【時事解説】自動車の未来を変えるMaaSとは? その1

車といえば、多くの人が「買って、乗るもの」と認識しています。が、いま、この常識が変わろうとしています。車の価値が「所有」から「利用」に変化しつつあります。そのキーワードがMaaS(マース)です。MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービスの頭文字をとったもので、自動車などのモビリティー(移動手段)をサービスとして提供するビジネスをいいます。

 なぜ、いま、MaaSが注目されているのでしょうか。それは、MaaSは社会全体に大きな変化をもたらす可能性があるからです。すでに始まっているサービスには、カーシェアリングやライドシェアなどがあります。近い将来では、スマホの画面を数回タッチするだけで、車が玄関先に着き、目的地まで自動で運転してくれるといったことも可能になるといわれています。

 そして、さらにサービスが充実すれば、わざわざ自動車を買わなくても(所有しなくても)、不便にならない社会が訪れます。結果、車については、買うことよりもサービスを利用することがメインになることが考えられます。

 近年、電車やバスなどの公共交通網の発達は目まぐるしいものがありますが、地域によってはまだ車がないと不便なところもあります。加えて、高齢化が進んだため、目的地までの歩く距離をなるべく減らしたい、といったニーズは年々増えています。また、高齢ドライバーの運転事故が社会問題にもなっています。こうした社会的なニーズや課題に応えるといった面でMaaSには多くの可能性があります。実際、市場規模は2030年までに欧米中で1兆5,000億ドルに成長するとの予測もあります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業におけるIT利活用の現状と課題 その2

中小企業におけるIT利活用とはどのような取組みが行われているのでしょうか。そこで「中小企業白書2018年版」においてIT活用により付加価値向上を実現する企業として紹介された有限会社まるみ麹本店(本社:岡山県総社市、従業員24名)の取組みについてみていきましょう。

 有限会社まるみ麹本店は、味噌、甘酒等の麹を扱う醸造食品製造・販売事業者です。同社では製造、営業それぞれでITを活用しています。

 製造面では、これまでは経験と勘で調整していた麹の発酵工程における温度管理について、連続的に温度記録が取れる機械を導入し、各工程における温度データを蓄積して製造ノウハウを「見える化」しました。また、製麹温度管理のために温度センサーと空調設備を連動させ、異常検知時にメール通知をする自動化を進めました。こうした取組みによって、夜中の温度管理等の長時間労働の負担を軽減、さらに麹の品質安定にもつなげることができました。

 営業面では、これまで通販等個人向け販売に力を入れてきたことを受け、顧客との関係を密にして顧客サービス向上を図るためにCTI(コンピュータと電話の機能を連携するシステム)を導入。これにより画面に表示される購買履歴等を参考にしつつ、きめ細かな顧客対応が素早くできるようになり、また注文時に発生する事務作業の負担軽減のため、一元的に注文を管理する販売管理システムを導入。これら一連の取組みによって同社ではインターネット通販の拡大や売上増加を実現しています。

 このように製造面、販売面の両方にITを活用することで、業務の効率化だけでなく、品質の安定や売上増加といった効果も期待できるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】中小企業におけるIT利活用の現状と課題 その1

中小企業において人手不足が深刻化する中、労働生産性向上に向けて中小企業のIT利活用が求められています。

 「中小企業白書2018年版」に基づき中小企業における代表的なITツールの利活用状況をみると、「十分利活用されている」と回答した企業の割合は、「一般オフィスシステム(ワード、エクセル等)」と「電子メール」で5割強であり、「給与・経理業務のパッケージソフト」で約4割、「調達、生産、販売、会計などの基幹業務統合ソフト(ERP等)」や「電子文書(注文・請求書)での商取引や受発注情報管理(EDI等)」で約2割となっています。このことから中小企業のITツール利活用は未だ不十分であることがわかります。上記の代表的なITツールについて、「十分利活用されている」と回答した企業の割合を売上規模別にみると、どのツールも売上規模が小さくなるほど活用割合が低下しています。

 つぎに、ITの導入・利用を進めようとする際の課題を回答割合の高い順に見ると、「コストが負担できない」と「導入の効果が分からない、評価できない」が約3割と高く、「従業員がITを使いこなせない」が約2割となっており、費用対効果と人材面が主要な課題となっていることがわかります。

 社外におけるITに関する事柄の日頃の相談相手がいるかどうかについて回答割合の高い順にみると、「地元のITメーカ・販売会社」が約4割と最も高く、次いで「公認会計士・税理士」と「地元以外のITメーカ・販売会社」が25%前後となっています。

 このように中小企業のIT利活用に向けた課題克服に向けては、相談相手を見つけ、その相談相手からIT導入の効果や評価について教わることが重要となるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:民泊により生じる所得の課税関係等を公表!

