【時事解説】ネットワーク構築による事業承継支援 その1

中小企業に対して事業承継に向けた気付きの機会を提供し、その準備を促すことを目的に、2017年度から、都道府県単位で「事業承継ネットワーク」を構築する事業が開始されています。
 事業承継ネットワークにおいては、都道府県に拠点を置く商工会、商工会議所、金融機関等の支援機関が地方自治体等と連携し、地域における事業承継支援として、早期・計画的な事業承継準備に対する経営者の「気付き」を促すため事業承継診断を行うことが期待されています。

 事業承継ネットワークでは、主に以下の3つの観点から事業が実施されます。
 一つ目が、都道府県における事業承継支援体制の整備です。体制整備を通じて事業承継支援のあり方の検討、関係者間での認識共有や、事業承継支援に関する情報発信が行われます。
 二つ目が、事業承継診断の実施です。事業承継診断とは事業者に対して診断票に基づく対話を通じて経営者に対して事業承継に向けた準備のきっかけを提供する取組を指します。事業承継診断の実施にあたっては、PDCAサイクルに基づくプロセスの管理が期待されています。
 三つ目が、事業承継支援に関する連携体制の構築です。支援体制構築に向けた情報共有、研修の実施や、地域における事業承継支援専門家の発掘・リスト化などが行われます。

 2017年度は、全国19の県で事業承継ネットワーク地域事務局を担う事業者が採択されました。
 今後は、事業承継ネットワークを全国に展開するとともに、掘り起こされたニーズに対して地域の専門家が連携してより踏み込んだ事業承継支援を実施することが期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国立大学法人等への財産寄附の非課税要件の緩和を通知!

(前編からのつづき)

 国立大学法人等の承認特例で規定された一定の要件は、国立大学法人等が所轄庁の確認を受けた基金の中で寄附財産を管理することなどにより、その寄附資産が公益目的事業の用に直接供されると判断されることになります。

 また、非課税承認を受けた寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合、これまでは公益目的事業の用に2年以上直接に供し、買換資産も公益目的事業に利用するとの要件を満たさなければ非課税承認の継続はできませんでしたが、2年以上の利用がなくても基金の中で寄附財産を管理し公益目的事業に利用している場合には、国税庁長官に必要書類を提出することで「特定買換資産の特例」として非課税承認の継続ができるようになりました。
 同省では、「今回の拡充によって、寄附者にとっては非課税措置が受けられるかどうかの判定が早くなり、寄附を行いやすくなる。また、国立大学法人等にとっても寄附された資産の構成を組み替えることが可能となり、資産の有効活用ができるようになる」としております。

 なお、上記の承認特例及び特定買換資産の特例は、2018年4月1日以後の財産の贈与等、財産の譲渡から適用されます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国立大学法人等への財産寄附の非課税要件の緩和を通知!

文部科学省は、2018年度税制改正において、国立大学法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件緩和を国立大学法人等へ通知しました。

 個人が土地などの現物資産を国立大学法人等に寄附し、この寄附に対するみなし譲渡所得税の非課税措置を受けるには、その資産が2年以内に公益目的事業の用に直接供される等について国税庁長官の承認を必要とする要件があります。
 これまで、この要件を満たすための国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人及び(独法)国立高等専門学校機構内での手続きに時間がかかることから、その間に寄附者から寄附の提案を取り下げられるケースがあり、現物寄附が増えていかないとの指摘がありました。

 このため、2018年度税制改正において要件の緩和を導入し、一定の要件を満たす場合で、国税庁長官の非課税承認の決定が寄附者の申請から1月以内に行われなかったときは、自動的に承認があったものとみなす「承認特例」を国立大学法人等にも適用しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)弔慰金でも一定範囲を超えるものは退職手当等として課税対象!

(前編からのつづき)

 したがいまして、従業員の死亡退職に伴い会社から支払われる弔慰金は原則として、社会通念上という国民感情の観点から課税の対象とはならないことになりますが、なかには課税されないことを利用して、過度な節税として使われることもあり得るので、弔慰金として妥当と判断できる一定の金額は課税しないものの、一定範囲を超える部分は過度な弔慰金と判断して課税対象になり、退職手当金等として相続税の課税対象となりますので、ご注意ください。

 なお、上記の「業務上の死亡」とは、被相続人が亡くなった原因が業務中に起こったことであり、業務と関係性が深い原因がある場合には業務上の死亡と判断されます。
 上記の具体例として、業務遂行中に発生した事故などにより亡くなった場合、出張中に発生した事故などで亡くなった場合、仕事が原因とされる職業病などによって亡くなった場合、通勤途中の災害などによって亡くなった場合も業務上の死亡と判断されますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)弔慰金でも一定範囲を超えるものは退職手当等として課税対象!

