(後編)国税庁:ICT利用を活用した施策を推進!

(前編からのつづき)

 税務署でのICT利用は、税務署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」が419万1千人、同じく「書面での提出」が40万7千人の計459万8千人と、前年分に比べ2.6%減少しました。
 一方、自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成、書面で提出」が465万人、「同e-Tax」が61万5千人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」が402万3千人の計928万9千人で同9.4%増となり、自宅等でのICT利用が増加しております。

 全国拡大後14回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、添付書類の提出省略や書面提出に比べて還付金を早期に還付するなどのメリットを積極的に広報するなど普及拡大に努めた結果、e-Taxでの所得税の申告書提出件数が、前年の864万4千人から882万9千人へと2.1%増加しました。
 これは、所得税の確定申告書の提出人員の約4割(40.2%)がe-Taxを利用したことになります。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:ICT利用を活用した施策を推進!

2017年分所得税等の確定申告において、所得税の申告書提出件数が2,197万7千件(前年分比1.3%増)となり、3年連続で増加となりましたが、それでも過去最高の2008年分(2,369万3千件)よりは6.3%下回っております。

 2011年分から横ばいで推移しており、2千万件を超える納税者数に対応するために、国税庁では確定申告における基本方針として、自書申告を推進し、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでおります。
 国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は、全体で1,434万2千人にのぼり、2016年分より7.4%増加しました。

 また、所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は、前年より3.7ポイント上昇の65.3%に達しました。
 さらに贈与税の申告においても、提出人員50万7千人のうち74.4%(37万7千人)がICTを利用し、その割合は前年分から2.5ポイント上昇しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年12月末に満了するNISAに注意!

(前編からのつづき)

 実質的に非課税期間を延長させるロールオーバーに関心が寄せられている背景には、2017年度税制改正において、2018年からロールオーバーできる金額上限が撤廃されたことにあるとみられております。
 改正前は5年後に保有している金融商品の時価が非課税枠の120万円を超えた場合、超過分はロールオーバーできず、課税口座(特定口座や一般口座)に移すか、売却する必要がありましたが、上限撤廃によって非課税投資枠を超過した部分も含めてすべての資産をロールオーバーできることになりました。

 ただし、非課税投資枠を超えてロールオーバーする場合は、翌年に新しい非課税投資枠で投資することはできませんので、非課税期間が終了し、翌年の非課税投資枠にロールオーバーをした場合、ロールオーバーした額分だけ非課税投資枠を使い、新規に投資できる額が少なくなります。
 例えば、ロールオーバーした金額が120万円以上の場合は、非課税投資枠をすべて使い切ることになり、新しく投資はできませんので、該当されます方はあわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)2018年12月末に満了するNISAに注意!

NISA(少額貯蓄非課税制度)とは、2014年1月に少額投資を行う個人投資家のためにスタートした非課税制度で、毎年120万円の非課税投資枠が設定され、上場株式・投資信託等の配当や分配金、譲渡益が最長5年間にわたり非課税になります。
 したがいまして、2014年にNISA口座で購入した上場株式等の非課税期間は、2018年12月末で満了となりますので、該当されます方はご注意ください。

 非課税期間満了後の資産の取扱いの選択肢は3つあり、一つ目は売却する、二つ目は特定口座や一般口座の課税口座へ払い出すこと、三つ目は翌年のNISAの非課税投資枠へ移管(ロールオーバー)する方法があります。
 特定口座又は一般口座へ払い出しますと、それ以降は課税扱いとなりますが、引き続き非課税枠を使って投資を行うことができるロールオーバーに関心が寄せられているそうです。
 ただし、ロールオーバーは同一の証券会社に開設するNISA口座内での非課税期間延長であることや、NISA口座を開設している証券会社において期限までに所定の手続きをすることなど条件がありますので、ご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

平成30年8月の税務

8/10
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8/31
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

《コラム》建設業許可と決算報告の重要性

◆建設業許可と決算報告
 許認可を取得している場合、その種類によっては事業年度終了後に許認可を管轄する官公庁へ決算報告を行う義務があるものも存在します。建設業許可もそのひとつ。税務署への決算申告だけでなく、事業年度終了後4か月以内に許可を申請した行政庁に対しても決算報告を行うことになっています。

