃ったことを確認する閣議決定を経て、官報に掲載されることにより、法律が法律として発効する手続きが完了することになる、と解説されています。

◆今年の改正税法の公布はいつ行われた?
 法律が現実に発効し、作用するためには、この公布が絶対に必要です。法律の公布がなければ、法律の効力を現実的に発動し、作用することになる「施行」はできません。
 ところで、平成30年度の改正税法の公布はいつ行われたのでしょうか。
 国立印刷局のホームページに「インターネット版官報」があります。そこには、官報は、行政機関の休日を除き毎日発行している旨記載されており、3月30日(金)には、国会事項のところに、改正税法は28日に可決し天皇に奏上している旨の記載があるだけで、改正税法そのものの掲載はありませんでした。3月30日の掲載には間に合わなかったようです。
 3月31日は土曜日です。4月1日は日曜日です。4月1日午前零時から施行するにはその前日に公布されていなければなりません。

◆「公布」とは、発行日の意味
 「公布」は、成立した法律を国民が知ることのできる状態に置くことをいい、最高裁判例は、官報販売所にて国民が読むことが可能な態勢になった時が公布の時だと、判示しているところです。
 官報販売所は土日は開かれていません。インターネット官報にて、改正税法を掲載した官報を読むことができるようにすることで、この「公布」と解してもよいのかも、と思い「公布」のタイミングを追いかけてみました。そうしたら、3月31日には、その「公布」はなく、4月1日にもありませんでした。目にすることが出来たのは、4月2日の午前零時を過ぎ、4月2日になってからでした。
 その上、その日付は3月31日でした。官報発行日の遡及日付けでした。かつてから、こういうことがあったのでしょうか。

 

公示地価に地方間で格差

国土交通省が3月27日に発表した今年1月1日時点の公示地価によると、全国の地価は前年から0.7%上昇し、3年連続の上昇となりました。住宅地ではリーマン・ショック以来、9年ぶりの下げ止まりとなった前年から上昇に転じ、地方圏ではバブル期以来26年ぶりのプラスに転じるなど、全国的に上昇傾向が鮮明となっています。ただし都市部以外の地方では下落幅の縮小は見られるものの全用途でマイナスが続き、交通に便利で都市部に近いエリアでの地価が上がる一方、下落が続く地点も依然多く、明暗がより分かれた格好です。

 3年連続の上昇を主導したのは、都市部の商業地の地価上昇。商業地は前年の1.4%上昇からさらに伸びて全国平均で1.9%上昇。三大都市圏では東京圏で前年比3.7%、大阪圏で4.7%、名古屋圏3.3%と軒並み伸びましたが、さらに札幌、仙台、広島、福岡など地方中枢都市では、前年の6.9%をさらに上回る7.9%の著しい上昇を示しました。海外からの観光客が増加していることを背景に店舗やホテルなどの需要が高まり、それに伴いオフィスの空室率も低下傾向が続いています。

 住宅地では9年ぶりの下げ止まりを見せた昨年から、ついに上昇に転じました。全国的にも上昇や下落幅の縮小がみられましたが、地域間には大きな差が出ています。三大都市圏が0.7%上昇、地方中枢都市が3.3%と前年以上に上昇する一方で、それ以外の地方圏は0.1%の下落となりました。高齢化と人口減少が進むなかで、より生活に便利でインフラの整備されている都市部に人が集まる状況がうかがえます。

 なお地価が全国で最も高かったのは、今年も東京中央区銀座4丁目にある「山野楽器銀座本店」で、1平方メートルあたり5550万円となり、3年連続で過去最高を更新しました。
<情報提供:エヌピー通信社>

交際費の支出総額5年連続増

全国の会社が支出した交際費の総額が平成24年度から5年連続で増加していることが、国税庁の会社標本調査で明らかになりました。交際費は税務調査で必ずと言っていいほど支出の実態について調べられる項目であり、支出額が年々増えるなかで税務署はより一層厳しい目で見るようになっています。

 国税庁が3月30日に公表した「会社標本調査」によると、平成28年度に全国の法人267万2033社が支出した交際費の総額は3兆6270億円で、前年度の3兆4838億円から4.1%の増加となりました。伸び率は26年度の5.4%、27年度の7.2%と比べると鈍化していますが、平成19年度から23年度まで5年連続で前年度比マイナスだった分を、24年度からの5年で穴埋めし、28年度に10年前(3兆6816億円)とほぼ同額に戻したことになります。

 会社が交際費の税務でまず押さえておかなければならないのは、交際費の損金算入額には制限が設けられている点です。損金にできる交際費の額は、①交際費のうち800万円以内の額、②交際費のうち「接待飲食費」の半額――のうちの高い金額となっています。どちらを選択すべきかは、接待飲食費だけで1600万円を超えるか否かで判断します。超えているならその半額の800万円以上を損金にできるので②が有利となります。なお、資本金1億円超の大企業は①は適用できないので、交際費の支出内容にかかわらず接待飲食費の半額を損金にすることになります。
<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)民間税制調査会:2018年度税制改正に対する見解を公表!

(前編からのつづき)

 また、森林環境税については、既に類似の税金が多くの自治体の法定外税として導入されており、例えば、長野県の森林税などは積み残し税額がすでに5億円にも達し、森林税の廃止までが提唱されており、こうしたなかで、このような税を「国税として徴収する意味が本当にあるのか疑わしい」との疑義を呈しており、導入を再検討すべきとし、仮に実施したら3年後にその成果を検証し、国民に選挙で問うべきだと主張しております。

 そして、「選挙で税制改正の争点を出して、きちんと争うべき」ことと「増税の必要性を、政治家(特に与党)は責任を持って主張すべき」ことも強く主張しております。
 民間税制調査会とは、大学教授や弁護士等で構成され、税制を主権者である納税者の目線から分析し、提言する研究政策提言集団で、政府による税制改正の説明は分かりにくく問題も多いとして、2018年度税制改正についても、重要なテーマに絞って、国民のための税制改革を提言するとしております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)民間税制調査会:2018年度税制改正に対する見解を公表!