(前編からのつづき)

 民泊の性質や事業規模・期間などを考慮しますと、住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことにより得る所得は、原則として雑所得に区分されるとしております。
 ただし、不動産賃貸事業者が、一時的な空き部屋を利用して民泊を行った場合に得る所得は、不動産所得に含めてもよく、専ら民泊で生計を立てるなど、民泊が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は、事業所得に該当するとしております。

 今回の課税情報には、上記のほか、必要経費の計算例、住宅借入金等特別控除の適用関係や居住用財産の3,000万円の特別控除の適用関係などが解説されております。
 消費税については、民泊において宿泊者から受領する宿泊料は、ホテルや旅館などと同様に課税対象となりますが、当課税期間の基準期間の課税売上高が1千万円以下の場合は、当課税期間は原則として免税事業者に該当しますので、消費税の申告・納税義務はないとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:民泊により生じる所得の課税関係等を公表!

国税庁は、「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)により生じる所得の課税関係等について(情報)」を公表しました。
 それによりますと、自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。

 民泊は、宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供が宿泊施設の提供者に義務付けられており、利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、家具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費、日用品費、観光案内等の役務提供の対価などが含まれます。
 また、民泊に利用できる家屋は、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者等の居住の用に供されている家屋に限定されており、その宿泊日数も制限されております。
 原則として、所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は不動産所得に区分されますが、民泊は、上記の点において、一般的な不動産の貸付け(賃貸)とは異なるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

《コラム》投資促進税制と2分の1簡便償却

◆リース税額控除とは
 中小企業の設備投資を促進させるために、「中小企業投資促進税制」として、機械や器具備品を新規に取得した場合にその取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除のいずれかを選択適用で認めてきました。ただ資金に余裕のない中小企業の場合は新たな設備投資をリースで行う場合が多いため、リースの場合は税額控除だけを認めてきました。これが所謂「リース税額控除」です。

◆器具備品はダメ
 リース会社も大いに「リース税額控除」を宣伝し進めてきました。その中心となったのは、パソコンサーバーとコピーやプリンターFAXが1台で出来る複合機です。
 ところが平成29年の税制改正でこのパソコンサーバーと複合機が「中小企業投資促進税制」の対象資産から外されました。
 どういうことかと言うと、対象資産から「器具備品」が除外されパソコンサーバーと複合機は「器具備品」ということで除外されたのです。そうすると残るのは「機械装置」だけとなり、製造業以外の業種ではほとんど使えなくなりました。当然30%の特別償却も使えなくなってしまいました。

◆設備投資はいつ行われるのか?
 中小企業が設備投資を行う時期は、決算間際です。多くの中小企業は利益が出ることが明確になった時点で来期に向け設備投資を行おうとするのです。ところが現在の税制では決算間際に設備投資をしても減価償却が月数按分され1/12しかできず、節税効果が少ないため「投資促進税制」で30%の特別償却や7%の税額控除を認めてきたのだと思います。
 ところが、中小企業が必要とする設備投資は業種業態により様々です。それを行政がこれなら良くてあれはダメ等と口をはさむから「投資促進税制」と銘打っても投資が促進されないのです。

◆2分の1簡便償却の復活を
 かつて2分の1簡便償却という制度がありました。これは決算間際に購入したどんな資産(建物は除く)でも年間の償却額の半分は償却できるというものです。1998年橋本内閣の時に廃止され一気に景気が冷え込んだことがあります。中小企業の投資を促進するなら2分の1簡便償却の復活が望まれます。

《コラム》来年には法規制?ふるさと納税をめぐる動き

◆年末の恒例になりつつあるふるさと納税
 そろそろ年末の足音も聞こえてきました。来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について大きく変更がある予定となっています。
 その中の1つに「ふるさと納税」があります。ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」という方針を示しました。

◆今は「高すぎるもの」も見逃されている
 平成30年4月には、ふるさと納税は「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。何故発表したのか疑問です。

◆来年法規制……という事は今年は?
 平成30年9月、総務省はふるさと納税の返礼品について、規定外のものを扱った自治体に対し、ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。
 これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、現在駆け込み需要が過熱しています。ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、ゲリラ戦術の様相も呈しています。

