高額資産を取得した場合の仕入税額控除の特例措置の創設

概要

 事業者が事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額特定資産(※)の仕入れ等を行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用しないこととされました。
※ 「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。

 また、自己建設高額特定資産(※)については、当該自己建設高額特定資産の建設等に要した仕入れ等の支払対価の額(事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間において行った原材料費及び経費に係るものに限り、消費税に相当する額を除きます。)の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間の翌課税期間から、当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用しないこととされました。
※ 「自己建設高額特定資産」とは、他の者との契約に基づき、又はその事業者の棚卸資産若しくは調整対象固定資産として、自ら建設等をした高額特定資産をいいます。

適用開始時期

 平成28年4月1日以後に高額特定資産の仕入れ等を行った場合に適用されます。
 平成27年12月31日までに締結した契約に基づき、平成28年4月1日以後に高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、上記規定は適用されません。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

概要

 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。被相続人居住用家屋とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

 被相続人居住用家屋の敷地等とは、相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利をいいます。
 なお、相続の開始の直前においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。

適用要件

(1) 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

(2) 次のイ又はロの売却をしたこと。

イ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

ロ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の(イ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(ロ)及び(ハ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ) 相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ハ) 取壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

(3) 相続の開始があった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(4) 売却代金が1億円以下であること。
 この特例の適用を受ける被相続人居住用家屋と一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合や他の相続人が売却している場合における1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年目の年の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により行います。
 このため、相続の時から被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売却した年までの売却代金の合計額が1億円以下であることから、この特例の適用を受けていた場合で、被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年目の年の12月31日までにこの特例の適用を受けた被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の残りの部分を自分や他の相続人が売却して売却代金の合計額が1億円を超えた場合には、その売却の日から4ヶ月以内に修正申告書の提出と納税が必要となります。

(5) 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(6) 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

(7) 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
 特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

手続

この特例の適用を受けるためには、次に掲げる場合の区分に応じて、それぞれ次に掲げる書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(1) 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

イ 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕

ロ 売った資産の登記事項証明書等で次の3つの事項を明らかにするもの

(イ) 売った人が被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を被相続人から相続又は遺贈により取得したこと。

(ロ) 被相続人居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

(ハ) 被相続人居住用家屋が区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ハ 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」

(注)ここでいう「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の2つの事項を確認した旨を記載した書類をいいます。

(イ) 相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

(ロ) 被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等が相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

ニ 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し

ホ 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの

(2) 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

イ 上記(1)のイ、ロ及びホに掲げる書類

ロ 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」

(注)ここでいう「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の3つの事項を確認した旨を記載した書類をいいます。

(イ) 相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

(ロ) 被相続人居住用家屋が相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ハ)被相続人居住用家屋の敷地等が次の2つの要件を満たすこと。

A 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

B 取壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

 

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ジュニアNISAの創設

概要

 20歳未満の居住者等について、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡 所得等の非課税措置(いわゆるジュニアNISA)が創設されました。

 この改正は、平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1日 から当該未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用されます。

払出制限

 未成年者口座内の上場株式等は、当該未成年者口座を開設した日から居住者等がその年3月 31日において18歳である年(以下「基準年」といいます。)の前年12月31日までの間、課税 未成年者口座(居住者等が未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の営業所等に開設し た特定口座等をいいます。)以外の口座への払出しが制限されています。  また、課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等は、当該課税未成年者口座を開設した居 住者等の基準年の前年12月31日までは、その資金を未成年者口座又は課税未成年者口座におけ る投資に用いる場合を除き、原則として当該課税未成年者口座から払い出すことはできません。

 ただし、居住者等が、災害等の一定の事由(当該事由が生じたことにつき税務署長の確認を受 けた場合に限ります。)に基因して当該未成年者口座及び課税未成年者口座内の上場株式等及び 金銭その他の資産の全てを払い出す場合は、この限りではありません。

 未成年者口座及び課税未成年者口座の開設者が、基準年の前年12月31日までに、これらの口座 内の上場株式等及び預貯金等をこれらの口座から払出しをした場合には、当該払出しがあった日にお いて上場株式等の譲渡又は配当等の支払があったものとして、それぞれ次の金額に対して15%(他 に地方税5%)の税率により源泉徴収されます。