民間税制調査会は、2018年度税制改正に対する見解を公表しました。
 それによりますと、2018年度税制改正において給与所得控除を見直し、年収850万円超の会社員等を増税する一方、自営業者等が減税となる所得税改革については、給与所得控除の上限やその適用される収入金額などが明確な根拠もなく決定したと指摘しております。
 今般の個人所得課税の見直しは、働き方改革などもっともらしい政策目的を掲げているものの、所得課税やその控除をどのように見直すかという基本的な戦略を欠いたものであると指摘しております。

 基礎控除については、合計所得金額2,400万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みに見直されますが、所得控除方式から税額控除方式に切り替えることで控除の恩恵の平準化は図られることから、本来、人的控除の適用に(納税者本人の)所得制限は設けるべきでないと指摘しており、所得控除のメリットである簡便さを放棄して消失型の所得控除にするならば、税額控除を全面的に採用する方向もあると提言しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

(前編からのつづき)

 さらに「外食の範囲」に『配達先での飲食料品の取り分け』を、「一体資産の適用税率の判定」に『一万円以下の判定』を、「区分記載請求書等の記載方法等」に『軽減税率の適用対象となる商品がない場合』と『相手方の確認を受けた仕入明細書等』の合計7問が追加されました。
 例えば、慶弔のお返しのカタログギフト販売についてQ&Aでは、同事業が贈与者による商品の贈答を代行することを内容としており役務の提供に該当するので、たとえ食品のみを掲載するカタログギフトの販売でも「飲食料品の譲渡」にはあたらず、軽減税率の適用対象外としております。

 また、『コーヒーの生豆の販売』では、「食品」とは人の飲用又は食用に供されるものをいうので、人の飲用又は食用に供されるコーヒーの生豆は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となるとしております。
 一方、『食品の加工』では、取引先から支給を受けて行うコーヒーの生豆の焙煎等の加工は役務の提供に該当するので、軽減税率の適用対象とはならないと説明しております。
 今後の軽減税率制度の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

国税庁は、国税庁ホームページ上に掲載している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編、個別事例編)」の掲載内容の改訂及び追加をしております。
 消費税の軽減税率制度に関するQ&Aは、消費税率10%への引上げと同時に実施される消費税の軽減税率制度を広く国民に理解してもらう必要があることから、国税庁において2016年4月に作成したものです。

 今回の更新では、制度概要編で2問の改訂を、個別事例編で新たに7問を追加しております。
 制度概要編の改訂項目は、「飲食料品を譲渡する際の包装材料等の取扱い」と「『飲食に用いられる設備』(飲食設備)の意義」です。
 前者では、例えば、飲食料品の販売に際して使用される包装材料等が、その販売に付帯して通常必要として使用されるものは、その包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当するとしております。
 一方、個別事項編では、「飲食料品の譲渡の範囲等」に『コーヒーの生豆の販売』、『カタログギフトの販売』、『食品の加工』を追加しております。

(後編へつづく)

《コラム》教育訓練給付金の拡充

◆教育訓練給付金はスキルアップの為の制度
 教育訓練給付金は雇用保険に加入している働く人が職業能力を高める費用の一部を補填される制度です。資格講座や専門学校の費用として受給できるものですが、いくらくらい支給されるのでしょうか。
 教育訓練給付金は語学やパソコンなど幅広い講座が対象の「一般教育訓練給付金」と看護師、社会福祉士等専門的な資格を目指す「専門実践教育訓練給付金」とがあります。専門実践教育訓練給付金は2018年1月から給付が10%上がり、費用の50%、年間40万円まで受給できるようになりました。支給期間は最長3年で、一旦自分で立替え、半年ごとに受け取ります。専門資格を取得すると費用の20%が上乗せされます。年間56万円が上限です。退職し、昼間の専門学校に通う45歳未満の方は雇用保険の基本手当が終了した後に受け取れる「教育訓練支援給付金」も50%から80%にアップされました。また、一般教育訓練給付金の給付率は費用の20%、10万円が上限で、受講終了日の翌日から1カ月以内にハローワークに申請します。

◆主婦や高齢者にも幅広く対象に
 65歳以上の高年齢者は2017年1月より現役世代と同じ教育訓練給付金の対象者となっています。所定労働時間が週20時間以上で31日以上雇用される見込みがあれば雇用保険に入る事ができるようになったからです。同じ会社で継続雇用され65歳になった人も65歳以上で再就職をした人も対象になります。
 また、2018年1月からは出産、育児、病気療養で雇用保険の受給延長をしていた人の延長期間は最長4年であったものが20年に延長されました。教育訓練給付金を受けられる人が会社を辞めて1年の間に妊娠、出産、育児で教育訓練が受けられず、その子供が現在18歳未満である時には受けられるようになりました。ですから極端に言うと1998年に退職した人も条件が合えば対象となるかもしれません。

◆給付金受給の手続き
 始めて給付金を受ける時には雇用保険の加入期間が専門実践教育訓練給付金は2年以上、一般教育訓練給付金は1年以上必要です。今働いているか、退職後1年以内の人が受給できます。2回目以降は加入期間が3年以上必要で申請にはハローワークに被保険者証を持参しましょう。