【時事解説】二重ローンを避けるノンリコースローン その1

地震などの大災害で住宅が毀損すると二重ローンの問題が浮上します。二重ローンとは住宅ローンで建てた家が地震で壊れてしまい、そのローンが残っているにもかかわらず新住宅建設のために新たにローンを借りなければならない状態を言います。地震にかかる二重ローンを回避するためには、借入者は地震保険を掛ければいいのですが、地震保険は保険料が高く、それほど普及していないのが現状だと思います。二重ローンはもっぱら借入者の自己責任か公的補助の問題で片付けられることが多いのですが、(資金を)融資する金融機関の側にも改善すべき点があるように思います。

 当然のことですが、住宅ローンは住宅に住む人に融資します。ローンで建てた住宅は担保には入れますが、返済はあくまで資金を借りた人が行います。したがって、担保に入れた住宅を売却してローンを返済したとき、その住宅が値下がりして、ローンが残ってしまえば、住宅がなくなってしまっても、借入人はローンを返済し続けなければなりません。こうした融資の対象となった物件がなくなっても、借入人がローン返済の義務を負い続けるローンをリコースローン(リコースとは「遡及する」という意味です)と言います。日本ではこうした形のローンが一般的であり、ローンとはこういうものだと思われているかもしれませんが、借入者に遡及しないノンリコースローンという融資形態もあります。

 ノンリコースローンは事業融資なら、あるプロジェクト融資を行ったとき、プロジェクトが失敗すれば、融資したことによる損失は借入人ではなく貸出人が引き受けるローンです。住宅ローンであれば、住宅がなくなれば、借入人はそれ以上のローンの返済義務を負わないというものです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

(前編からのつづき)

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(63.1%増の910件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から18.7%増の2,953件となりました。
 処理件数は、「取下げ」247件、「却下」186件、「棄却」1840件、「一部取消」148件、「全部取消」54件の合計2,475件(前年度比26.3%増)で、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.1ポイント減の8.2%と大きく減少しました。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(32.5%減の54件)や法人税(21.1%減の30件)などが減少したことから、全体では前年度を13.5%下回る199件となりました。
 訴訟の終結件数は、「取下げ等」18件、「却下」17件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」10件、「国の全部敗訴」11件の合計210件(前年度比14.3%減)で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.5ポイント増の10.0%と大きく上昇しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所は、再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表しました。
 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。

 概要によりますと、2017年度(2018年3月までの1年間)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.9%となりました。
 再調査の請求の発生件数は、消費税(30.8%増の633件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から8.4%増の1,814件となりました。
 処理件数は、「取下げ等」208件、「却下」200件、「棄却」1,105件、「一部取消」173件、「全部取消」40件の合計1,726件(前年度比4.4%減)で、納税者の主張が一部でも認められたのは計213件、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を5.5ポイント上回る12.3%となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

(前編からのつづき)

 そのために2019年10月の消費税率10%への引上げを確実に実施するとともに、ポスト10%の引上げに係る議論を早期に開始することを求めております。
 この提言では、より現実的な成長見通しに基づいて、内閣府試算(2027年度まで)を超える超長期の財政の姿を描くため、2045年度までの長期財政試算を行いました。
 その結果、ベースシナリオ(全要素生産性上昇率が2018年度以降、将来にわたって平均1.1%で推移)では、税率10%引上げ後、年1%ずつ税率を上げると、2024年度にPBが黒字化し、2045年度までPB黒字化を維持するために必要な消費税率は17%となるとしております。

 経済同友会では、「国民の納得感と安心感を得られる改革を実現するためには、超党派で国民的議論を喚起し、検討、政策合意し、たとえ政権交代しようとも確実に財政健全化を達成すべき。そのためには、税と社会保障の一体改革のビジョンと具体策を再構築することが必要。将来世代に大きな負担を残すことなく、痛みを伴う改革に取り組むためには、国民的な合意が不可欠」との考えを示しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

経済同友会は、財政健全化計画に関する提言を発表しました。
 それによりますと、財政の健全化のため、国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化を団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年度より前に実現すべきことを強く主張しております。

 また、社会保障関係費の伸びを抑える歳出削減が重要と指摘し、具体的には2019~2021年度の3年間で、社会保障関係費の伸びを1.5兆円以下とし、団塊世代が後期高齢者になり始める2022年度より前に、これまで以上に厳しい歳出抑制に取り組むべきだとしました。
 その際、企業の負担増によって安易に財源を捻出するのではなく、まずは給付費の増加の抑制や適正化を目指すべきことも提案しております。
 そして、今後も増加が予想される社会保障関係費の財源としては、税収が安定的で、国民が広く薄く負担する消費税が望ましいと指摘しております。
 税率の引上げに際しては、毎年1%ずつ自動的に引き上げること等によって、増税前の駆込み需要やそれに伴う反動減を抑制すべきとの考えも示しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》自筆証書遺言保管制度の新設と遺言書の方式緩和

◆自筆証書遺言保管制度の新設
 平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。
 新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。

◆紛失・改ざんなどのリスク
 自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。

◆相続手続きと相続税申告をスムーズに
 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。なお、保管制度の施行日は今後政令で定められることになりますが、施行前には法務局に遺言書の保管を申請することはできませんのでご注意ください。

◆遺言書の方式緩和
 現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。
 財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。この改正は平成31年1月13日から施行されます。

《コラム》パート主婦 今年の年収は?