 弔慰金は、香典や花輪代、葬祭料といった名目で支払われることもありますが、税務上、社会通念上相当と認められるものは所得税や贈与税が課税されません。
 また、被相続人が生前に勤めていた会社から相続人が受け取る金銭のうち、死亡退職金は相続税の課税対象になりますが、原則、弔慰金は課税されません。
 なお、上記の「社会通念上相当と認められる金額」の範囲ですが、相続税基本通達では、亡くなった従業員に支給されるべきだった退職手当金や功労金など、その名義のいかんにかかわらず実質上退職手当金等に該当するものを除き、弔慰金として取り扱うこととしております。

 具体的には、業務上死亡の場合には賞与以外の普通給与額の3年分相当額、業務上の死亡でない場合には、普通給与額の半年分相当額を非課税となる弔慰金として取り扱うとしております。
 国税当局は、この範囲を超える部分は相続税の課税対象となる退職手当金等として取り扱い、その通達により弔慰金として取り扱われたものに社会通念上相当と認められる額を超える部分があれば、その部分は退職手当金等として取り扱うべきであるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》基礎控除引上げ・給与所得控除引下げに伴う各種所得控除の改正

基礎控除・給与所得控除改正に伴って変更
 平成30年税制改正の基礎控除は原則10万円の引上げ、給与所得控除は原則10万円の引下げに伴って、平成32年分所得税からは周辺の所得控除のルールが少しずつ変わっています。内容を見てみましょう。
●配偶者控除・扶養控除・配偶者特別控除
 現行合計所得金額38万円以下の同一生計配偶者・親族は配偶者控除・扶養控除の対象でしたが、改正後は合計所得が48万円以下(給与収入換算では103万円以下で現行と変わらず)となります。
 現行合計所得38万円超123万円以下の配偶者を有する方は、最大38万円の配偶者特別控除となっていましたが、改正後は合計所得が48万円超133万円以下(給与収入換算では現行と変わらず)となります。
●家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例
 現行家内労働者等について、必要経費が65万円に満たないときは、65万円を必要経費にできましたが、改正後はその額が55万円(基礎控除との控除額合計は103万円で変わらず)となります。
●青色申告特別控除(65万円控除)
 現行正規の簿記に従い記帳する等一定要件を満たす青色申告者に65万円の控除となっていますが、控除額が55万円(基礎控除との控除額合計は103万円で変わらず)となります。

◆青色申告特別控除はさらに追加で控除
 列挙したものに関しては結局「今と変わらない結果になる」のですが、青色申告特別控除は従来の適用要件に加えて「e-Taxによる申告(電子申告)」又は「電子帳簿保存」を行うと、引き続き65万円の控除が受けられるようになります。
 「電子申告」は決算申告書・青色申告決算書等のデータを国税庁に送って申告するシステムです。今時の税理士事務所ならば大抵は対応していますし、国税庁の「確定申告書作成コーナー」でも電子申告可能です。「電子帳簿保存」は「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を税務署に提出し承認を受ける必要があります。原則、年の途中の申請は認められませんが、平成32年に限っては年の途中の申請でも承認を受けてから12/31までの間を電子帳簿保存していれば65万円控除を受けられるとの事です。

《コラム》相続税の改正と一般社団法人

◆一般社団法人等を使った相続対策とは
 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された2008年以降、一般社団法人の設立が容易になりました。
 そこで、一般的な方法としては次のような相続対策が急増しました。
(1)一般社団法人を設立する。
(2)そこに被相続人所有の不動産や自社株を移動します。
(3)相続人を理事又は理事長とする。
 (2)の段階で問題となったのは、不動産や自社株を時価で売却した場合被相続人にかなりの譲渡所得が発生したり、高額な貸付金や金銭が手元に残ったりすることでした。
 しかし不動産や自社株は所得税の分離課税であり、課税は20%強で済みます。また高額な貸付けは不動産収益や配当での返済や、親族理事への報酬により赤字にして債務免除することも可能でした。
 更に非営利法人として認められた場合は、寄附や贈与も課税対象から外れていました。そしてこのようにして一般社団法人に移された財産は、相続財産から完全に除かれておりました。

◆今回の改正では
 同族関係者が理事の過半数を占める特定一般社団法人等については、同族理事(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合は、その特定一般社団法人等を個人とみなして、同族理事の数で等分した当該特定一般社団法人等の財産を、死亡した理事から遺贈により取得したものとみなし相続税を課税するというものです。更に既にある一般社団法人等についても、特定一般社団法人等に該当すれば、平成33年4月1日以後の理事の死亡については適用するというものです。
対策としては次の事が考えられます
(1)被相続人対象者が理事を辞め5年を超えて長生きすること。
(2)同族理事の数を50%以内とする。と同時に被相続対象者は3年を超えて長生きすること。
(3)(1)(2)ができない時は逆に同族理事の数を増やし等分財産を少なくする。
 しかし特定一般社団法人等に該当しなければ従来通りですから、これで相続対策がなくなるとは思えません。

