養育費、賠償金の逃げ得を防止

法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会が、裁判で養育費や賠償金の支払いを命じられても応じない債務者の勤務先や預貯金口座について、裁判所が金融機関に情報提供を命じる新制度を柱とする改正要綱案をまとめました。法務省は、10月の法制審議会の総会で法相に答申し、改正法案を今秋の臨時国会への提出を目指す方針です。

 支払いに応じない人の預貯金などを差し押さえるためには、現行制度では元配偶者らが自ら金融機関を特定し、情報を開示してもらわなければなりません。しかし、金融機関に情報を求めても個人情報の壁があり、泣き寝入りせざるを得ないケースがほとんどです。

 子どものいる夫婦の離婚は年間10万件を超えていますが、厚生労働省の調べでは養育費を受け取っている母子家庭は24%にとどまっています。犯罪被害者に対する賠償金についても支払いに応じない加害者が多いのが現状です。日弁連の2015年の調べでは、賠償支払い義務が裁判で確定した164件のうち全額賠償されたのは70件にとどまっています。

 要綱案では、裁判で支払いを命じられた判決や公正証書などに基づいて債権者が申し立てれば、裁判所が金融機関に債務者の預貯金や株式情報を取得できるようにします。また市町村などの公的機関に対しても土地・建物や勤務先の情報を得られるようにするとのことです。これらの情報を基に、債務者の財産差し押さえを申し立てができるようになります。

 一方でこの新たな差し押さえ制度は、消費者金融などの借金を負った債務者が強引な取り立てを受ける事態になる恐れも懸念されています。要綱案では、財産の差し押さえから債権回収までの期間を現行の1週間から4週間に延長し、債務者が債権回収の禁止を申し立てる期間を確保できるようにしましたが、どれほどの効力を発揮するのかは未知数と言えます。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 関係者の間では、スポーツの中でゴルフだけが消費税と施設利用税との二重課税で公平性を欠いているなどとして廃止を主張しております。
 要望の背景には、ゴルフ人口の減少にあるとみられ、1993年に約1,480万人でしたゴルフ場利用者は、2016年には約550万人と減少しており、利用単価も大きく減少し、業界では少しでも負担を減らしてゴルフ場に客を呼び戻したい事情があります。
 しかし、課税側である都道府県と交付金を受ける市町村は、廃止には反対しており、ゴルフ場の開発許可や周辺の道路整備にかかる行政サービスを賄う費用として欠かせないとしております。

 ゴルフ場利用税の税収は年間約459億円(2016年度決算額)に及んでおり、そのうち7割がゴルフ場のある市町村に交付され、財政状況がひっ迫している地方財政にとっては貴重な財源であるとして、総務省も自治体を後押ししております。
 ゴルフの人気回復を狙い、ゴルフ場利用税の廃止要望をする業界側と財源を死守したい自治体の攻防が続いており、今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

文部科学省は、2019年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、今回もゴルフ場利用税の廃止を要望しております。
 2016年のリオデジャネイロ五輪で、112年ぶりにゴルフは復活し、東京五輪でも実施が決まっていることから、幅広くゴルフの振興を図り、国民が身近に親しむ環境を整備する上で重要だとして、ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、同税廃止に向けた動きを強めております。

 ゴルフ場利用税の前身は、1940年に国税として導入された入場税で、その後、1954年にパチンコ店やマージャン店などとともに、娯楽施設利用税という地方税となりました。
 1989年の消費税創設に際して、国税の入場税は廃止され、娯楽施設利用税もパチンコ・麻雀・射的場などの利用に係るものは廃止されましたが、ゴルフ場の利用行為に対してだけは、ゴルフ場利用税と名称変更して存続しております。
 現状、国体競技選手、年齢18歳未満の者や70歳以上の高齢者、障害者などは非課税ですが、その他の利用者には一人1日あたりの施設利用に対して800円(標準税率)~1,200円(制限税率)で課税されております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)内閣府:2019年度税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

 そして、結婚・妊娠・出産・育児に係る払出しを行う信託スキームを使い、子・孫・甥・姪へ贈与を行った場合には、贈与税の課税対象としないこととします。
 さらに、2019年3月31日までとなっている適用期限の恒久化を要望しております。

 少子化対策については、現在でも様々な取組みを行っているものの、「合計特殊出生率」は1.26(2005年)から1.43(201年概数)まで上昇しましたが、先進国の中でも低い水準となっております。
 各種調査によりますと、結婚や出産に踏み切れない理由として経済的理由等が挙げられていることから、経済的要因等の阻害要因を取り除くための措置が必要だとしております。
 その他、子ども・子育て支援における制度の見直しに伴う税制上の所要の措置を求めております。
 これらの幼児教育の無償化を進める上での法改正を行う場合、あわせて非課税措置及び差押禁止措置などの税制上の所要の措置を講ずることも要望しております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)内閣府:2019年度税制改正要望を公表!