◆今年の配偶者控除改正の影響は?
 2018年の1月から配偶者控除の仕組みが変わり、年収に対する税額控除ラインが上がりました。これまで通り配偶者(普通は妻)の年収が103万円を超えると配偶者特別控除が適用にはなりますが、控除額が減額され始めるのが150万円(所得85万円)超からになりました。配偶者の年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6千円(所得123万円)で0になります。
 また、高額所得者の配偶者(普通は夫)の年収が1120万円(所得900万円)以下ならば控除額は38万円ですが、この額を超えると控除額が下がり年収1220万円(所得1千万円)超で控除はなくなります。高額所得者世帯で影響が出るところがありそうです。

◆税制以外の年収制限要因
 税制面では控除額減額開始が年収150万円に引き上げられましたが、妻が単純に収入を増やしたいというわけではありません。夫の勤務する企業で扶養手当が支給される場合にその手当を支給する基準を年収103万円以下と定めている企業が多くあり、その金額を超えると手当が支給されなくなってしまいます。一般的に月数万円位が支給されているので収入を増やしても手当が無くなってしまう方が影響は大きいのです。
 また、社会保険の被扶養者は年収130万円未満とされていてそれ以上の収入になると自分で勤務先の社会保険に加入するか国保加入する事になります。さらに501人以上の企業では年収106万円を超えると企業の社会保険に加入しなければなりません。
 毎年秋になるとその年の年収を調整しなければならない妻の事情は今年も変わっていないようです。

◆社会保険加入に積極的な面も
 一方で2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となった時に、保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた政府は加入者の増加数に驚いたそうです。新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。保険料負担をしても収入を増やして手取りを増やせる位働こうと考える人もいるという事です。
 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やしたい人も増えている側面もあるのでしょう。

年間平均給与 前年比10万円増

 国税庁が公表した2017年の民間給与実態統計調査によると、給与所得者数は4945万1千人で前年より76万人増加し、5年連続で過去最高を更新しました。また平均給与(賞与含む)は432万2千円で前年より10万6千円増えています。

 民間給与実態調査は、1949年から毎年実施されているもので、国は租税収入の見積もりや租税負担の検討、税務行政運営などに活用しています。1年間の従業員と役員の給与事情を「給与階級」「事業所規模」「企業規模」などの区別ごとに知ることができます。

 集計の対象となるのは、民間の事業所に勤務する給与所得者で、正規・非正規を問わず、パートやアルバイトも含まれます。ただし、全従業員について源泉所得税の納税がない事業所の従業員、労働した日にその都度給与の支給を受ける者は含まれていません。国家公務員や地方公務員、公庫職員ら官公庁で働く者も集計の対象外です。

 正規職員にみる男女差では、男性547万5千円(同1.4%増)、女性376万6千円(同0.9%増)で男女の格差はさらに広がりました。また非正規では男性229万4千円(同0.7%増)、女性150万8千円(同1.8%増)と、正規との給与格差が大きいことが分かっています。

 平均給与は調査が開始されてから年々上がり、1997年には467万3千円になりましたがそれを頂点として翌年からは減少傾向が続き、2013年より再び上昇に転じています。

 今回の平均給与額は前年より10万6千円増加しており、これは08年の数字(430万円)に近いものです。ところが1989年の平均年間給与額と比較すると、給与の中身は大きく異なっています。89年の給与に占める賞与の割合は26.4%でしたが、2017年は18.7%まで縮小しています。賞与を含まない平均年間給与・手当は318万4千円から364万2千円にアップしているものの、平均賞与は84万円から68万円まで下がりました。
<情報提供:エヌピー通信社>

消費増税対策でクレカ払いにポイント

 来年10月に予定される消費税率10%への引き上げに備えた経済対策で、政府は中小店舗でクレジットカードなどキャッシュレス決済をした消費者に対し、購入額の2%分をポイント還元する制度の検討に入りました。増税後の景気下支えを狙うと同時に、中小店舗のキャッシュレス決済の導入拡大にもつなげたい考えです。

 クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が対象。増税前後の税率差である2%分について、ポイントを発行するクレジット会社などを通じて消費者に還元し、クレジット会社の負担分に対し政府が補助金を出します。

 地域の商店街を支える中小店舗は財務基盤が弱く、消費増税による景気落ち込みの影響を受けやすいのが現状です。政府はこうした店舗に特化して経営を支援する考え。また、中小店舗では、カード会社に支払う手数料や端末設置の負担が重く、キャッシュレス決済が広がっていません。日本では中国や韓国に比べキャッシュレス決済の割合が小さく、経産省はこのポイント還元制度を中小店舗への導入促進の呼び水にしたい考えです。必要な端末も配布する方針。年末に向けて策定する2019年度当初予算案に盛り込む見通しで、関連費用は数千億円規模に膨らむ可能性があります。

 ただ、どのようなポイントで還元するのかやカード会社への補助の仕組みなど実務面での課題は多くあります。そもそも、増税分の2%分を国がそのまま消費者に還元してしまえば社会保障の充実などの財源がなくなってしまいます。経産省が主導する案ですが、財務省内からは「上げた分を下げるとなれば、何をやっているんだか分からない」(幹部)と冷ややかな声も漏れています。
<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 上記②では、事業者の事務負担を軽減する観点から、95%ルールを復活させるべきとしております。
 提言では、IoTやAIなどの技術を取り入れた新たな経済社会「Society5.0)」の実現に向けて、研究開発税制の拡充や税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進等が重要と指摘しております。

 研究開発税制については、法人税額の控除上限を25%から30%へ引き上げるほか、期限切れを迎える控除率10%から14%の部分について延長・拡充することが必要であるとしました。
 国際課税については、米国における税制改正により外国子会社合算税制において合算課税や事務負担が増大するおそれがあるとして、その見直しやBEPS(税源浸食と利益移転)勧告の国内法制化、租税条約ネットワークの充実について慎重に検討すべきとしました。 

 経団連では、「経済界としても民主導のイノベーションを通じて経済の好循環に引き続き貢献していく」とし、提言は与党税制調査会などに要望していくとしております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。