◆各工事の経歴・施工金額も一緒に報告
 建設業の決算報告では財務状況の他、年間でどのような工事を請け負ったかを報告する工事経歴書や、工事ごとの施工金額について報告する書類も併せて提出しています。一口に「建設業許可」といっても、「建築一式工事」や「内装仕上工事」など許可される工事の種類は29もあり、これらの書類は許可を持っている工事の種類ごとに作成しなくてはなりません。現在許可を持っていない種類の工事を行った場合には、「その他工事」として計上します。
 たくさんある請求書から、工事の種類ごとに抜き出して各工事の施工金額を計算するのは結構な手間がかかります。ましてや「その他工事」などと言われると、あまり重要性が感じられず、つい他の工事にまとめてしまいたくなるかもしれません。ですがこの「その他工事」、面倒でも真面目に報告していないと、後々後悔することになる恐れもあるのです。

◆実務経験が証明できない?!
 先述のとおり、工事の種類は29も存在しますので、請負状況の変化などで工事の種類を追加したいと考えることもあるでしょう。こうした追加を行う際、追加したい工事の種類について、これまでの施工実績を実務経験として証明しなければならないケースもあります。たとえば「内装仕上工事」の許可を持っているA社が、今度は「大工工事」の許可を取得するため、これまで行ってきた大工工事に関する実務経験を証明したいとします。このとき、これまでの決算報告で「その他工事」をしっかりと計上せず、全ての施工実績を「内装仕上工事」としてまとめて報告してしまっていると、内装仕上工事以外の請負工事は行っていなかったものとして、実務経験を証明できないという事態になりかねないのです。後で痛手を負わないよう、報告は慎重に行いましょう。

 

《コラム》利益はリスクの対価

 挑戦的で前向きな計画や行動を、「不利益のリスクがあるからという理由で避けようとする経営体質は、それが、トップから社員に至るまでの意識・行動の主流となった時の経営損失は測り知れません。
 前向きな挑戦による失敗が許容されず、損失の責任が追及される企業風土の中では新しい挑戦は生まれず、無事で無難な、「石橋を叩いても渡らない」事業の進め方が定着し、「リスクを知りながら、その対価としての利益の獲得にあえて挑戦する」考え方・行動は否定され、したがって、大きな機会損失を招くことに繋がりかねないからです。
 保守的・防衛的な考え方・行動には、「大きなリスクの裏には、大きな利益獲得の機会がある」ことを見逃す、より大きな機会損失のリスクが存在することに留意しなければなりません。

◆リスクの捉え方
 「リスクの大きさは、利益の大きさに反比例する。リスクがあるから利益が存在するのだ」という捉え方は、基本的に正しい、と言えましょう。
 その上で、リスクを的確に評価して、その不利益を最小化する手を打ちつつ、利益の最大化に挑戦すべきです。
 一方、企業や人の欲望につけこんだ「ねずみ講」のような、不正なビジネスが往々にしてまかり通る世の中ですから、「甘い話には嘘がある」という見方は、取り返しがつかない誤りを避けるために不可欠であることは、言うまでもありません。

◆リスクを恐れない企業文化の形成
 「大きなリスクには、大きな利益獲得の機会がある」という見方や挑戦的行動は、目標管理など社内のあらゆる事業活動で実践されてこそ、事業の発展に結びつきます。
 それには、トップが指針を示し、管理者が日常のマネジメントにおいて、常に自らと部下に求めることが欠かせません。
 目標管理の運用プロセスでは、「リスクと利益」を評価しなければならない多くのケースが生じます。
 そのような機会を捉えて「リスクの前向きな捉え方」を推奨し、対処の仕方の経験を積ませること、リスクに対する前向きな挑戦には、マイナス評価を与えないこと」、そのような積み重ねが「リスクを恐れない、挑戦的な企業文化」を育てることになるのは、疑いのないことです。

【時事解説】LGBTが繰り広げる社会の変化 その2

 最近、同性愛者などの性的マイノリティ「LGBT」が話題になっています。経済評論家のカミングアウトやドラマのヒットなど、注目を集めています。すでに10年ほど前にも、LGBTはビジネス誌などで取り上げられたこともあるのですが、日本社会では大きな話題とはなりませんでした。ようやく、日本国内でも行政をはじめ、LGBTに関する差別を排除する動きが生じています。