◆配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!
 ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、今年の収入・所得・控除によって決まります。今年は配偶者特別控除の変更があり、去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。計算シミュレーション等で確認しましょう。

 

消費増税分のポイント還元、コンビニFCも

 政府は来年10月の消費増税に備え検討を進めるキャッシュレス決済時のポイント還元制度で、コンビニエンスストアでの買い物も対象に含める方針です。セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど大手とフランチャイズ(FC)契約を結ぶ個人経営の店舗を、政府支援が必要な「中小企業」とみなして補助金を出します。消費者の使い勝手を良くすることで、クレジットカードなどキャッシュレス決済の普及を促したい考えです。

 キャッシュレス決済のポイント還元は、増税後の消費落ち込みに備え、政府が中小小売りなどを対象に検討している制度。消費税還元セールの解禁で大手スーパーは自力で一律値上げを回避できますが、経営体力のない地域の小規模な小売店や飲食店などは、増税後の価格維持のために当面の間は公的支援が必要と判断。キャッシュレス決済の端末費用を補助して導入を進め、決済金額の2%分のポイントを国の負担で消費者に還元する考えです。

 ただ、地域の小規模店だけでは、消費者にとって使い勝手が悪くカードなどキャッシュレス決済の手段が普及しない可能性があります。そこで、政府は多くの消費者が日常的に使用するコンビニも対象に含める方向で調整。コンビニでは既にキャッシュレス決済の端末が普及しており、「新制度を円滑に始められる」(経産省幹部)との判断も働きました。課題は「大企業」とみなされる直営店の扱い。政府は法律上中小企業とみなせるFCに限り、直営店については本社の負担で同様のポイント還元制度をするよう要請。ただ、大手3社はともかく地方展開する中規模なコンビニでは経営負担が重く、調整が難航する可能性もあります。

<情報提供:エヌピー通信社>

住宅エコポイント復活へ

省エネ性能の高い住宅を新築・リフォームした際にポイントが付与される「住宅エコポイント制度」が、消費増税を機に4年ぶりに復活する見通しです。増税に伴う駆け込み需要の反動減を抑えるため、国土交通省が制度の導入に向けて検討に入りました。

 住宅エコポイント制度とは、環境に配慮した住宅の新築やリフォームを行った人に対し、商品やサービスと交換できるポイントを付与する制度。これまで2010年、12年、15年に期間限定で実施されたことがあり、今回で3度目の復活となります。

 制度の対象となる工事や付与ポイントは実施時期ごとに異なります。15年には一定の省エネ基準を満たした住宅の新築に1戸あたり30万ポイント、窓や外壁の断熱化といったリフォームに1戸あたり最大30万ポイント、耐震改修でさらに15万ポイント上積みして最大45万ポイント付与する制度でした(1ポイント=1円相当)。

 発行されたポイントは、省エネ商品や地域振興券に交換できたほか、ポイントの対象となった工事の施工者が追加的に実施する工事の費用に充てることもできました。新制度の対象工事やポイント数については国交省と財務省が協議して決めます。

 個人がエコポイントを商品交換や追加工事費用に充てた場合、その金額は基本的に生命保険の一時金や競馬の払戻金と同じ「一時所得」として所得税の課税対象となります。一時所得には50万円までの特別控除枠があり、他の一時所得と合わせて50万円を超えると課税されます。なお、そのポイントが業務のために使う住宅の新築・リフォームに伴って付与されたのであれば、事業所得または不動産所得として計上することになります。

<情報提供:エヌピー通信社>

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

(今月の税務トピックス①よりつづく)

≪利用方法≫
①② 自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参
③ いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力
④ バーコード(納付書)によりレジで納付
≪利用可能コンビニ≫
 ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)等

Ⅱ 適用関係(平成30年度改正国通規附則③)
 上記Ⅰの改正は、平成31年1月4日以後に納付の委託を行う国税について適用され、同日前に委託を行う国税については、なお従前のとおりとされます。

おわりに
 QRコードを利用したコンビニ納付による納税可能な税金は、あくまでも30万円以下の国税とされます。
 「開いてて良かった」のキャッチフレーズで全国各地で店舗展開をしているコンビニ納付の利用手段の拡充は、納税者にとっては便利でしょう。しかし、早朝・深夜の時間帯などのセキュリティ面から考えるとコンビニの経営者にとっては頭の痛い問題でしょうね。