 内閣府は、2019年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、地方創生を推進し、企業から地方公共団体への寄附を安定的かつ継続的に確保するため、税制措置(企業版ふるさと納税)の拡充・延長等を要望しております。

 具体的には、2019年度までとなっている税額控除の特例措置を5年間(2024年度まで)延長することや特定の寄附に係る税額控除割合を引き上げることを要望しました。
 これまでに494の地方創生事業を認定し、総事業費は1,262億円にのぼるなど一定の効果があったといえる一方で、同税制を活用している地方公共団体数は344団体(19.8%)にとどまっており、制度の活用が十分とはいえない状況にあるとしております。

 また、子・孫・甥・姪の結婚・妊娠・出産・育児を支援し、少子化問題に対応するために、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の対象の拡充を要望しております。
 本措置の対象を、おじ・おばから甥・姪に対する贈与まで拡充し、信託の機能を活用します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【助成金補助金診断ナビ】新着助成金ニュース

【経済産業省】
●平成30年度予算 「地域経済牽引事業支援事業費補助金(戦略分野における地域経済牽引事業支援事業)」 2次公募
 地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律(平成29年法律第47号)(以下「地域未来投資促進法」という)に基づく地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者が2者以上(少なくとも1者は中小企業者)で連携して、同計画の実施に必要な戦略分野での設備投資を行う場合に、初年度の設備投資に補助することにより、地域における経済活動を牽引する事業を促進し、もって地域経済の活性化を図ることを目的として補助金を支給します。

【他省庁/都道府県】
●平成30年度 観光庁 「スノーリゾート地域の活性化に向けたモデル事業」
 観光庁は「スノーリゾート地域の活性化推進会議」において策定したアクションプログラムにおける取組の一環として、「訪日外国人の誘客」、「日本人の誘客」に向けたモデル事業を実施し、事業成果の検証、全国への展開を行うこととしたモデル事業実施者を募集します。今年度のモデル事業は、ターゲットとする外国人観光客のセグメントやスノーリゾートとしてのポジショニングを意識した上で、滞在満足度の向上、付加価値化によるアジアや欧米豪からの更なる誘客に向けた事業を中心に募集します。

●平成30年度 岩手県 「医療機器等製品開発支援事業費補助金」 二次公募
 岩手県では、岩手県内の企業又は岩手県内の企業を代表企業とする企業等の連携体が、医療機器、医療関連機器又はそれらの構成部品に係る製品試作及び性能を確認するための試験を行う場合に要する経費を支援する目的で助成金を支給します。

●平成30年度 東京都 「革新的事業展開設備投資支援事業」 第4回
 東京都では、現状に満足することなく果敢に挑戦する中小企業等が、更なる発展に向けた競争力強化、成長産業分野への参入、IoT・ロボット活用を目指す際に必要となる最新機械設備の購入を支援する目的に助成金を支給します。

上記に関する詳しい情報は、ゆりかご倶楽部「助成金補助金 診断ナビ」をご確認ください。
※上記以外の新着助成金情報もご確認いただけます。

《コラム》有休取得 企業に義務付け

年次有給休暇は労働基準法で定められています。労働者の勤務期間に応じて年10日以上の有休が与えられます。(パートタイマーは週の労働日数での付与日数が決められている)来年4月より労働基準法の改正で中小企業も含めたすべての企業に年5日は必ず取るように企業に義務付けされます。

◆働き方改革の一環で決定されました
 年次有給休暇取得は原則働く側が自分で決められます(企業は繁忙期などの業務に支障の出る場合時季変更権はあります)が、会社に遠慮をする等気兼ねをして有休を取りません。厚生労働省調べでは日本の有給休暇取得率は5割を下回っており国は2020年までに7割取得の目標を掲げていますがその達成は難しい状況です。そこで企業側に年5日については本人の希望を聞いた上で取得させる日時を企業が指定し休ませる年休消化義務が課せられる事になりました。

◆日本の有休取得率
 先にも記載しましたが日本の有給休暇取得率はずっと50%前後です。世界30カ国の地域を対象とした旅行予約サイトの米エクスペディアの17年の調査ではドイツ、フランス、スペイン等の12カ国は有給休暇取得率が100%であると言う事です。祝日の日数や有給休暇を企業で計画取得させる等、制度の違いはありますが日本は連続休暇の取得日数は短いと言えるでしょう。日本ではこれまで企業側は労働者側から申し出をしない事を理由に「社員から申し出が無い」と言ってきましたが、これからは労働者に年5日は有給で休ませなければなりません。有給休暇取得日管理簿の作成も求められる見通しです。

◆有給休暇を取らない理由と今後の対策
 第一生命保険の調査で男女1400人に実施した調査では有給取得にためらいを「感じる」「やや感じる」と答えた人は6割超えでした。「職場の人に迷惑がかかる」「後で忙しくなる」男性では「昇給、査定への影響が心配」と言う人も多かったようです。
 有休取得を進めるには取得状況を各職場で上司や同僚と共有し、社員が有休を消化できるよう業務量等の調整が必要でしょう。ローテーションのある職場ではその組み方にも工夫が必要とされます。過重労働を防止し休む時はしっかり休んでリフレッシュし、生産性を上げる事が大事でしょう。