 ① 次に掲げる金額の合計額から、当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの 間に当該未成年者口座において取得した上場株式等の取得対価の額等の合計額を控除した金額

 イ 当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に、当該未成年者口座にお いて行われた上場株式等の譲渡に係る譲渡対価の額及び当該未成年者口座から課税未成年者口 座に移管がされた当該移管の時における上場株式等の価額(時価)の合計額

 ロ 当該払出しがあった日において当該未成年者口座において有する上場株式等の価額(時価)の 合計額

 ② 当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に当該未成年者口座におい て支払を受けた上場株式等の配当等の額の合計額

 

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非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)の改正

改正点の概要

 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA) について、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場 株式等の取得対価の額の限度額を 120 万円(現行:100 万円)に引き上げる改正が行わ れました。

 この改正は、平成 28 年分以後の非課税管理勘定について適用されます。

 

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国外居住親族に係る扶養控除等の厳格化

概要

 非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、当該親族に係る親族関係 書類及び送金関係書類を提出又は提示しなければならないこととされました。

 この改正は、平成28 年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28 年分以後の所得税について適用されます。

源泉徴収事務の注意点

⑴ 給与等又は公的年金等の源泉徴収において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除 又は障害者控除(以下「扶養控除等」といいます。)の適用を受ける居住者(納税者)は、当該親 族に係る「親族関係書類」を源泉徴収義務者に提出する扶養控除等申告書等に添付し、又は その申告書等の提出の際に提示しなければならないこととされました。

 「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類で、その非居住者がその居住者(納税者) の親族であることを証するものをいいます。

 ① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券の写し

 ② 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その親族の氏名、生年月日及び住所又は居 所の記載があるものに限ります。)

⑵ 給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者(納 税者)は、「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出する扶養控除等申告書に添付し、又はその 申告書の提出の際に提示しなければならないこととされ、非居住者である配偶者に係る配偶者特 別控除の適用を受ける居住者(納税者)は、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を源泉徴収 義務者に提出する配偶者特別控除申告書に添付し、又はその申告書の提出の際に提示しなければ ならないこととされました。

 「送金関係書類」とは、次の書類でその居住者(納税者)がその非居住者である親族の生活費又 は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

 ① 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその居住者(納税者)か らその親族に支払をしたことを明らかにする書類

 ② いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が 交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に 相当する額をその居住者(納税者)から受領したことを明らかにする書類

⑶ 確定申告において、非居住者である親族に係る扶養控除等又は配偶者特別控除の適用を受ける 場合には、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提 出の際提示しなければならないこととされました。ただし、上記⑴又は⑵により提出し、又は提 示したこれらの書類については、確定申告書に添付又は提示する必要はありません。

⑷ 上記⑴~⑶において、「親族関係書類」又は「送金関係書類」が外国語により作成されている 場合には、訳文を添付等する必要があります。

美術品等についての減価償却資産の判定の改正

美術品等についての減価償却資産の判定の改正の概要

 改正前の通達の取扱いでは、①美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、②取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していました。

 改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしました。

 なお、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能です。

 取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。

「時の経過によりその価値が減少することが明らかな」美術品等

 取得価額が1点100万円以上である美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として減価償却資産に該当するものとしては、例えば、次に掲げる事項の全てを満たす美術品等が挙げられます。

①会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。

②移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。

③他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

 なお、この例示に該当しない美術品等が「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当するかどうかの判定は、これらの事項を参考にするなどして、その美術品等の実態を踏まえて判断することになります。

平成27年1月1日より前に取得した美術品等の取扱い

 今回の通達改正は過去に遡って資産区分の変更を行うものではありませんので、改正後の通達の取扱いにより資産区分を減価償却資産へ変更する美術品等については、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度(以下「適用初年度」といいます。)から減価償却を行うことになります。

 また、この場合の償却方法は、その美術品等を実際に取得した日に応じて旧定額法、旧定率法、定額法、250%定率法又は200%定率法によることになりますが(法令48①、48の2①)、取得日を適用初年度開始の日とみなすこととして定額法又は200%定率法を選択できるほか、中小企業者等にあっては租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)の規定を適用することもできます(経過的取扱い)。