 LGBTに関する差別が薄れるに従い、生じる変化の一つは関連ビジネスが盛んになることが挙げられます。では、具体的にどのような可能性があるのでしょうか。
 実は、LGBTの購買力はアジアだけで2兆ドル(約210兆円)規模に及ぶといわれています。LGBTの場合、子どものいない家庭の割合が高く、教育費以外の分野に使えるお金が多いといわれています。物が売れない現代、売上伸長の種を探すのは困難なことです。その中、LGBTは数少ない、ビジネスチャンスの宝庫だといえます。

 とりわけ、LGBTという新規顧客の創出が売上に貢献することが期待できます。具体的には、同性カップル向けの生命保険、結婚式など、従来、顧客対象から外れていた人たちが顧客となります。また、トランスジェンダー向け衣料品も新規顧客を獲得できる分野です。パンプス、下着はもとより、学校のなかには、制服について女子でもズボンを選べる制度を導入したところもあります。

 建築にもチャンスがあります。たとえば、トイレは従来、男女別となっていましたが、男女別だけでなく誰でも使えるトイレの新設といったことも生じます。このほか、コンサルタント業務、セミナー開催など、様々な分野での可能性が期待できます。(了)

【時事解説】LGBTが繰り広げる社会の変化 その1

最近、話題のキーワードに「LGBT」があります。これは、Lesbian、 Gay、 Bisexual、 Transgenderの頭文字をとったもので、同性愛者などの性的マイノリティを総称する言葉です。

 従来LGBTには偏見、差別が根強くあり、話題の取りあげに対してはタブー視する傾向がありましたが、ここに来て、変化の兆しがみられます。一例を挙げると、テレビ朝日系で放映された男性同士の純愛を描いたコメディドラマがネット上で大きな反響を巻き起こしたことがあります。動画配信サービスではドラマ部門での再生回数1位、ほかツイッターの話題性を示す「ツイッタートレンド」やテレビの流行を示す指標「視聴熱」でも1位を獲得するなど、予想を上回る快挙を達成しました。

 LGBTが注目されることで、どのようなところに影響が及ぶのでしょうか。それは、人権問題やビジネスにおける新市場の創出、また、企業では差別を排除するための新たな体制づくりなど、影響は多岐にわたると考えられます。

 人権問題では、現在、国によっては同性愛を法律で犯罪と定めているところもあります。その中、1990年頃から国連では、LGBTに関する差別を人権侵害とし、差別をなくすための取り組みを行っています。日本でもようやくLGBT向けの取り組みが広がりをみせつつあります。東京都は今秋の都議会定例会に、LGBTや人種を理由とした差別を防ぐ条例案を提出する方針を明らかにしました。また、地域によっては、LGBTに優しい街づくりを掲げるところもあります。差別を排除する動きが強まると、企業では法令に従い、社内教育などの対応が必要になる可能性もあります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】ネットワーク構築による事業承継支援 その2

2018年3月に中小企業庁より公表された「平成29年度事業承継ネットワークの取組と今後の支援について」において取り上げられている静岡県の事例についてみていきましょう。

 「静岡県事業承継ネットワーク」では、静岡商工会議所が事務局を務め、56の団体が参画しています。各構成員は、ネットワーク内で情報共有・連携強化を図り普及・広報を実施するとともに、事業承継診断を通じ経営者に事業承継に対する気付きの機会を提供しつつ課題を発掘し、それらの課題に対し構成員内で連携してサポートを行う役割を担います。
 事業承継診断の実施にあたっては構成員ごとに自主目標を設定し、目標達成に向け取り組んだ結果、2017年度で5,322件、達成率318%を実現することができました。

 また、事業承継診断の実施方法や診断後の対応力向上のため、診断の現場ですぐに活用できるスキルについて研修会を開催、構成機関のスキルアップを図っています。
 事業承継診断実施後の対応では、円滑に専門家と個別相談が実施できる連携体制を構築すべく、他薦による事業承継の専門家リストを作成しました。このリストでは、専門家の名前・連絡先に加え、得意分野などが明記されています。
 今後は同ネットワークを通じて診断実施案件のフォローや構成機関のスキルアップを図りつつ、地域を挙げた支援活動の拡充につなげていく方針です。

 このように事業承継ネットワークの構築を通じて、地域を挙げた組織的な事業承継支援を実施が期待されているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)