 

《コラム》固定資産税評価額 家屋の減価と時価評価

◆家屋の評価替えもあるんですよ
 家屋の固定資産税評価額は評価替えされることなく、据え置かれることになっている、と理解している人は多いかと思います。
 でも、家屋も3年毎の基準年度とされる年に全国一斉に評価替えされます。今年は新基準年度の年です。
 評価替えされるのは、時価課税するとの法律の規定があるからです。

◆税額に直結する家屋の評価額
 家屋の固定資産税の課税標準は固定資産税評価額そのものです。その評価額は、各年の1月1日の価格とされ、それは「適正な時価」とされています。
 家屋の「適正な時価」とは何か、これについてあまり議論がありません。土地と異なり公示価格のような公的指標がありません。そのため、家屋評価の「適正な時価」概念は曖昧です。

◆「適正な時価」の求め方
 固定資産税の一つである償却資産税も時価課税とされていますが、これについては、取得価額から減価償却額を控除した金額を以って時価としています。
 土地については、売買実例価格を集約することを原理とする公示価格に基礎を置いています。
 木造家屋については、売買実例価格を基礎にしたのでは、急速に無評価化となる実態があるので、これは採用されていません。
 家屋の時価評価は、1月1日の時点で、その家屋を、その場に新築し直した場合に必要とされる再建築価格を求め、この価格から経年損耗減価の額を差し引くという方式が採られています。

◆経年減価補正率の適正性は
 再建築価格に乗ずる経年減価補正率を見ると、木造の場合、最初の1年経過後の1月1日の時に2割減価し、その後の25年間で6割減価し、その後27年以降は減価させない、としています。もし、1円まで減価償却をするとした場合、最後の償却率を維持したとして、木造の耐用年数は47年、非木造の耐用年数は156年です。
 木造27年、非木造45年以降のところで減価処理は0.2で打ち止めとなります。
 時価課税という法律規定の原理を支える適正時価の評価方式は果たしてこれでよいのか、疑問です。

【時事解説】マイナス金利は設備投資を活性化させるか その2

 設備投資は実物資産に対する効果を期待して行うものであり、金融効果は二次的なものに過ぎません。また、増収や合理化は経営者のコントロールの範囲内にありますが、金融は経営者がコントロールできるものではありません。だから、増収や合理化ができるとするなら設備投資をすべきであり、資金調達関連コストは無視できないとしても、設備投資の決定因子とすべきではありません。あくまで設備投資は実物資産投資が採算に乗るかどうか、つまり営業利益を押し上げられるかどうかを基準に判断すべきものです。

 言うまでもなくマイナス金利は資金調達に関連するものですから、それをもって民間の設備投資が増大することは期待できないと思います。

 確かに資金がなければ設備投資ができませんから、資金がないことあるいは金利が高いことが設備投資の阻害要因として作用することはあります。しかし、資金があれば、あるいは金利が低ければ、それで投資が行われるというものではないのです。これを金融の「ひも理論」と言います。金融は引っ張るとき(金融引き締め)には効果を発揮するが、押したとき(金融緩和)はさほど力を発揮できないのです。別の言い方をすれば、金融面でのサポートは設備投資にとって必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

 政府・日銀が民間の設備投資を促したいのであれば、金融面ではなく実物資産投資が効果を生むような環境を整備することが必要になります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】マイナス金利は設備投資を活性化させるか その1

日銀は金融政策を若干修正しましたが、いぜんとしてマイナス金利を継続しています。日銀は「マイナス金利にすれば貸出金利が低下し、設備投資が増加することによって、実体経済が活性化する」と言っています。果たしてそうなるでしょうか。金利低下が設備投資に与える影響を損益計算書の表示を通して考えてみましょう。

 設備投資は二つの側面から見ることができます。一つは実際に機械や工場などの実物資産に投資することに伴い生じるものであり、もう一つは設備投資を行うときに付随的に発生する金融面に関するものです。この両者は損益計算書で明確に分離して表示されます。

 実物資産に対する投資は大別して増収効果と合理化効果の二つの効果が期待できます。増収効果は生産量の増大や品質の改善により売上高増大を狙ったものであり、合理化効果は生産効率や販売効率の改善により製造原価や販売費および一般管理費の減少を図るものです。増収効果も合理化効果も営業利益の増加を目指します。

 一方、設備投資をするには資金調達が必要になり、資金調達に際してコストが発生します。多くの場合、銀行から借入金を起こすことになりますが、銀行に支払う金利は支払利息として営業外費用に計上されます。自己資金で設備投資をする場合は営業外収益の受取利息や受取配当金の減少として表示されます。どちらにしても資金調達関連コストの増加は営業利益には影響を与えず、経常利益から変動することになります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)