 

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ふるさと納税

ふるさと納税の概要

 都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで、原則として所得税と合わせて全額が控除されます。

 なお、所得税・住民税から寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

 

「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係

 寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。なお、その年中に他に一時所得に該当するものがないときには、課税関係は生じません。

 所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。
 ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。
 したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。

少人数私募債

従前の取り扱い

同族会社が発行した社債の利子をオーナーが受け取った場合には、所得税15%+住民税5%の源泉分離課税で課税関係が完結します。そのため、総合課税の所得税率が20%を超えていれば、同族会社から役員報酬のみを受け取るよりも、その役員報酬の一部を社債の利子に組み替えて受け取ったほうが納税額は少なくなり、所得税の節税のために少人数私募債は利用されてきました。

平成25年度税制改正

同族会社が発行した社債(特定公社債に該当するものを除く)の利子等で、その株主(役員)等が支払を受けるものは、総合課税の対象とされることとなったものの、改正の対象は平成28年以後発行分の社債とされたことから、平成27年12月31日までに発行した少人数私募債については、平成28年以降であっても分離課税が適用されるとされていました。

平成26年度税制改正

「平成27年12月31日以前に発行された公社債」の範囲から、同族会社が発行した社債が除外されることとなるため、同族会社の株主(役員)等が支払を受ける少人数私募債の利子は、平成27年12月中に支払を受けるべきものであれば20%(所得税15%、住民税5%、所得税には復興特別所得税を付加)の源泉分離課税が適用されますが、平成28年1月以後に支払を受けるべきものからは総合課税が適用されることとなります。

扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」 の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A

Q1 扶養義務者(父母や祖父母)から生活費又は教育費の贈与を受けましたが、贈与税の課税対象となりますか。

「扶養義務者」相互間において「生活費」又は「教育費」に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象となりません。

「扶養義務者」とは、次の者をいいます。

  1. 配偶者
  2. 直系血族及び兄弟姉妹
  3. 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
  4. 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断します。

2 「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいいます。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。)を含みます。

3 「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません。

 

Q2 贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、どのような財産をいいますか。

贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいいます。

Q3 数年間分の「生活費」又は「教育費」を一括して贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産であり、したがって、数年間分の生活費又は教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費又は教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費又は教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります。

 

Q4 婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、又はそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象となりません。

なお、贈与を受けた金銭が預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費(家具什器等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります。 (注)

1 子が親から金品を受け取った場合は、原則として贈与税の課税対象となります。ただし、扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるものであり、必要な都度直接生活費に充てるために贈与を受けた財産については、贈与税の課税対象となりません。

2 個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

 

Q5 子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合、贈与税の課税対象となりますか。

結婚式・披露宴の費用を誰(子(新郎・新婦)、その親(両家))が負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々であると考えられますが、それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないことから、贈与税の課税対象となりません。

 

Q6 出産に当たって子が親から検査・検診、分娩・入院に要する費用について贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となりますか。

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。)も含まれます。

したがって、出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合には、これらについては治療費に準ずるものであることから、(保険等により補てんされる部分を除き、)贈与税の課税対象となりません。

また、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに必要なものの購入費に充てられている部分については、贈与税の課税対象となりません。

(注) 個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

 

Q7 贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、どのようなものをいいますか。

贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、子や孫(被扶養者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限りません。

(注) 個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

Q8 子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合、贈与税の課税対象となりますか。

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除きます。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなります。

したがって、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象となりません。

 

 

 

 

小規模宅地等の特例対象面積の拡大

概要

①被相続人等の自宅の敷地が80%減額される特定居住用宅地等について、限度面積が240平米から330平米まで拡大されます。 ②特例の対象と して選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、 それぞれの適用対象面積まで適用可能となります。 改正後は特定事業用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等の 400 平米と特定居住用宅地の 330 平米の合計 730 平米までの 80%評価減が可能になります。

適用時期

平成27年1月1日以後の相続から適用になります。