帰宅困難者受け入れで税優遇

地震などの災害発生時に帰宅困難者を一時的に受け入れる民間事業者に対して、東京都が固定資産税の軽減などの税優遇を検討していることが分かりました。

 6月20日の都議会定例会では、前々日に発生した大阪北部での地震を受け、災害への備えが議題に上がりました。今後30年以内に70%の確率で発生するとも言われる首都直下地震の際に、交通機関の乱れなどによって自宅に戻れない帰宅困難者の数は東京23区だけで350万人に上るとも言われます。こうした予想を受け、都では帰宅困難者を一時的に受け入れる施設を当面の目標として92万人分確保することを目指していますが、現状では34万人程度にとどまっている状況です。

 協力施設の拡大への施策を問われた都は、「協力事業者の負担軽減が不可欠」と回答。事業者が備蓄品を買い替える際に、施設の固定資産税を減免するなどの優遇を設ける考えを示しました。詳しい減免の内容などは明らかにされていません。

 6月18日に大阪北部で発生した地震では、震度5~6弱の大きな揺れが西日本最大の都市部を襲いました。交通機関にも大規模な混乱をもたらし、在来線は京阪神全域で一時運行がストップし、通勤通学途中の乗客など計約413万人に影響が出ています。また山陽新幹線と東海道新幹線でも計202本が運休し、延べ32万7千人が足止めを余儀なくされました。大阪市の大動脈とも言える大阪メトロ御堂筋線が全線復旧するまでには13時間以上がかかっています。

 なお、内閣府の首都直下地震対策専門調査回の検討によれば、東京湾北部にマグニチュード7.3の地震が発生した場合、帰宅困難者の数は23区で350万人、東京都全体で390万人、千葉・埼玉・神奈川まで含めると650万人に上ると想定されています。
<情報提供:エヌピー通信社>

客減っても税は減らず

観光客が著しく減少したことが固定資産税の評価減の理由として認められるかが問われた裁判で、最高裁はこのほど経営者側の上告を棄却し、減額を認めないとする栃木県那須塩原市の主張を認める決定を下しました。一審では観光客の減少は評価減に値するとの判決が出ましたが、二審では市側が逆転勝訴していました。

 訴えを起こしたのは、那須塩原市の温泉旅館経営者。「観光客の減った旅館には、固定資産税の需要減による評価額の減額特例が適用されるべきだ」と主張し、宇都宮地裁に訴えを起こしたものです。

 地方税法では、需要減を理由とした固定資産税の減額特例が定められていますが、これが建物に認められるのは、交通の不便な離島や、騒音問題のある住宅地など特殊な事情のある地域にこれまで限られてきました。地方の人口減少が進むなかで、客足の離れた観光地に固定資産税の評価減が認められるかが全国的に注目された裁判で、宇都宮地裁は訴えを一部認め、15%の評価額減を市に命じました。

 しかし市が控訴したところ、高裁判決では「価値が減少するとは認められない」として、一転して減額を認めず、最高裁もその判断を支持する決定を出しました。君島寛市長は「主張が全面的に認められた」とコメントし、経営者側は「残念だ」と話しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

(今月の税務トピックス①よりつづく)

Ⅱ B型
1 制度の概要
 指定事業者に改修等を依頼するか、事業者自身で行うかで、次の2種類の申請方法に分かれています。
 ① B-1型(受発注システム・指定事業者改修型):システムベンダー等に発注して、受発注システムを改修・入替する場合の費用が補助対象。
 ② B-2型(受発注システム・自己導入型):自らパッケージ製品・サービスを購入・導入して受発注システムを改修・入替する場合の費用が補助対象。
2 実務上の留意点
 補助上限額は、発注システム側・受注システム側の改修・入替ごとに異なります。
 ① 小売事業者等の発注システムの場合の補助上限額は1,000万円、卸売事業者等の受注システムの補助上限額は150万円で、両方の改修・入替が必要な場合の補助上限額は1,000万円とされます。
 ② 補助率は、改修・入替に係る費用の2/3とされています。
 ③ 補助対象範囲外の機能を含むパッケージ製品・サービスについては、初期購入費用の1/2を補助対象経費とし、これに補助率を乗じるものとされます。

Ⅲ 申請受付期限
 A型及びB-2型は、平成31年12月16日までに申請(事後申請)することとされます。
 また、B-1型は、平成31年9月30日までに改修・入替作業を完了することを前提に平成31年6月28日までに交付申請を行うこととされ、完了報告書は平成31年12月16日までに提出することとされます。
≪中小企業庁ホームページ参照(http://kzt-hojo.jp)≫